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2021年5月9日放送 風をよむ「 2021年 憲法記念日」

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菅首相(ビデオメッセージ)「現行憲法も制定から70年余り今 経過し、時代にそぐわない部分、そして不足している部分については改正していくべきではないか」

月曜日の憲法記念日、改憲派の集会に、菅総理は自民党総裁として、ビデオメッセージを寄せ、改憲への決意を語りました。

一方、護憲派集会の参加者からは…

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参加者「いま急いで改憲をする必要はありますか?集中して取り組むべきことは、コロナ対策でしょう」

コロナ禍という緊急事態の中、波紋を呼んだ改憲論議。背景のひとつには、容易に収まらないコロナの感染拡大へのいらだちがありました。

現在の「緊急事態宣言」に基づく自粛要請では、十分な効果が得られないとして、政府により強い対応を望む声が上がります。

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吉村大阪府知事「個人の自由というのが一定程度、感染拡大の時には 我慢をお願いする、義務としてお願いすることも必要だと。そういったことも議論すべきではないか」

さらに憲法に、災害時の内閣への権限強化などを定めた「緊急事態条項」を設けるべきという意見が与党内から上がり、菅総理からも…

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菅首相(ビデオメッセージ)「新型コロナへの対応を受けて緊急事態への備えに対する関心が高まっています。国家や国民がどのような役割を果たし、困難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題です」

しかし、去年から、時短や休業の要請を出されている飲食店からは、とまどいの声が上がっています。

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藤嶋由香さん(新橋「やきとんユカちゃん」店主) 
「自分の生活だけではなく従業員も、付随する業者さんもいらっしゃるので、皆を助けるって意味でも営業せざるを得ないです。生きていくために今、お店をやっている状況で、『憲法』で定められている 『営業の自由』を、心の糧に営業しています」

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憲法22条にある『職業選択の自由』。そこには、選択した職業を遂行する自由、『営業の自由』も含まれると考えられています。

新型コロナの感染拡大で、憲法の意義が改めて問われる中、木曜日、憲法を巡って大きな動きがありました。

衆議院憲法審査会(5月6日)「賛成の諸君の起立を求めますー」

憲法改正の手続きに関する「国民投票法改正案」が、与党に加え、立憲民主党などの賛成多数で、衆議院憲法審査会で可決されたのです。

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これまで反対してきた立憲民主党も、資金力のある政党や団体が有利になるようなテレビCMなどの広告について、今後3年の間に「必要な措置を講じる」との一文が加わったことで賛成に回りました。

自民党・新藤義孝衆院議員「この国民投票法の議論は、本日で終わりではありません。通過点であって、憲法改正の議論もさらに進めていかなくてはならない」

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一方、憲法改正の手続きを巡っては、今回、改正法が成立する見通しとなった「国民投票」に加えて、憲法96条で、国会議員の3分の2以上の賛成による「発議」が必要とされます。

先月、憲法に関するシンポジウムに出席した安倍前総理は…

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安倍前首相 「国会議員の3分の1ちょっとが改正反対であれば、国民の半数以上が賛成であっても変えられないのは、いかがなものかと今でも思う」 

憲法改正の発議に、衆参国会議員の3分の2以上の賛成が必要なのは、ハードルが高すぎると語り、改めて憲法改正への強い意欲を示したのです。

新型コロナという非常事態を前に、憲法改正を巡る議論がおきています。

しかし、その一方で、こうした状況に慎重な姿勢を示す専門家もいます。

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伊藤塾塾長 伊藤真弁護士「非常事態のようなときには、どうしても何か解決策を生み出したい、憲法を変えれば上手くいくのではないかと、期待したいような気持ちが盛り上がってしまう。拙速な手続きで、これが決められてしまう恐れがある。ですが、ドイツですとか、アメリカ、イギリス、そういった所は憲法の緊急事態条項でなく、法律によってちゃんと対応している。憲法を変えて緊急事態条項を持たなければコロナに対応できないというのは、事実として全く間違っている」

コロナ禍で巻き起こった憲法論議。わたしたちはそれをどう受け止めたらいいでしょうか…。
 

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