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2021年6月27日放送風をよむ「赤木ファイルとジャーナリズム」

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立花隆さん「トップにできる絶対必要なやるべきことは、結果責任を取ること。何かが起きた時に。それが取れないのは、その組織がダメだということ」

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戦後日本のジャーナリズムに大きな足跡を残した、ノンフィクション作家の立花隆さん。4月30日、入院先の病院で、急性冠症候群のため亡くなっていたことがわかりました。

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1974年、当時の総理・田中角栄氏を巡る資金の流れや蓄財の実態を、調査・分析した「田中角栄研究」という記事で、話題を呼んだ立花さん。

田中角栄首相(当時)「田中の日本列島改造などというのはあれはダメだな、ダメだと言うならそれより良い案を出しなさい」

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田中金脈の実態を暴いたその記事が、引き金となり、その二ヶ月後、田中内閣は総辞職に追い込まれます。

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田中元総理がロッキード事件で逮捕されたのは、その2年後でした。

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立花隆さん「日本の政治をカネで毒した田中金権政治をなくすことが、本当の意味での決着だと思う」

強大な政治権力を厳しく問うジャーナリズムの力を、天下に示す先駆けとなったのが、立花隆さんでした。

その立花さんの死が報じられる直前の、この6月22日、奇しくも、政治の闇を巡る、大きな動きが伝えられました。

赤木雅子さん「これ夫の字です。夫の字です」

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森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自ら命を絶った、近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんが、その改ざんの過程を記した、いわゆる「赤木ファイル」。

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去年3月、赤木さんの妻・雅子さんは、国と、当時の財務省理財局長・佐川宣寿氏を訴える裁判を起こしました。

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赤木雅子さん「もう今からは、夫のためにできることは、自分ができる限りのことはやりたい」

この裁判で、夫が残したファイルの開示を求め続けてきた雅子さん。その願いは火曜日ようやく実現、ファイルが雅子さんの元に届いたのです。

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518頁に及ぶそのファイルには、財務省の記録文書の改ざんについて「いつ」「どんな指示があったのか」が、細かく記されていました。

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赤木雅子さん「本件の備忘として修正等の作業過程を下記のとおり記録しておく。備忘記録、これ夫が作ったものに間違いないと思います」

ファイルの冒頭、赤木さん本人が書き残した「備忘記録」には、アンダーラインが引かれた箇所が。そこには、こう記されていました。

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「既に決裁済の調書を修正することは問題があり、行うべきではないと、本省審理室担当補佐に強く抗議した」

安倍晋三首相(当時)「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」

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赤木さんに、財務省理財局から改ざんを指示する最初のメールが、送られてきたのは、この発言の9日後のことでした。

「今後開示請求があった際のことを踏まえると、現時点で削除したほうが良いと思われる箇所があります」

本省理財局は、改ざん部分を指示した上で、改ざん後の文書を返送するよう要求。「できる限り早急に」と、念押しまでしていました。

また、2017年の3月20日のメールには、当時の理財局長・佐川氏から改ざんの指示があったことをうかがわせる、次のような記述も・・・。

「局長からの指示により調書につきましては、現在までの国会答弁を踏まえた上で作成するよう直接指示がありましたので」

こうした指示のもと、改ざん作業をつづけた赤木さん。この間に、次のようなメールを、財務省に送っていました。

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「既に意思決定した調書を修正することに疑問が残る」

自分が携わる作業への、深い疑念と、背後に潜む巨大な闇への憤り。
  
野党は真相究明のため、ファイルの原本の確認を要求しましたが、麻生財務大臣は・・・

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麻生太郎財務相「訴訟指揮に従いながら、国としては多くの資料の中からこの種のことに関連するというものを適切に出してきたと思うんですけど」

政府は、原本の開示に消極的な姿勢を示しています。

赤木雅子さん「国は第三者委員会による再調査を行い、事実を細部まで明らかにして、未来への教訓にするべきではないでしょうか」

47年前、強大な権力に切り込み、総辞職へと追い込んだ立花隆さん。 巨悪に立ち向かってきたその心境を、こう振り返っています。

「どんな堅い板でもねばり強くやっていれば、やがては穴が開くものだと、感ぜずにはいられない。途中で挫折して、書くのをやめなくてよかったと思う」

行政官庁を舞台にした、前代未聞の公文書・改ざん事件。深い闇から、真実を見つけ出す動きは、まだ始まったばかりです。


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