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2019/11/17 風をよむ「~令和時代の皇室~」

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上皇陛下「今日をもち、天皇としての務めを終えることになりました。象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します」

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4月30日、「平成」最後の日に「退位礼正殿の儀」に臨まれた上皇陛下。

この翌日、「令和」最初の日から、新天皇の即位に伴う儀式が始まりました。

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先ずは「剣璽等承継の儀」

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続く「即位後朝見の儀」で、陛下は新天皇として初めてのお言葉を述べられました。

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天皇陛下「日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより、ここに皇位を継承しました」

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そして先月22日には、「即位礼正殿の儀」で国内外に即位を宣言。

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このあと、4回にわたって行われた祝宴にあたる「饗宴の儀」。そして今月9日には民間団体が主催する「国民祭典」が催されました。

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翌日10日には、即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」。沿道にはおよそ11万9000人の人たちが詰めかけたのです。

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これで「国事行為」としての、一連の「即位の礼」の儀式が終わり、14日には、即位に伴う行事の大詰めとして「大嘗祭」が行われたのです。

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五穀豊穣と国民の安寧を祈り、一代に一度だけ行われる皇室の重要儀式「大嘗祭」。

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舞台となる「大嘗宮」が新たに建てられ、さらに「秘儀」と言われる儀式が14日夜から15日未明にかけて執り行われました。

ところが、この大嘗祭については、去年11月、秋篠宮さまの発言が話題となりました。

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秋篠宮「宗教色が強いものについて、それを国費でまかなうことが適当かどうか。宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに、それは私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています」

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秋篠宮さまは、大嘗祭の費用を、天皇家の生活費などに充てられる「内廷費」でまかなうべきだと述べられたのです。

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大嘗祭にかかる費用24億4千万円は国費で支出されます。しかし宗教色の強い儀式に国費を充てることに、憲法の「政教分離の原則」に反するのでは、との指摘が長年あるのです。

日本政治思想史が専門の原武史さんは、大嘗祭の規模が大きくなった背景について…

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原武史・放送大学教授(日本政治思想史)「江戸までの天皇の位置づけと明治以降の天皇の位置づけは全く異なるわけですよね。大日本帝国憲法が出来て、その中で天皇というのが万世一系というイデオロギーの中で大きな力を持つようになる。そうすると、即位の礼とか大嘗祭というのも大がかりに派手に、大々的に行うという具合に大きく変わるわけですよね」

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大嘗祭を巡っては実は戦前から議論がありました。例えば、民俗学者の柳田国男は「古例を超過したる大建築物」と、莫大な経費と労力をつぎ込むことを批判しています。

こうした大嘗祭を巡る問題だけではありません。今、皇室を巡っては議論が避けられない課題があるのです。

戦前の大日本帝国憲法。第1条で「大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す」とし、第2条で「皇位は皇室典範の定むる所に依リ皇男子孫之を継承す」として、男子継承の規定が定められました。

そして現在の新憲法のもとでの皇室典範にも、その考えは引き継がれたのです。

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しかし現在、皇位を継承できるのは秋篠宮さまと、常陸宮さま、悠仁さまの3人のみ。

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平成の代替わり時は7人で、この30年で大きく減っています。

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2004年、当時の小泉政権は有識者会議を設置し、女性天皇や女系天皇を認める方針を打ち出すなど、皇室典範改正を目指しました。

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ところが2006年、悠仁さまが誕生したため、結果として皇室典範改正は見送られ、現在に至ったのです。

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その一方、今月行われたJNNの世論調査では、女性皇族が天皇になることに8割近くの人が「賛成」。

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「女系天皇」についても7割を超える人が「賛成」と答えています。

こうした皇室を巡る議論について原さんは…

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原武史・放送大学教授(日本政治思想史)「非常に奉祝ムードというものが高まって、天皇について語ることが畏れ多いというね、なかなか議論が深まらない。天皇の地位というのは国民の総意に基づくとある訳ですから、タブーをなくして、幅広い議論というものが私は必要だと思っています」 

新しい令和の時代を迎え、皇室を巡って活発な議論が求められています。


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