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【東京五輪陸上競技4日目(8月2日)注目選手】

男子走幅跳の橋岡と3000m障害の三浦がメダルに挑戦
橋岡は万全な跳躍でなくても予選全体3位記録で通過

 大会4日目(8月2日)の日本選手の注目は、午前中に行われる男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)と、夜に行われる男子3000m障害の三浦龍司(順大2年)だ。橋岡は7月31日の予選を1回目で8m17(+0.4)をジャンプ。予選全体で3番目の記録で、1936年ベルリン五輪の田島直人(銅メダル)以来のメダルが現実的になった。
 三浦もメダルに迫る可能性がある。7月30日の予選では1組で8分09秒92の日本新で2位。19年世界陸上ドーハ銀メダルのL・ギルマ(エチオピア)と、肩を並べてフィニッシュした。最後まで余裕を感じさせる走りで、「決勝も戦える」(順大・長門俊介駅伝監督)という期待を持つことができた。

●多かったファウルを克服

 橋岡の予選(31日)は会心の跳躍だったわけではない。
「今日の段階ではまだ万全ではありませんでした。明日修正して、明後日の決勝に向けて新たなプランでやれたら、(メダルが)近づいてくると思います」
 万全でなかったのは踏み切り前で、今季は助走スピードが上がり、「踏み切り前の勢いが増した」(森長正樹コーチ)ため、ファウルが多くなっていた。予選の橋岡は少しだけ歩幅を縮め、踏切板に合わせたところがあった。
 橋岡自身は予選後に、ファウルについて次のように話している。
「最後の4歩で駆け上がる(リズムアップする)際に、少し足が巻き気味というところがあって、重点的にドリルなどで直してきました。ファウルしない自信はありました。少し詰まったのはあったんですけど、それで合わせきれたのかなと思っています」
 踏み切り前の走りが多少窮屈になっても、予選全体で3位の記録を跳ぶことができる。6月の日本選手権で記録した8m36(+0.6)を、橋岡が五輪の決勝で超えてくる可能性は高い。
 直近の世界大会の銅メダル記録は、19年世界陸上ドーハが8m34(+0.1)、17年世界陸上ロンドンが8m32(-0.1)、16年リオ五輪が8m29(+0.3)。橋岡への期待が大きく膨らんでいる。

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●三浦のラスト1000mのタイムを過去の世界大会に当てはめると?

 男子3000m障害は、予選で8分09秒92の日本新を出した三浦が、どこまでメダルに迫るかが注目される。
 直近の世界大会の金メダルと銅メダルの記録は、世界陸上ドーハが8分01秒35と8分03秒76、世界陸上ロンドンが8分14秒12と8分15秒53、リオ五輪が8分03秒28と8分11秒52。タイムだけで見れば可能性は5割以上となるが、中・長距離種目はスローペースで展開して、ラストで一気にペースが上がる。
 残り1000mのタイムを見ると予選の三浦は2分39秒0だが、ドーハの金メダリストは2分38秒40、ロンドンは2分38秒66、リオが2分37秒43。銅メダル選手はこの数字に、フィニッシュでのタイム差をプラスすることになる。
 数字だけを見るとリオやロンドンなら三浦はメダル獲得が可能となる。ただ2000m通過がドーハは5分22秒95、とリオは5分25秒82と、三浦の予選の5分30秒9よりかなり速い。
「どんなタフな展開になってもタフについて行って、ラスト勝負をしに行くレースをしたい」と三浦は予選後に話している。
 最終的には走り始めてから、三浦が自身の余裕度を判断してどこまでトップに付いていくかを決める。予選の走りを見た長門監督は、「本人は『いっぱいです』と言っていましたが、動きに余裕がありました」と見ている。
 2000m通過で本当にいっぱいになってしまったらよくないが、5分30秒を少し切るくらいのペースなら、今の三浦の勢いなら余裕をもって通過できるかもしれない。それができたとき、メダルの可能性が膨らむ。

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TEXT by 寺田辰朗
写真提供:フォート・キシモト

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