5/24◎タロット・ガーデン作成中のニキ・ド・サンファルをレイチェル・ポラックがリーディングした話

タロット・ガーデンとは、彫刻家ニキ・ド・サンファルが作り上げたイタリアの庭園。大アルカナのカードに対応した22の彫像がある。

公式サイトより

サンファルはこの庭園を作るため20年をかけた。作成中は「女帝」の中に寝泊まりした。毎日、スタッフ総出で作業をしたが、夜になるとみな帰宅し、サンファルは一人で自分の像と向き合った。

「死」を作成しているとき、サンファルの親しい友人が死にかけたり、作業員の一人が心臓発作で倒れることがあった。彼女は彫像が圧倒的な存在として感じ、恐ろしくなり始める。この問題について、サンファルはレイチェル・ポラックにタロットリーディングを依頼した。

そのときのことについてポラックはこう書いている。

具体的なカードは覚えていないが、メッセージはとてもよく覚えている。リーディングは、彼女が彫像を解放する必要があることを告げた。自分がデザインし、建てたものだから、自分のものだという思い込みを捨てなければならないのだ。ある年齢に達したら、子供に自分の人生を歩ませる親のように、彼女は彫像を自分から独立したものと考える必要があるのだ。逆説的だが、そうすることで彫像は、彼女の頭の中に住む生き物ではなく、彫像に戻るのである。

 Rachel Pollack / A WALK through the FOREST OF SOULS

●引き続きポラックのこの本を読んでいる。今日の章は、タロットへの恐怖心(サンファルの話はこの一例)、あるいはタロットを使いこなせるようになった人の全能感やエゴ、そしてカードを解説することの功罪について。

ポラックはデイヴィッド・ローゼンバーグの著書から、「カバラの本や記事のほとんどは、解説と簡略化について書かれている。それはすべて良いことだが、解説をやめて夢を見るようになる時が来るはずだ」という言葉を引用し、タロットもそれと同じだとしてこの章を始める。

さらに同書から「私たちは、"向こう側(深いところから湧き出る恐ろしい夢のようなイメージや物語)"を知識に知識を重ねて武装解除しようとする。しかし、十分な知識は決して存在しない」とも。

タロットが機能することを恐怖心で受け止める人もいる。そうした恐怖に対抗するために、人はカードを解説し(魔術師にはこんな性質がある)、定義し(水星に対応する)、歴史を紐解く(元々は奇術師や詐欺師が描かれていた)。

そうした行為でカードを知識化するのはよいことではあるが、同時に知識はそれ自体が目的ではなく、手段であることを忘れてはならない、とポラックは言う。タロットの「知識」とは、カードがなにを意味するかのリストだけではなく、イメージと一緒に時間を過ごすことによってのみ得られるものだ、と。

それが「解説をやめて夢を見る」ということなのかもしれない。

●タロット・ガーデンでイメージと一緒に時間を過ごすことでサンファルに恐怖が生まれ、それを乗り越えるために「彫像を自分から独立したものと考え」自分と分離させる必要があった。知識化とは分離(ソードのスートは知識を表し、同時に剣は分断する道具でもある)。イメージと一緒に時間を過ごすことと、知識化して自分から分離すること、両方が大事だ。