5/23◎キリストの犠牲と復活、神の意味をタロットに聞く/T.スーザン・チャンの新刊

●ドゥルーズ「襞」の読書会に参加させてもらっている。ドゥルーズがライプニッツについて語っていく難解な哲学書。この一冊をゆっくりじっくり噛み砕きながら読む。月一回で、毎回2〜3段落ずつ進むペースで数年続いている。

日本語訳の本を使っているが、参加者にフランス語の原書から新たに翻訳しなおしてくださる方がいて、2つの訳が使える。今日は明日の読書会のために新訳と書籍を照らし合わせ、明日読む範囲をだいたい理解しておく予習。文章だけ読んでもわからないので、図解したり表にしたり。

この読書会で本を深く読む体験があったから、ルディア「占星術のマンダラ」読書会もやれていると思う。

●ポラック「魂の森を歩く:霊的覚醒のためのタロット・ジャーニー」の続き。前回までユダヤ教の話をしていたが、ここではキリスト教からのアプローチでイエス・キリストの犠牲と復活、神の意味についてリーディングしていく。この宗教的雑食について、一応著者からも但し書きがある。

ユダヤ教の思想に知恵を見出すためにユダヤ教徒である必要がないのと同様に、タロットがそのような魅力的な方法で表現しようとする姿勢を評価するために、キリスト教徒であったり、キリスト教の思想の文字通りの意味を信じている必要はないことを指摘しておく必要があります。私自身はキリスト教徒ではありませんが、キリスト教的な質問をすることは厭わないし、むしろ喜んでいます。福音書の物語やキリスト教の神学を私よりもずっと文字通り受け止めているクリスチャンのリーダーを軽蔑する意図はありません。

一般的なリーディングに応用できそうなこととして、ポラックさんは「教師」と「教え」というカードを使っている。「教師」はいわゆるバックカード(使わなかったカードの山の一番下の1枚)。「教え」とはそのバックカードのもう一枚下にあるカード。つまりバックカードを2枚使いしている。

さらに、ポラックさんはデッキを3つの山に分けて引くスタイルなので、バックカードも3つの山から引くことになる(しかしここでは「教師」カードは3つの山からの3枚に対し、「教え」カードは最初と最後の山からのみ引いていた。その理由は単に「おもしろそうだから」。「長年タロットに携わってきて学んだことは、自分で作ったルールであっても、それを破ることを自分に許可することです」)

ということで、教師カード3枚、教えカード2枚、そしてキリストの犠牲と復活と神の意味を知るための7枚引きのスプレッド、計12枚によってリーディングが進められる。

7枚のスプレッドはこういう意味。

  • 犠牲のメッセージは何ですか?

  • 神にとってその意味は何ですか?

  • 人間にとってその意味は何か?

  • 復活の経験とは何ですか?

  • それは私たちに何を与えるのか?

  • それは私たちに何を尋ねているのか?

  • この体験は私たちをどこに連れて行くのか?

これ、著者の引いたカードをリーディングしていく様子を読むよりも、自分で引いた方がおもしろいかもしれない。

●おいでになった本。T.スーザン・チャンさんの新刊。

チャンさんはタロットのポッドキャスト「The Fortune's Wheelhouse」で有名になった。他の著書には、タロットと他体系との伝統的な照応関係のまとめ資料「Tarot Correspondences」(クロウリーも「777の書」で各体系の照応関係をまとめあげたが、そのタロット版みたいな便利本)や、占星術の36デカンに対応する小アルカナ2〜10がテーマのユニークな「36 Secrets」などがある。2020年代に最も注目すべきタロットリーダーの一人。

新刊は初心者が自分の力でカードを読めるようになるためのワークブック。カードの一般的な解説はせず、どんな観点でカードを見ればよいのかを徹底的に叩き込む。ざっと見た印象はスパルタ、きちんとコミットする時間を準備しガッツリ半年くらいかけて進める感じ。「一回読めば誰でもタロットリーダーに!」というイージーさはない。自分とカードの中から意味を見つける方法を体に覚えさせる。初心者ではあっても本気でタロットをやりたい人向け。元々はチャンさんのオンライン講座があり、その書籍版なので半年くらい講座に通ったくらいの成果はありそう。マジでやろうとする人が独学で学びたい場合におすすめできる。