芸術特別講座で受けた質問への答え

昨日、2020年6月30日(火)の芸術特別講座で、質疑応答の時間に、「ドイツにいて、逆に日本人で良かったと思えた事って何かありますか」という質問をもらい、お答えしました。
でも、何だかちゃんと答えられなかった、応えられなかった、と言う気持があって、あの後、ずっと気になっていたのです。

「もちろんあります。色々な事がありますよ」と言いながら、ネガティブな部分とペアでしか、僕からの答えを示せなかった。そんなわけないよな、と思いつつ。

一日経った今も、万全な答えが示せるわけではないかも知れません。が、もう一度考えてトライしてみたくなりました。

昨日の芸術特別講座では「東洋と西洋のメンタリティーギャップ」について話しました。この講座の内容を全てここで書くことは出来ませんが、この、講座後のキャッチボールについては、こうして独立して書いても良いように思うので。

・・・ちなみに、昨日の講座の録画を、7月18日(土)、7月19日(日)のオンラインオープンスクールでは、会場内でご覧頂けると思います。講座をご覧になりたい方は、是非、オンラインオープンスクールにいらして下さい。詳しい情報はこちら。→https://tcm-koko.ed.jp/vschool/

実は、僕が昨日この質問にすっきり応えられなかったことは、すなわち僕自身が、東洋人コンプレックスを未だに持っている証拠です。あんな話をして置いて、お恥ずかしい限りですが。でも、それは真実で、僕はそれを隠すわけには行かないのです。

しかし、僕があんな話、つまり日本人が劣ってるって事じゃないよ!と言っておきながら、どこかでコンプレックスから解放されていないこと自体が、一つの教訓であり、目を背けられない事実です。つまり僕は「わかってる」のです。この東洋と西洋のメンタリティーギャップが示す事実が「日本人が劣ってる、と言う話じゃない」て事を。頭でわかってても、心にこわばりが少し残っているのかもしれない。でもこの問題はヘビーなので、ゆっくり向き合いましょう。皆さんも是非一緒に考えて下さい。

さてさて。気分を取り直して、今日は取りあえずは、簡単な、日常的なことからでも、「日本人で良かったと思えたこと」を、思いだしてみます。

日本食の作り方を教えて欲しい、と頼まれることが多かった。日本食は健康な食餌法、という認識がドイツでは非常に強く、その意味では、ちょっと鼻が高かった。

一度、新聞社の企画で「Prominente Kochen」という企画がありました。直訳すると「有名人が料理する」です。当時、劇場の看板歌手ではあったので、ドイツの片田舎ではあるけど、一応街の有名人。僕の前にゲストになっていたのは州の大臣とか、テレビ俳優などだったので、オペラ歌手ってのが有名人扱いされるのも、オペラという文化の認知度が高い事を感じさせますね。

それで、新聞社からその企画に招かれて「是非健康的な日本の料理を紹介して欲しい!」という話になりました。家族で料理しましたが、ちらし寿司、味噌汁、蒸し野菜などを振る舞いました。大好評でした。記事の左側にはレシピも紹介されてますね。もちろんレシピは僕ではなく家人の協力によるものですが、僕も一生懸命料理しましたよ!舞台でも、こういう場でも、人に喜んでもらう事が大好きで、それが自分のエネルギーになるので、日本の料理をみんなが喜んでくれたのは、2倍嬉しかった、という感じです。

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「日本的である事」を、チャーミングなことだと、ドイツ人達が感じてくれているのが、僕にも感じられて、それで段々、日本人である事をはっきりと自分の顔として意識していったような気がします。

ドイツは、難民政策でも分かる様に、世界に類を見ないほど「外国人に寛容な国」です。合法的に5年間働けば、法的にはドイツ人になれてしまうし。差別がないわけではないけれど、それはどこでも同じ事。国としては他民族を救うことに国家的な使命感を持っているとさえ思えます。

そう言うお国柄もあって、日本という国をみんなオープンに見てくれてたんじゃないかな、と思います。この点でも僕はドイツに感謝しています。

「日本人で良かったと思えたこと」他にも探してみますね。


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