見出し画像

1.2010年代 日本の家電メーカーの曲がり角

こんにちは。小山です。

2020年代の予測をしていきますが、その前に、2010年代の振り返りをしていきましょう。

2010年代といえば、2008年に起きたリーマンショックの影響の経済不況、民主党政権でした。2011年3月11日に、東日本大震災が起こりました。

2012年 家電メーカー業績不振

大きな転換となるのは、2012年です。

なんとなく、「不況で物が売れない」、「震災で物が売れない」そんな風に捉えられていたのが、一変します。

日本の経済界にとって、衝撃でした。
2012年、「日本の(家電)メーカーのモノがいらなくなってきている」

日本の産業といえば、自動車と家電だとおもっていたうちの家電が崩壊してのが明らかになった時です。

経済誌は、こんな感じでした。

「ソニー/シャープ/パナソニック ザ・ラストチャンス」(週刊東洋経済 2012年5月19日号)

エルピーダメモリ破綻、シャープへの鴻海出資――。激震が続く電機業界。この重大局面で、国内大手3社の社長がすべて交代した。再編第2幕もうわさされる中、生き残りを懸けた最後の闘いが始まる。

「家電敗戦 失敗の本質」(週刊ダイヤモンド 2012年6月9日号)

中、韓、台メーカーが仕掛ける日本争奪戦
日本が誇る家電メーカーであるソニー、パナソニック、シャープは2012年3月期、3社合計で1兆6000億円という大赤字を計上した。業績不振に弱り切った日本の家電メーカーに今、中国、韓国、台湾企業が狙いを定めている。


日本の家電メーカーは、中国・韓国・台湾企業の台頭によって、モノが売れなくなり次々に事業を再編。売却し、脱家電を進めていきました。シャープは、台湾の鴻海の傘下入りとなっていきます。

日本の家電メーカーの再編、売却の一例

・テレビ
東芝「REGZA」 ⇒ (中国)ハイセンスに売却
シャープ「AQUOS」 ⇒ (台湾)鴻海の傘下

・パソコン
ソニー「VAIO」 ⇒ 投資ファンドに売却
東芝「dynabook」 ⇒ シャープに売却
NEC  ⇒ (中国)レノボと事業統合
富士通 ⇒ (中国)レノボと事業統合

・白物家電
三洋電機 ⇒ パナソニック ⇒ (中国)ハイアールに売却
東芝 ⇒ (中国)美的集団に売却

・携帯電話端末
NEC、カシオ、日立 ⇒ 事業統合 ⇒ NEC ⇒ 消滅
パナソニック ⇒ 撤退
東芝  ⇒ 富士通と再編後、富士通に売却
富士通  ⇒  投資ファンドに売却


なぜ、日本の産業を代表する家電メーカーの家電が売れなくなってきたのか?

当時、言われていたのは、こんな感じのことでした。

・製品がコモディティー化した。
⇒ 優れた日本の技術じゃなくても、つくれるようになった。中国、韓国、台湾の家電メーカーの台頭

・製品の価格競争力に負けた。
・自前主義だからコストが高くなる。
液晶ディスプレーや半導体など、家電メーカーが自前で部品をつくって、自前のものをつかうから製品が高くなる。物流

・日本の製品は、日本の市場でしか売れない 
ガラパゴス化、と言われる現象。その最たるものが、携帯端末「ガラパゴスケータイ、通称「ガラケー」。着うた・着メロ・ワンセグ・edy(おサイフ携帯)・ゲーム・アプリなど、日本のケータイにしかもっていない機能ゆえに、グローバルなプロダクト競争に淘汰された)

じゃあ、どうすればいいのか?

当時、言われていたのは、こんな感じのことでした。

・川上から川下の垂直統合をやめて、部品つくるのをやめよう。
(液晶、半導体からの撤退)
・国内市場は無理だから、海外に活路を見出そう!
・appleのように、ファブレス化しよう!
・IBMのようにハードからソフトへの転換だ!
(ソニーは、音楽・映画・金融・保険のソフトが利益を牽引してますね。)
・GE、シーメンスのようにB to CからB to Bの社会インフラにいくべきだ!
(日立の鉄道はいい感じですが、東芝・日立の発電事業は苦しい)
・医療分野だ!
(ソニーが、オリンパスとの内視鏡の合弁会社して、合弁解消し、撤退)

昭和時代の繁栄とレガシー

松下幸之助さんのつくった松下電器産業は、今は、パナソニックと社名をかえましたが、松下幸之助さんがつくった出版社にPHP出版があります。PHPとは、「Peace and Happiness through Prosperity」(繁栄によって平和と幸福を)という意味ですが、昭和の時代のProsperity(繁栄)の象徴といえば、「3種の神器」(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)だったわけですが、
2010年代は、その「3種の神器」が、レガシー(負の遺産)になっていくわけですね。

こんな感じで、2010年代は、2012年の巨額の赤字にはじまる家電メーカーの事業再編の10年間だったように感じます。

次回、2020年の展望に進んでいきます。

小山


インド、フィリピン、マレーシア、トルコ、インドネシア、ベトナム、バミャンマーで働く11名の喜怒哀楽の物語。 【新卒海外研修】(連載中) http://www.kuno-cpa.co.jp/recruit/shinsotsu-kaigai/