2021年11月14日放送「風をよむ~世界で問われる人権」
「人権はどこに?」と書かれた紙を掲げる人…。凍えるような寒さの中、不安そうな子供たち…。
今、ベラルーシ西部の、ポーランドと接する国境付近に、大勢の移民が押し寄せ、緊張が高まっています。
EUは、ベラルーシが意図的に移民を送り込み、越境を試みさせることで、EU側に混乱を招こうとしていると厳しく非難。
EU・ボレル上級代表「ベラルーシ当局が政治的な目的ので、人間を“道具”として使っていることは明らか」10日
国内で人権弾圧を進めるベラルーシのルカシェンコ政権に、EU側が科した制裁措置に、対抗する狙いがあると見ています。
こうした人権にからむ問題が、今、世界で注目される中…
水曜日発足した第二次岸田内閣は、新たに「人権問題」を担当する総理補佐官のポストを設け、中谷元防衛大臣を起用しました。
中谷元 元防衛相「日本が国の内外の人権にどう向き合うのか、それを総理に提言していきたい」10日
今回のポスト新設は、中国政府による人権弾圧に対応する狙いがあると見られていますが、中国政府は早速反発…。
中国外務省・汪文斌報道官「指摘するが、中国の内政は外部勢力による干渉を許さない」
その中国を巡る人権問題といえば…
2年前、ネットで公開され世界に衝撃を与えた動画。中国の新疆ウイグル自治区で、「目隠し」と、「後ろ手に手錠」をされた数百人の男性の連行される様子が報じられました。
さらに、別の映像では、中国共産党への忠誠を繰り返させる警察官の訊問の様子も…
収容所の男性「共産党がなければ、新しい中国がなかった」
警察「やりなおせ!」
アメリカ政府によると、今も100万人以上が強制収容されている可能性があるとされ、今年3月、アメリカやEU、イギリスなどが揃って中国への制裁に踏み切りました。
イギリス・ラーブ外相(当時)「はっきりしているのは国際社会として見て見ぬふりはできないこと」3月
特に、中国と貿易での結びつきが深いEUが制裁に加わるのは、1989年の天安門事件以来です。
イギリス・ジョンソン首相「G7は民主主義と自由と、人権の素晴らしさを世界に示す必要があります」6月
ところが、そのG7の一員である日本は、この問題について「深刻な懸念」を表明するにとどめ、G7の中で唯一制裁に加わっていません。
また、今年2月にクーデターを起こしたミャンマー軍に対しても、新規のODA=政府開発援助は停止しているものの、欧米諸国による制裁には加わらなかったのです。さらに…
ナワリヌイ氏「私は何も恐れていない。入国手続きをして家に帰ります」
今年1月から収監が続く、ロシアの野党勢力指導者ナワリヌイ氏。欧米のリーダーたちは、プーチン政権の人権侵害を訴え、即時解放を主張しました。
メルケル首相「プーチン大統領に、ナワリヌイ氏の釈放を求めます」8月
ところが、この問題についても、日本は明確な姿勢を示していません。さらに日本も今、人権を巡って、厳しい批判に晒されているのです―
ウィシュマさんの妹 ポールニマさん「ビデオは誰が見ても入管の中で、姉が殺されたことがわかるものです。だからみんなに見てほしい―」9日
今年3月、名古屋入管の施設に収容中、死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん。火曜日、遺族が名古屋地検を訪れ、「告訴状」を提出しました。
収容中、嘔吐を繰り返すなど、体調不良を訴えるウィシュマさんに対し、適切な医療を提供せず、死亡させたとして、当時の局長ら職員、少なくとも7人を殺人罪に問うべきとしたのです。
他にも、「給与未払い」や「失踪」といった問題が多発する日本の「外国人技能実習制度」についても、アメリカ国務省の報告書が「外国人労働者の搾取」と指摘するなど、批判の声が上がっています。
「SDGs=持続可能な開発目標」の中でも触れられ、いまや世界の関心事となった人権問題。
世界の人権への姿勢は、変わることができるのでしょうか―
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