今週の数字1029

今週の数字「3.5%」

TBS報道局編集主幹 播摩卓史

26日に発表されたアメリカの今年7-9月期の実質GDPは、前期比年率換算で3.5%増となり、トランプ政権が“公約”とする「3%成長」をまたしてもクリアしました。前期(4-6月期)の4.2%増という驚異的な数字からは減速したものの、発射台が高かったことを考えれば、今期も相当の“高成長”といえます。中でもGDPの7割を占める個人消費が4.0%も伸び、雇用や賃金の改善が消費を刺激する好循環が続いていることをうかがわせています。

その一方で、貿易戦争への不透明感からか設備投資は0.7%増にとどまり不振、輸出はドル高もあって3.5%減と7四半期ぶりにマイナスに転落するなど、突っ込みどころもなくはありません。それでも潜在成長率が2%を切るとされるアメリカで、この数字は“絶好調”と言って良い数字です。トランプ氏が大統領選挙中に「3%成長」を唱えた時は、皆「できる訳がない」と笑ったものですが、それが実現しているのですから驚きです。

しかし、26日のNY株式市場は、「終わった話はどうでもいい」とばかりに、この数字に全く反応せず、逆にハイテク企業の今後の業績などを不安視して、ダウ平均株価は295ドル安と再び大きく下げ、このところの下落傾向に歯止めをかけることさえできませんでした。市場関係者の間には、それだけ「アメリカ景気の天井感」が出てきているということでしょう。10月に入ってからの株価下落はすでに2000ドルを超えており、今回の下落局面が当初言われていた一時的な調整に終わるのかどうか、いよいよ見極めどころを迎えています。

BS-TBS「Bizスクエア」2018.10.28放送