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蔵象とは

 東洋医学の重要な概念の一つが蔵象になります。東洋医学をしっかりと理解していくためには、この蔵象についてしっかりと理解していく必要があります。

1.蔵象とは

 東洋医学は、観察から生まれた医学であり、身体の中にある臓器がいろいろな役割を持ち、人体の活動に関わっていると考えていきました。

 身体の中にある臓器はいろいろあるので、臓・腑・奇恒の腑と分類し、相互に影響を与えながら、協力して生命現象が生じているという考えていきます。

 こういった内容を全てまとめたのが蔵象という考え方であり、身体の状態、症状、診察、治療は全て蔵象を用いていくことになります。

2.臓(陰に属する)

臓:実質器官、化生と貯蔵

 五臓は、生理物質の化生と貯蔵を行っており、生理物質によって満たされている器官になります。臓には、神も存在していて、満たされた生理物質によって栄養されているので、精神活動にも関係していきます。

 五臓は肝・心・脾・肺・腎の5つで、六臓と言われる場合は心包を含みます。臓は貯蔵するところなので、不足と関係しやすい虚証が多くなる傾向があります。

 神についてはこちらでまとめてあります。

 東洋医学の考え方の中に、「陰主陽従」(いんしゅようじゅう)というのがあり、陰がメインの働きをしつつ、陽がサポートをしているという考え方になります。臓は陰に対応しているので、臓がメインの働きをして、腑がサポートをする関係と言えます。

 男女だと、男性は陽、女性が陰なので、男女関係だと女性が主導権を握っていると考えられるので、現実的にも見られる部分になりますね。

3.腑(陽に属する)

腑:中腔器官、受盛と伝化

 腑は、水穀(飲食物)の消化・吸収や排泄と関わりやすく、入ってきたものや身体にいらないものを貯めて出す場所になるので、基本的には、中には何もなく、通過していく場所になります。

 物がうまく通過せずに、停滞してしまう病能を生じることが多いために、臓とは違い、余分にたまるという実証が多い傾向があります。

 腑は胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦の6つになります。

4.奇恒の腑

奇恒の腑:中腔器官、貯蔵(精気を蔵する)

 奇恒の腑は臓でも、腑でもないもので、水穀(飲食物)と直接関わりをもたないものになります。

 特徴としては、腑と同じ構造(中腔器官)になりますが、生成を行わなずに、貯蔵だけしていくので、臓と役割が変わります。奇恒の腑に蓄えらえる生理物質は、臓によって生成されていきます。

 奇恒の腑は胆・脳・脈・骨・髄・女子胞の6つがあります。胆は六腑の一つですが、奇恒の腑の一つでもあるというのが気を付けないといけないポイントになります。

5.蔵象の特徴

①外部との関係

 蔵象は、体内ある臓腑の役割という考え方ができますが、人は自然環境の中で生きているので、外部の影響は内部にある蔵象にも影響を与えていくと考えていきます。

 例えば、季節は五行に分類されていて、五臓も五行に分類されているので、春の天候は肝に影響を与えやすいと考えていくことができます。

 臓腑と経絡は関連しているので、臓腑の問題は身体の外側である経絡に影響し、経絡に問題が生じれば、身体の内側にある臓腑に異常が生じていきます。

②生理と病理

 蔵象は、身体の機能を各臓腑に割り当てていったものとも言え、身体の機能は臓腑の力と関係していきます。臓腑の力が低下してしまうと、身体の機能も低下してしまい、症状が生じていきます。

 そのため、蔵象は生理を表現していくと同時に、病理を表現していくものになります。

 例えば、脾は消化吸収に関わる力があると考えていくので、脾の働きが低下するということは、消化吸収の問題が生じていくことになります。

③臓腑と生理物質の関係

 蔵象は臓腑の働きと大きく関係していきますが、臓腑は身体の中にある気血津液精と大きく関係しやすくなります。

 各臓腑は、気血津液精など全て関係しているのですが、機能と役割によって、どれに強い働きがあるかも決まっていきます。

 例えば、血であれば、血の生成は脾が飲食物から水穀の精微を作り、水穀の精微が血の素となるので、脾は血との関係が密接になります。さらに、血は心や肺の機能で血に生成されるので、心や肺も血との関係が密接になります。

 各臓腑には、それぞれ機能があるので、各臓腑の機能(蔵象)に詳しくなると、生理物質との関係が理解しやすくなります。

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