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2019/1/27 風をよむ「中国製造2025」

・世界強国を目指す中国

・宇宙開発やAIなど様々分野で急速に進む技術革新

・中国の躍進が世界に与える影響

中国国営放送CCTV「生殖を目的とするゲノム編集を行ったことが国の関係部署の調査で分かりました」

21日、中国の国営メディアが報じたニュース。それは人間の科学技術が、神をも畏れぬ領域に踏み込んだことを認めるものでした。

去年11月、中国の研究者が世界で初めて、狙った遺伝子を改変する先端技術、いわゆる「ゲノム編集」を使って、双子を誕生させたと発表した問題。

誕生が事実なのか、疑問の声も上がっていましたが、今回、中国当局はその事実を確認したのです。

容姿や能力など望み通りの人間が生み出される。そうした技術開発はまさに禁断の領域として、多くの国が禁止しています。

中国当局も今回の研究については、功名心と自己の利益のためなどと非難し、違法行為であると判断しましたが、その一方で23日には、中国の研究機関が、こうしたゲノム技術を使ったサル5匹を誕生させたと発表。

中国国内で、先端技術の研究が急速に進んでいる状況を伺わせたのです。


習近平・国家主席「先進的製造業の発展を加速させ、インターネット、ビッグデータ、人工知能(AI)と実体経済との高度な融合を促す」

国家戦略「中国製造2025」のもと、現在、科学技術開発にひたすら邁進する中国。

宇宙飛行管制センター管制官「探査機は正常に着陸しました」

年明け早々、中国は人類史上初となる月の裏側への、探査機着陸に成功。

さらに探査機「嫦娥4号」の中で、地球から持ち込んだ植物の種の生育実験を行い、月面で初めて、綿花の種の発芽に、成功したことを明らかにしました。

北京市民「中国のテクノロジーは、武器にしても、他のものにしても世界をリードしています。中国は強国ですから―」

さらに18日には、中国共産党の機関紙・人民日報系のネットサイト「環球網」で、日本企業がイギリスでの原発建設計画を凍結させたことに触れ、チャンス到来とアピール。「中国の原発企業はこのチャンスをつかむべきだ。中国が建設する原発に対する良い評価を言わせることができるだろう」

中国は原発建設を積極的に推し進めており、2021年には船の上に原発を積んだ「海上原発」の運転開始を目指しています。また2026年までに世界最大の原発大国になるとする報告書もあります。

様々な科学技術の分野で急速に台頭する中国。去年、文部科学省の研究所が発表した報告書によると、2016年の中国の研究開発費は45兆円を超えて、日本のおよそ2.5倍。

科学技術の研究論文数でも、2016年に中国が初めてアメリカを抜いて世界トップになるなど、科学技術強国としての存在感を増しつつあるのです。

しかし、こうした技術開発には危うさもつきまといます。例えば…

中国の山あいを離陸し、鳥のように飛び回る119機の無人機・ドローン。

これは中国の国有企業が発表したドローンの群集飛行の様子です。

さらに、ドローンによる攻撃を描いたCG。

日本の防衛白書平成30年版は、こうした中国で進むドローン技術や、AI=人工知能の技術が「軍事転用」される危険性を訴えています。

さらに中国で進む技術開発を、安全保障の脅威と捉えるケースも現れています。

米共和党・ガードナー上院議員「中国による知的財産の盗用、ファーウェイの技術によるサイバー空間でのスパイ行為への懸念が深刻になっている」

米中の貿易戦争が激しさを増す中、アメリカ政府は去年、中国製の通信機器を通じて機密情報が盗まれる恐れがあるとして、ファーウェイなどの製品を政府機関が使うことを禁止。

今月、日本メディアの取材に応じたファーウェイの創業者は・・・

任正非CEO「アメリカのそういった発言は事実に基づいていない。推測である。誰かから何かするよう指示を受けたことはない。今後もない。あったとしてもやらない」

しかし、安全保障上の懸念から、ファーウェイを排除する動きは世界に広がっています。背景には2017年、中国政府が施行した、企業などにも国の情報活動への協力を義務づけた「国家情報法」があるといわれています。

ゲノム技術に、宇宙開発、AI、インターネット…急速に進む中国の技術開発は、今後どういった方向に進むのでしょうか

「風をよむ~中国製造2025」

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