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「緊急事態宣言」延長を主張 専門家会議に参加の和田耕治教授インタビュー

「5月6日までとなっている緊急事態宣言の期限を延ばすべき」。政府の専門家会議に参加している国際医療福祉大学・和田耕治教授は、もう少し時間が経たないと効果を評価できないとしつつも、そう主張しました。

Q.「濃厚接触者」の定義が変更になった。市民はどのように受け止めれば良いか

※濃厚接触者の定義変更・・・ 国立感染症研究所は濃厚接触者の定義について、マスクなどの感染対策をしないで接触した人のうち、患者と接触した時期をこれまでの「患者が発症した日以降」から「患者が発症した日の2日前」に、患者との距離や接触時間を「目安2メートル以内」から「目安1メートル以内で15分以上接触した人」と変更した。

和田教授:
いわゆる「濃厚接触者」と言われる方、これが「発症した方と(発症の)2日前から接した」というのをカウントするというように定義が変わりました。これまでは発症した日に接触があればその方を「濃厚接触者」としていたが、症状のはじまる2日前からを含めるというのが大きな変更です。さまざまな論文でも出ていますが、症状が出る前からウイルスが出ていたということが分かりましたので、今回そういった対応を含めた形になります。

いわゆるインフルエンザとはまた違いまして、インフルエンザも発症する1日前からほかの人にうつしうることが実験的にわかっていますが、それよりも新型コロナはほかの人にうつす期間が長くて、しかも2日前のウイルス量が比較的多いということがわかってきている。インフルエンザは1日前から出ているとは言いつつも、ウイルス量は症状が悪くなっていくに従って増えていくのが特徴だったんですが、新型コロナはそれとは違って、比較的元気な方がこういう風に声を出すことによって相手に感染をさせてしまうことがわかった。

15分程度でも1m以内でお互いにマスクをしていない中での感染もありますので、「1m以内の15分」というのを目安として入れました。しかしながらすべてがそうだというわけではなく、外であったら換気がいいので、カウントしなかったりとか総合的に考えることにはなっている。

Q.市民はどこに気をつけて生活するべきなのか

和田教授:
今後は話をするときには、マスクをしていただく。これはいわゆるガーゼマスクでも結構ですし、スカーフのようなものやバンダナのようなものを使ってもいいというのはアメリカのCDC(疾病対策センター)にも書いてあります。話すときは1m、できれば2mの距離をあけること、できれば口を覆うようなマスクをしていただく、習慣としてやっていただく必要があります。

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Q.1mの距離で15分以上が濃厚接触者というと飲食店に2人でいくのも・・・

和田教授:
今後少しずつ生活のリズムを取り戻す中で・・・例えば外食に行くようなところが今閉まっています。どういう風にしたらいいかは非常に悩ましくて、少し距離をあけるとか、換気を良くするとかがあります。一方で、お話をすると感染してしまうのがありますから、なかなか、外食産業にはいろいろなことを考えていただかないと、いけないなと考えている。

Q.発症前の人も移してしまう可能性があるとなると、どう気をつければ良いのか

和田教授:
誰もが感染している可能性があるというのを考えるのは非常に差別とか偏見にもつながりうるので難しいところはあります。しかしながら逆に言うと、お互いが思いやるということで、自分がうつすかもしれないし、うつされるかもしれない、ということで顔を覆っていただくというのが今後1年以上は習慣として根付いてくるものになるんじゃないかと思います。

Q.フェーズが変わってきている

和田教授:
世界的に広まっていますので、誰もが「自分がもしかしたら大事な人にうつしてしまうかもしれない」「近しい方からもらうかもしれない」ということを考えてのマスクの着用ということ、距離をあけるということが今後根付いていくことが求められます。

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Q.発症前は感染させるリスクが低いと言われていたがなぜこの段階で変更になったのか

和田教授:
これまでの研究の積み重ねにより、2日前も含めることによって感染の拡大を抑えられることがわかってきた。新型コロナは12月30日くらいから話題になり始めて、いろんな研究がなされて3、4か月の間にいろんなことがわかってきた。今後も、新たなことがわかってきて、対応が変わるようなこともあるかもしれません。しかし、できることをどんどんやっていくことが大事になってきます。

Q.海外の知見では発症前のクラスター(集団感染)もあるが

和田教授:
実際に起きたクラスターの分析だとか、研究も含めてウイルスの量を確認したことによっての変更になります。

Q.「緊急事態宣言」が出て2週間。感染者の数の評価

和田教授:
ちょうど私たちが感染者の数としてみるのが2週間前の人たちが潜伏期間を経て、発症して、検査に至ってということになりますので、今日(21日)の段階ではまだ緊急事態宣言がどういった風に感染者を減らしてるのかと考えることはできません。様々な形で皆さんにご協力いただいて、自粛をしていただいたりだとか、テレワークをしていただいたりしています。

人々の行動の減少が感染者の減少にもつながってくることはわかっていることですが、今の減少の度合いが実際にどのくらい変わるかということはもう少しデータをみないとわかりません。場合によっては減りが悪いようであれば、もう少し自粛をお願いすることもあるかもしれませんし、逆にいい成果が得られてるようであればこういったものをスタンダードにしながら1、2年をどう乗り越えていくのかということの基礎データにもなると考えています。

Q.5月6日に解除になるが・・・宣言の効果は

和田教授:
今日の段階では難しいが、5月6日の前にはある程度出そろったデータはお示しすることができるかもしれません。しかしながら、緊急事態宣言をどうするかということに関しては、一番はまず感染者の数がどうかということ、もう一つは医療の負担がどのくらいあるかということになります。

いま入院されている方、今日何人か出た場合にはその方々が大体20日位入院が必要になります。そうすると5月6日の段階には、その方々が毎日蓄積された方が、病床を埋めているという状況になります。今の状況から考えると、病床は非常に逼迫をしております。もちろんホテルの中に移っていただく方も増えてはいますけれども、まだまだ重症の方も増えてますし、亡くなられる方も増えてきています。ですので5月6日の段階で緊急事態宣言を終わる、ということは個人的にはないと考えています。いわゆる東京とか大都市はそうだと考えています。

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Q.一番大きな理由は

和田教授:
延長が必要だというひとつの大きな理由は、やはり病床の確保の問題だと思っております。かなり患者さんの数も多いですし、医療者の負担も大きくなっています。ですので、また再開してまた患者さんの数が増えるといわゆる医療崩壊がまた起きてしまうということにもなります。すでに起きているような地域もありますので、今後この中長期戦のなかでどう戦いを展開していくのかということからすると、この段階でしっかりと患者さんの数を減らす、ということがとても重要

Q.6日の解除は全国一律の対応が良いのか、段階的な方が良いのか

和田教授:
私は公衆衛生が専門なのですが、全体の対策を考えたなかで緊急事態宣言はもう少し比較的長めに出して考えるのが良いのかと考えています。1か月か2か月かわかりません。全国を対象に緊急事態宣言を1か月2か月延ばす。それによって何をするかというと今後は政府もいろいろな取り組みをしますけれども、各都道府県が自分のところの状況をみて対策を考えていくことが1~2年必要なんですね。

各都道府県が、病床がどうなっているか、感染状況がどうなっているか、検査はどのように確保するのか、自粛はどうするのか、建物の使用制限はどうするのか、学校はどうするのかということをみんなで知恵を絞って考えていかなければならない。もちろん都道府県のなかには専門家がたくさんいるような地域が東京も含めありますけれども、一方全然いないようなところもある。その場合はお互いの都道府県の政策の良好事例を共有していただきながら、どうやってこの難局を乗り越えていくのか、ということを考えていくしかないと思います。

ですので、緊急事態宣言を少し長めにしながら都道府県のリーダーシップをここで確立する。知事や市町村長のリーダーシップを非常に大きく期待しています。もちろん彼らは専門家ではありませんので、その中での専門家というのを含めて体制を作っていく、そんな時期だと考えています。

Q.緊急事態宣言は全国一律に延長して、個々の対応を都道府県知事が考えることが必要

和田教授:
そういうことですね。

Q.延長のスパンについて先生の意見は

和田教授:
難しいですね、難しいです。流行の状況を見ながら考えていかないといけないです。患者の数だけではない。医療機関のなかでの院内感染があると50人~100人という人方が感染したりする事例もあります。

一方で地域での流行をみるなかで、いわゆる孤発例はどれくらいか、弧発例かどうかは感染された方がどの程度情報を開示してくださるかにもつながる。今後、今感染者が少ない地域でも、もし不幸によって感染されたような方は、ほかの人に広めないために様々なご協力をいただかなければいけません。誰と会ったのか、どれくらい話をしたのか、その方に連絡していいのかというところが、より積極的な疫学調査という名のもとでの、保健所での対応につながるわけです。

場合によっては今他の国でもやっていますが、スマートホンのアプリの中に誰と会ったのかというような情報共有をしていく、発症した場合にはその記録をもとに、もちろん本人の同意をとりながらその方々に連絡をする
ということを今後日本でもやろうと考えています。

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Q.少なくとも1か月以上は延ばさないといけない?

和田教授:
それは時間の問題じゃないと思うんですよね。地域での感染の状況によりますし、緊急事態宣言を短くするということが良いことかわからないのですが、だんだん出たり消えたり、出たり消えたりというのが、インパクトが小さくなることを危惧しています。

緊急事態宣言以上のものは今もうないので、私たちがもしそこに慣れてしまって「いつものものか」と思うことがないようにしないといけない。外出を自粛されて普段の生活とは全く違うようになって、お仕事がなくなったり給料も減らされている、いろんな方が本当に不安に思っていらっしゃると思う。でも中長期的なところ、みなさんには少しずつ理解していただく、この生活が1年間続いたらどうするかといったところを、事業者も個人も頭の体操をしながら、どうしたら自分たちの会社や個人の生活が守れるかといったところを考えていただく時期にあると考えています。

Q.学校を再開させていいのか

和田教授:
「緊急事態宣言が出ている=学校を閉める」と思っていらっしゃる自治体の知事が多いように危惧しています。学校といってもいろいろありまして、小学校・中学校・高校・大学、幼稚園。そのなかで特に強調したいのは、小学校・中学校は比較的生活圏のなかである程度限定した動きになる。都市で患者さんが発生しているような地域は、本当に難しいところはありますが、患者さんが全然出ていない生活圏のなかでは、学校やっていただくのは全く問題ないと思っています。

学校の先生方も、小・中に関しては市町村が主な担当になりますので、自分のところの生活圏を見ながら、どうやったら学校ができるのかということを真剣に考えていただきたいと思う。ひとつには生活圏の患者さんの数がどうかということを、特にここ1~2週間をモニターしていただくことがひとつ、もうひとつは特に中3とか小6とか、卒業が近い方々は1年間学校に行けないといろんなことが困る。どこを優先してやるかというところを知恵を絞って、例えば(月)(水)(金)は奇数の番号が末尾の方とか、(火)(木)(土)はそれ以外の方とか。いろんな知恵を絞りながら「どうやったら少しでも来られるのか」といったことを現場で実践していただきたいと考えています。

高校と大学については比較的eラーニングみたいなものができてたりしますし、長い距離の移動があるのでまだ再開はその地域の中での流行があれば難しいところはあります。でもこれも同じで、高3とか大4とかちょっとメリハリをつけながらどうやったらいいかということも含めて、市町村・都道府県で考えていただきたい。

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Q.緊急事態宣言が延長された場合は出勤の自粛も継続した方がいい?

和田教授:
この後1~2年はテレワークが当たり前にできるようになっていなければなりません。これは都市部だけではなくて、すべての都道府県に言えることだと思っています。まだまだテレワークの導入が少ない、それは流行があまりないから、という地域もあるかもしれませんが、できるように準備をする・実践をすることが大事だと思います。

Q.感染した人の職場復帰について

和田教授:
今、感染してしまっている方がけっこういらっしゃるんですが、その方々がいつ職場に戻るのかは非常に難しい問題です。今の段階では都道府県の流行の状況にもよりますが、基本的には検査をしてマイナスの場合には退院という形で、自宅に戻られてということになります。1回症状が出て、出なくてもですけど、そのあとある一定の期間、2週間をめどに症状がない状態であれば、基本的にはマイナス(陰性)で退院した場合には職場に出てきて良いという考えが基本的です。もちろん企業や病院によっては、それでも、もう数日待ったりとかしているところもありますが、それは労使の中で話合いをして、決めるしかないと思います。

一方で中長期でみると、感染をしてしまった方が出てくると思います。いま抗体検査をやっている国もありますが、たとえば医療従事者の中でもいったん感染してしまったらその方はしばらく感染しないかもしれないということを考えると、むしろ関わっていただいた方がいいんじゃないかという考えもあります。

一方で、まだまだ分からないのは、一回感染した場合に、その後にもう感染しないのかというと、これはまだ分からない。ですが、直前は比較的抗体もあるはずなので、守られてるはずですから、もしそういった状況になってくればですね、抗体検査である程度免疫がある方については、前線で引き続き仕事をしていただくという考えはあります。ただ、もちろん、無い人との公平感ですとか、いろんな課題がありますが、ここは本当にみんなで知恵を絞ってやっていくしか無いと思っています。

Q.最後に伝えたいこと

やっぱり私が一番注目しているのは、中長期のことなんですね。このウイルスは、1年、場合によっては2年、3年と続く可能性があります。ですので、みなさんの中で、学生さんにしても大人にしてもいろんな生活の面で共存していくにはどうするかというところが出ています。ですので、感染対策に関しては新しい生活習慣というのが追加になります。たとえば、話をするときにはマスクをしましょうとか、手洗いをこまめにしましょうとかということもあります。

一方で、仕事のほうの三密を避けるようなことは引き続き、自粛を求めることにもなります。たとえば、地域を越えたような移動というのもまだまだ今後難しいです。特に、国を超えたような移動というのはかなりいま制限がされていますので、これをどうやって開いていくのかということも含めて、非常に難しいと思っています。ですので、いろんな意味でそれぞれの生活を守っていきながら、世界との共存というのが大事になってきます。

そのなかでひとつキーワードになるであろうことはやっぱり今まで以上に皆さんが住んでいらっしゃる地元を大事にしていただくことかなという風に思っています。生活圏のなかで感染が少し落ち着いていれば、地元の中での交流はできないわけではないので、注意しながらやっていただくだとか、しながらこの難局を乗り越えていく必要がある。年単位ですね。

もちろん地域を超えた移動というのはたとえばご両親がおられて介護が必要でっていう方は、これはもういかなくてはいけない時もあると思います。たとえばゴールデンウィークにいま飛行機が満席でっていう話がありますが、もし、どうしても行かなければならない方がおられると思います。ですから逆に今の時期だと、もしかしたら少ないようであれば、今のようなときにお休みを振り返るようなことも、もし会社側でできるようであれば、やっていただくとか、しながらですね。テレワークが、もしご実家でもできるのであれば、いま行っていただいて、必要なことをして戻るということで少し分散してような移動っていったこともですね、もちろん最低限にはしていただきたいわけですけども、そういった工夫もひとつありなのではないかと考えます。

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