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オーケストラの授業を見学させてもらいました

月曜日の午後、東京音楽大学付属高等学校のオーケストラの授業を見学させてもらいました。(写真は全く関係なし。今朝のベランダで摘んだミントのミントティー)

コロナ禍の難しい状況の中、パーティションを多用し、ディスタンスもとっての授業は非常に大変だと思います。関わる先生方皆さんの継続的な努力と注意力で、何とか授業の実施にこぎ着けているということを、もう一度認識しました。先生方の、そして生徒と一丸となっての尽力に感謝します。

生徒の皆には、そう言う中で、一緒に音を紡いでいけることの貴重さを、噛みしめながら音を出して欲しいですね。

僕が見学した今週の月曜日はヴィエニャフスキの「ファウスト」による華麗なる幻想曲」の稽古から始まりました。三原先生も仰っていたように、この作品は、グノー作曲のオペラ「ファウスト」をモチーフにしています。

偶然なのですが、この元になっているグノーのオペラ「ファウスト」は、僕が高校でオペラと出会い、音楽の道に入るきっかけになった作品なのです。このファウストで、悪魔のメフィストフェレス役を歌って・・・楽譜も読めないサッカー部員だったのに無理矢理文化祭に間に合わせ・・・声楽家になる決意をするに至ったのです。文化祭の公演、二日目のカーテンコール中に決意したのを覚えています。

だから、高校生の皆があのファウストのメロディーを奏でると、その時のことを思いだしてグッときます。メフィストの「金の子牛の歌」、ファウストとマルガレーテの愛の二重唱、シエベルがマルガレーテに花を届ける「花の歌」、1幕フィナーレのワルツはファウストがマルガレーテに初めて声をかけるところ・・・これらのメロディーが非常に巧みに織り込まれています。ソロの前田さんが最初に情熱的に弾いていたメロディーは、マルガレーテの兄ヴァランタンが、妹を残して戦地に赴く際にその思いを歌うメロディーで、これはバリトンである現在の僕のレパートリーです。

そう。高校生の皆があのファウストを弾いている、と言うだけでまぁグッとは来るのですが、もし皆が、元のオペラの事を知って、あの金管のメフィストのメロディーが如何に危険なことを主張しているか・・・とりわけこの資本主義が跋扈する現代では・・・とか、八分の六拍子のシエベルの花の歌でシエベルがどんな想いをその花に託したか、そして、その花がその後マルガレーテにどう扱われるか、そう言う事を知った上で音に託し、その音がぶつかり合い、混ざり合ってあのオケの曲が演奏されたら、どんなに、どんなに僕は感動した事だろうか、と思います。惜しいね。

チャリティーコンサートの客席に座る皆さんにあの音楽を届けるときには、是非そう言うオペラの感情やエネルギーが、幻想曲の音に反映されるような演奏を届けて欲しいと思います。頑張って稽古に励んで下さい。

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