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映画『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』遂に山野井泰史が登壇!貴重な瞬間が観客を魅了!!

TBS が立ち上げたドキュメンタリー映画の新ブランド『TBS DOCS』より、映画 『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』が 11 月 25 日についに公開。翌 26 日に、公開記念舞台挨拶が東京・角川シネマ有楽町にて開催され、山野井泰史と、武石浩明監督が登壇した。

公開を迎え、「本当に映画館でやることになっちゃったんだなあっていう感じがしています」と笑顔を見せる山野井は、本作の映画化について「TBS のドキュメンタリー番組の制作の時のことは『いいですよ』とお答えしたことを覚えているんです
が、映画になることについては言われたような、言われてないような感じで始まったんです。僕が他のことを考えているときを狙って話をされたのかも(笑)」と述懐。自身の人生を大きなスクリーンに映し出されることにも「これを目指したわけじゃないので、まぁいいんじゃないんですか?」と飄々とした表情を浮かべた。
監督も「山野井さんからは自分から撮ってくれとは一度も言われていないんです。『じゃ、まあいいですよ』という感じで承諾をいただきました」と苦笑いし、自身の情熱で作り上げていったことを吐露。当然のことながら、山野井から『こう撮ってくれ』という注文はなかったそうだが、唯一のリクエストは「ブダイを釣り上げるシーン」だったとのこと。

山野井は「うちの近くの港で釣りをやったんです。小っちゃいネンブツダイをたくさん釣り上げて。その時だけ、『向こうから撮ったほうがカッコいいと思うよ』と一言いいましたね(笑)」と楽しそう。監督は「映像を見てもらうと分かりますが、山野井さんは拾ってきたような釣り竿を使っているんですよ。餌も 30 円で。せめて 60 円の餌を使ったら?と言ったら『その値段ならイワシが買える』って言うんです」と言って、山野井の素朴な一面を明かした。
完全版として追加になったシーンについて、監督は「何か足りないものを感じていて。ソロのくだりでは亡くなってしまう方が二人出てきますが、山野井さんをソロクライマーとしてどう描くかということも含めて、ソロクライマーの方の部分を付け加えました」とこだわりも。
本作のナレーションには、山好きとしても知られる俳優の岡田准一が担当。岡田も山野井を「混じり気のない、眩しい存在。生き方に美しさを感じる。日本が誇る、知ってもらいたい日本人だ」と称えるが、山野井は「(奥様の)妙子の実家のほうで
岡田准一さんと関係性ができた、繋がりができたと喜んでいました」と笑いつつ、「自分もパキスタンの山に登った時の記録にナレーションを入れてみたんですが、棒読みでお経のようになってしまって。やっぱりプロは違うんだなと思いました」と岡田を絶賛。監督も岡田の起用に「最初は岡田さんで(映画を)売るのかと思われるんじゃないかとも考えましたが、結果的に岡田さんが良かった。山野井さんと岡田さんは妥協しないところが似ている」と満足気だった。

武石監督は以前から山野井のドキュメントを撮りたいと願っていたが、監督の印象を山野井は「最初はマスコミの人の怪しさがあって・・・(笑)、ちょっと警戒していたのを覚えています。でも、今までいろんな方と会ったけど、(マスコミ人の中で)一番体力がある。冬の富士山でも、カメラマンは追いついていけないのに、彼は走って一生懸命追っかけてきたんです」と語り、徐々に二人の絆が深くなっていった様子をうかがわせた。
また、映画の中でも大事なポイントとなる「マカルー西壁」についても触れ、「結果は失敗したけれど、突き抜けた取材になった。彼をもう一度撮りたいと思ったきっかけです。全てが成功で終わる人には本当の意味で勝利の美酒を味わうことが
できないのかも。山野井さんは決してキレイな登山家ではないけれど、失敗があってそれを乗り越えるところがいいんです。ボロボロになってもまた挑戦する姿が映し出されていることがこの映画の魅力だと思っています」と、改めて山野井を称え
た。
今後の山野井の活動も気になるところだが、「実は先日また登山にトライしたんですが、肉体的に無理を感じました。いつも以上にトレーニングをしたんですが、仕方ないなと」と残念がるも、「次は何で遊ぼうかなと考えています(笑)」と目を輝
かせ、すでに前を向いていた。
最後に山野井は「僕が主人公になっているので、僕の名前は 1 か月くらい覚えてくれているかもしれませがん、映画の中には何人か亡くなられている方もいます。その方々の名前も 1 週間くらいは覚えていてください」と、同じく山登りに情熱を
かけていた同士に敬意を払い、監督は「自分の好きなことをやり続けようと思って、いまだに続けている山野井さん。誰しも大切なもの、やりたいものがあっても、できなかったり、諦めてしまうこともあるかもしれないけれど、彼の姿を見て“燃えるための酸素”をもらえるような映画になっています。ぜひご覧ください」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。

■作品概要■
語り:岡田准一 監督:武石浩明
撮影:沓澤安明 小嶌基史 土肥治朗 編集:金野雅也 MA:深澤慎也 音楽:津崎栄作
企画・エグゼクティブプロデューサー:大久保竜 チーフプロデューサー:松原由昌 プロデューサー:津村有紀
TBS DOCS 事務局:富岡裕一 協力プロデューサー:石山成人 塩沢葉子
製作:TBSテレビ 配給:KADOKAWA 宣伝:KICCORIT 2022 年/日本/109 分/5.1ch/16:9 ©TBSテレビ

2021 年、登山界最高の栄誉「ピオレドール生涯功労賞」をアジア人として初受賞。世界の巨壁に《単独・無酸素・未踏ルート》で挑み続けた登山家・山野井泰史。はじまりは 1996 年、ヒマラヤ最後の課題「マカルー西壁」に単独で挑む《究極の挑戦》への密着取材。その後、山野井をめぐっては、2002 年に凍傷で手足の指 10 本を失うこととなるチベット・ギャチュンカンでのサバイバルがあり、2008 年には奥多摩山中で熊に襲われ重傷を負うアクシデントにも遭った。それでもなお“垂直の世界”に魅せられ、挑戦し続ける登山家の魂にカメラは迫る。ナレーションは、今回初めて”語り手”としてドキュメンタリー映画に参加する岡田准一。監
督は自らもヒマラヤ登山経験のあるジャーナリスト・武石浩明。長期に渡る取材を通して《極限の人》の実像に迫る、唯一無二の作品を作り上げた。
公式HP:jinsei-climber.jp
公式 Twitter:@jinsei_climber
公式 Facebook:@Jinseiclimber

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