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頭に体が追いつかないweek

本棚募集の企画を思いついたときから、思考の方向が一気に定まって、今までことあるごとに迷走していたのが集中して考えられるようになった。

前のnoteにも書いたけれど、きっかけは坂口恭平さんの『お金の学校』を読んだことだ。生活、仕事、人生を繋げて楽しく生きる考え方や動き方がとても自然でわかりやすくて、それに倣っていくと自分の何かが動き出した気がした。その「動き出した何か」にしたがってみると必ずいいアイデア(だと自分は思っている)にたどり着く。

今週から人に会う予定が一気にできた。
本を借りたいと声をかけてくれた人と打ち合わせをしたり、さっそく本を持っていったりする。それ以外にも個人的に温めていた企画をぐっと進められたりして、動かせるものはどんどん動かそうという気持ちになってアポを取りまくった。

だけど、そのすべてに遅刻した。
とにかく移動時間の見積もりが甘くて、交通機関のズレが重なったり、最寄駅まで着いても道に迷ってしまい、15分以上遅れる。みなさん心優しいので許してくれたけど、さすがにどの予定も予定通りにこなせなくて猛省。
1ヶ月前から予約を入れている漢方内科の受診も例にもれず、電車で移動しながら時刻を変更してもらう。なんとか到着して先生に「自分のペースから切り替えられない」と相談してみたものの、「もっと余裕を持って行動してみては?」と医療用マスク越しでも伝わる苦笑い。そりゃそうですよね。

とにかく周りが見えていない。自分の頭の回転に体という現実世界が追いつかない。よく体にあざができるみたいに、ことあるごとに時間にぶつかる。それは自分の外にあるルールにぶつかるってことだ。あれしたい、これしよう、会いに行くよ、と予定を埋めるけど、その大きさやかたちがちゃんと見えていなかったと、思い返して気がついた。これからは身の丈が、動き方がわかるはず。とにかくこの1週間、会ってくれた人、連絡をとってくれたすべての人に感謝を。ありがとうございました。そしてごめんなさい。

坂口さんはものすごいスピードで文章を書くという。原稿用紙で一日数十枚とか。だから彼の本もそのスピードで読めてしまう。喉がカラカラに渇いているときににごくごく水を飲むように美味しい。そしてどんどん彼のペースに引き込まれて、頭の回転が早くなる。彼は思いついたことはなんでもまず企画書にして、それは本当に実行(起業)するつもりでつくるけど、未来の自分に向けた「起業禁止、企画書に書いてね」というメッセージを見て、一旦ストップするそうだ。それは躁状態のときに動いて、人を傷つけてしまった経験から。

必ずしも落ち込んでいるときが「鬱」でハイになっているときが「躁」だとはいわないにしても、けっこうこの状態には近いのかもしれないと思った。とにかく全部がうまくいく! みんな幸せ! とどんどん想像が膨らんでいくし、何より企画が楽しい。この感覚をすべて否定する必要はないだろうけど、思いついた勢いのまま人を巻き込み、傷つけてしまってはどれだけよいアイデアであっても人を幸せにはできない。
デスクトップにメッセージ代わりとして、昨日もらったステッカーを貼る。これを見たら落ち着いて深呼吸の合図。ハイキューでいうところの山口にとってのしまだマートの袋。冷静になってこそ、実力を発揮するのだ。

坂口さんの文章に限らず、本を読むとその思考に強く引っ張られることは往々にしてある。ここに書いてあることが正解だ! と信じて疑わなくなる。そうならないよう併読・多読を心がけてもいるわけだが、やっぱり本は薬になり、用量を間違えれば毒にもなる。唯一の正しいことなんてないことを、自分が中心ではないことを、いつでも思い出そう。もう一度ステッカーを眺める。

本を買って、いろんな方に貸出もできればと思っています。