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日本選手権①1日目速報&2日目展望

男子走高跳・戸邉の五輪代表が有力に
男子100mは山縣、多田、桐生が準決勝各組を1位通過

●衛藤と松枝の五輪代表入りは世界ランキング次第

 日本選手権1日目(6月24日・大阪市ヤンマースタジアム長居)は男女5種目の決勝が行われ、男子走高跳の戸邉直人(JAL)が2m30で優勝。五輪参加標準記録の2m33は失敗したが、世界ランキングでの代表入りが有力になった。7月1日に世界陸連が発表する世界ランキングを待ち、7月2日以降の第2次発表で代表入りする見込みだ。同様に代表入りの可能性があった衛藤昂(味の素AGF)は2m24で3位。日本選手権3位以内という基準はぎりぎりクリアしたが、五輪出場資格を得られるかどうかは世界ランキング発表待ちになった。
 男子5000mは遠藤日向(住友電工)が13分28秒67で優勝。世界ランキングで日本人最上位に位置していた松枝博輝(富士通)は、13分30秒21で2位。東京五輪代表入りは衛藤と同様、世界陸連の発表待ちとなった。
 男子円盤投は日本選手権史上初めて60mスローワー3人が対決し、日本記録保持者の堤雄司(ALSOK群馬)が59m29で3年連続8回目の優勝を果たした。
 また、注目の男子100mは予選と準決勝が行われ、1組目は山縣亮太(セイコー)、2組目は多田修平(住友電工)、3組目は桐生祥秀(日本生命)が1位で、明日の決勝に駒を進めた。
【戸邉直人】
「優勝も目標でしたが、五輪標準記録の2m33を跳びたいと思っていました。記録的には残念です。低い高さで何度か失敗したのは、風が回っていて助走が安定しなかったから。風に翻弄されてしまいましたが、(優勝を決めた)2m30の3回目は風もしっかり見極め、丁寧に跳ぶことを心がけました。
(2m30の3回目はバーが揺れたが)バーに触れたのは背中かお尻だったと思いますが、踏み切った感触が前の2本よりもよく、触れてもクリアできるだろうと思いました。
(五輪代表に前進したが)5月のREADY STEADY TOKYOでポイントを上げてから、オリンピック本番を見据えて試合を絞ってきました。今日の試合も戦略的な意味合いがあったんです。これから本番に向けて、詰めの練習をしていきます」

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●2日目の焦点は男子100m。サニブラウンの復活はあるのか?

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 大会2日目(25日)は、20:30にスタートする男子100 mの決勝が一番の注目種目だ。1日目の準決勝各組の上位は以下の結果だった。
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▼男子100m準決勝1組(±0)
1)10秒16 山縣亮太(セイコー)
2)10秒22 栁田大輝(東農大二高)
3)10秒30 サニブラウン(タンブルウィードTC)
▼男子100m準決勝2組(-0.4)
1)10秒17 多田修平(住友電工)
2)10秒21 デーデー・ブルーノ(東海大)
▼男子100m準決勝3組(-0.9)
1)10秒28 桐生祥秀(日本生命)
2)10秒30 小池祐貴(住友電工)
3)10秒35 東田旺洋(栃木スポ協)
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 準決勝終了後の各選手のコメントで、拾えたものを紹介する。
【山縣亮太】
「予選はスタートで(上体が)起き上がるのが早くて脚を回せず、中盤も回転数が上がりませんでした。準決勝はスタートの出方で、体の角度を変えて臨みました。良い変化にできたのでこれを手応えとして、明日の決勝は全てを出し切ります。(サニブラウン選手は)潜在能力の大きさを近くで走ると感じますが、その状況でも自分の走りを崩さず、自分を貫くことを考えています」
【桐生祥秀】
「予選、準決勝とプラン通りの走りができたのでよかったです。どこで前半の動きをして、どこで中盤の動きをするかなど、やりたいと思った動きができました。加速も思い切ってできています。アキレス腱は歩いていても痛いですけど、スタートラインに立ったら感じません。明日は今日以上にタイムを上げないと勝てません。脚が痛いとか言っていられないですね。明日は1本なので今日より行けると思います」
【サニブラウン】
「(予選と準決勝を走ってみて)スピード自体はあることが確認できました。あとはいかに自分の走りをするか。準決勝のスタートはは予選より悪くありませんでした。しっかりブロックを蹴って出られれば問題ない。明日は万全で走ることができる」
 タイム的には1組の山縣が一番だが、予選で生じた課題を準決勝で確実に修正しているところが山縣らしいところ。決勝ではさらに走りが良くなるだろう。
 3組の桐生は風の条件が最も悪い中で出した記録である。決勝で本当に集中できれば、アキレス腱の不安を感じさせない走りができる可能性を感じさせた。
 そして一番の不確定要素だったサニブラウンの状態がわかってきた。19年世界陸上以降、1年8カ月のブランクがあり、5月の復帰戦は10秒25(+3.6)だったが、そのときよりも格段に良くなっている。本人が話すようにレースを重ねれば、一気にスピードを上げてくるのではないか。
 天気予報では雨の可能性もあるが、もしも転向が良ければ複数選手が9秒台を出す雰囲気になってきた。

 その他の種目では女子1500mで田中希実(豊田自動織機TC)が、この種目日本人初の五輪代表入りに挑戦する。女子100mハードルは予選と準決勝が行われ、こちらも天候次第だが寺田明日香(ジャパンクリエイト)に12秒84の五輪参加標準記録突破の期待ができる。女子やり投げの日本記録保持者、北口榛花(JAL)がどこまで復調しているのかにも注目が集まる。

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TEXT by 寺田辰朗
写真提供:フォート・キシモト

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