1.I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN w/ RACHEL GOULD
2.SECRET LOVE
CHET BAKER w/ RACHEL GOULD

こんばんは!ジョルノです!
今回は趣味の回。よろしくお願いします!



自分の知る限り、古今東西あらゆるジャズの中で最高峰に位置する楽曲です。もう本当に好きで好きでたまらない。50年代じゃなくても、こんなに素晴らしいジャズのアルバムはあるんだ、と教えてくれた作品です。

往年の歌声は「美しい」とか、「中性的で〜」と語られることも多いですが、僕は彼の歌声を
「世界で最も惨めで情けない男の呟き声」だと思っています。だからこそ美しく、締め付けられる。愛さずにはいられない。彼の波乱万丈の人生もその一つでしょう。何度も何度もボロボロになり、それでも「ジャズ」にしがみつく。格好悪いのにクール。情けないのに愛されてしまう。

晩年の枯れゆくチェット。老いるチェット。美しい。

秋の乾いた、物憂げで、切なさも運ぶ風を思わせる壮麗なチェットのソロパート。でも、どこまでも軽やかに跳ねるピアノ。体を揺らしてくれるリズム。寂しさを帯びた透き通るような寒空に、舞い上がらせてくれるような高揚感。哀愁と温もりが綯い交ぜとなって、灰色の雲の上まで連れて行ってくれるようだ。レイチェルグールドの歌声も絶品で、この世界観更なる高みへと昇華させてくれている。完璧すぎる、奇跡的な共演。100年近くも前に書かれたコールポーター作のスタンダード オブ スタンダードで、数え切れないほどのカヴァーを受けてきたであろうこの曲のベストテイクがこれなんじゃないかと思わされる、珠玉の名演。この曲が収められているアルバム「ALL BLUES」も捨て曲なしの屈指の名盤だと思ってます。技術的にどうかなんてことは全くわかりませんが、「僕の好きなジャズ」はこれ!というお話でした。
ありがとうございました。


以下は、SUBURBIA代表 橋本徹氏のレビューを引用。

10年間を振り返って、「俺の1曲」と言うことなら、これ以外に考えられなかった。5秒で即決。心酔するチェット・ベイカーと、オランダの女性歌手レイチェル グールドの、1979年ロンドン録音の共演盤「オールブルース」から。美しい風景写真と黒白を基調としたシックなスリーブデザイン。カフェアプレミディを始めて間もなくの頃に手に入れた1枚だった。
初めてこの曲を聴いたときの感激は忘れられない。コールポーター作の名スタンダードの、まさに10年にいちど出会えるか出会えないかの絶品バージョン。透き通る歌声にはどこかアンニュイな情感が漂い、揺れるキャンドルの炎のような心温まるスイングは、親密さとともにシャープなジャズセンスを宿している。夜空を見上げたとき、そこに瞬く星のきらめきを思うのは僕だけだろうか。プライベートではもちろん、早速クラブDJやショップBGMでも聞き倒した。正直な話これまでに何百回プレイしたかわからない。その当時は、午後11時前後の大定番で、イェレーヌ ショグレン クインテットの「ザ リアル ギタリスト イン ザ ハウス」につなぐことが多かった。北欧の白夜に溶けるオーロラのようにスキャットが揺らめくボッサジャズ。澄んだ涼しい夜風に吹かれるようなこの心地よい流れは今回のコンピレーションでも踏襲されている。考えてみればこのレコードは、次第に晩年のチェット・ベイカーを聞くようになっていたきっかけにもなったように思う。僕は今、危うさと脆さを秘めながら、甘美な倦怠感と詩情やロマンティシズムの余韻が香り、諦念と優しさが入り混じったような淡い無常観とメランコリーをたたえた晩年のチェットの虜だ。
それは言ってみれば、傷つきやすい魂のためのレクイエム。そういう意味でも、この曲を紹介することができてとても感慨深い気分だ。きっと音楽の神様が今、この時まで、待たせておいてくれたのだろう。

#JAZZ #chetbaker #coleporter #ivegotyouundermyskin #橋本徹 #allblues

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