「2016」 #詩

カバンの奥で潰れていた黒いノートの最初のほうに、3編の詩が書かれていた。おそらく朗読のために書いたものだ。どんなイベントだったかは忘れたが、このまま埋れさせるのは勿体無いのでここに公開しよう。3、4年前(2016か17年)に書いた作品。
まず、最初に。


「2016」

「国家最大権力であなた様を救います!」
と、メールが来た日
近鉄電車には大分県警が乗り込んでいた
駅にはゴミ箱もなく
イライラやムシャクシャした気持ちを捨てることも出来ずに
とりあえず、ポケットに入れることにした
終着駅には行かない特別急行は 行かないことが特別なようで
特別料金を払っている乗客を 鼻で笑っているかのような顔だった

広島にアメリカから観光客が来ただとか
パリでポエトリースラムのワールドカップが行われているだとか
バファローズの狸が涙を流したとか
「奈良県はJリーグチームを作る気なさそう」という芸人の発言とかが
車窓を通り過ぎて行った
気分が悪くなったので 全てをポケットに押し込んだ

目的地は無いのだけれど
無理やり降ろされた駅は ゴミ箱のようなところだったので
そこでポケットの中の物を 全てぶちまけた
すっきりしたと思ったのだが 帰るための電車は無かった

ぼくも捨てられたようだ

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