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【レビュー】前ボケを求めて、沈胴ズミクロン

前ボケが欲しくなった

TLを流れる写真を見ていて、きれいな前ボケが羨ましくなった。
選択肢は1つしかなかった。沈胴ズミクロン。

はじめに

noteではレビューというものをするつもりは無かった。
理由は単純で、写真を撮るのが目的であり、カメラやレンズを評価する事が自分にとっての趣味ではないからだ。

そもそもバルナックライカをメインカメラにしたのだって、レンズの選択肢が狭く、沼に入る危険性が低いからというのもある。
この沼は危険だ。だから、自衛しないといけない。

そんなわけで、レビューなんてするつもりは本来なくて、やるとしてもTwitterでさらっと書くぐらいのつもりだったが、あまりにも衝撃的な描写だったため、レビューという形を取りたいと思う。

購入の経緯

きれいな前ボケが欲しかった。
これに尽きる。

今まで使っていたレンズはズミタール。
所謂クセ玉で、面白い描写をする。
ぐるぐるボケなんかは本当に目が回るほど綺麗に出るし、自分の得たい描写と噛み合った時は最高の写りになる。

個人的にかなり噛み合ったと思う1枚

ただ、使い続けるにつれて、ズミタール1本で自分の思う写真を撮るのは不可能だと思うようになった。
汎用性が低い、というか、癖が不要なタイミングがそれなりにある、というか。

ここぞという時に狙って使うべきレンズであって、常用レンズにするには少し無理がある気がしてきた。

ズミタールの前ボケ

それを一番感じたのは、前ボケ。

全国のズミタールファンには申し訳ないが、個人的感想として、ズミタールの前ボケは汚いと思う。
そして、僕自身は前ボケをかなり多用する。

撮り方もあるけど、綺麗な前ボケとは言えない描写
変に芯が残るせいで、存在感があり主張が激しい

これが結構致命的だった。
前ボケを積極的に使いたいのに、思っている描写がどうしても出なかった。

そして、Twitterを見ていると前ボケが無茶苦茶きれいな写真が目に付く。
やっぱり、レンズなのか...
ズミタール1本では無理なのか...

そしてレンズ探しへ

そうは言っても、レンズの選択肢なんてほとんど無い。
L39マウントに適合するレンズ自体、そう多くない。

まず、50mm以外は除外

バルナックは50mm専用カメラだと思っている。
外付けファインダーなんて付けたくないし、そもそも露出計が乗っかっているのでシューは埋まっている。

次に、純正以外のレンズも除外

もちろん、ニコンやキヤノンやフォクトレンダーなどが、L39マウントの素晴らしいレンズを多数出しているのは知っている。
ロシアンレンズだって大量にある。
でも、それを使う気にはなれなかった。

デジタルならば、メーカーのボディの色があるが、フィルムカメラだと所詮ボディは暗箱に過ぎない。性能は「描写」に直結しない。
そして、僕は「ライカ」で写真を撮りたい。だからバルナックを使っている。
そういうわけで、ライカ純正のオールドレンズ以外は候補から外れた。

そして、沈胴レンズであること

沈胴レンズとは、持ち運ぶ時にはレンズが縮んでボディ内に仕舞えるレンズのこと。
バルナックはポケットに突っ込みたいので、沈胴レンズであることは絶対に外せない。

ここまで来ると、ほぼ3択になる

  1. エルマー 5cm F3.5

  2. ズマール 5cm F2

  3. ズミクロン 5cm F2

他にもあるが、希少品でプレミア価格なものが多く、そんなものを買うつもりにもなれない以前にそんな金はない。
現実的なところがこの3択だろう。

で、ライカに詳しい人ならこれがもう既に実質1択になっていることに気付くだろう。

まず、エルマーは開放F値が流石に厳しい。
僕は開放でボカしたいので、F3.5はちょっと無理がある。
少なくとも、今求めているものではない。

次にズマール。
これはズミタールのお父さんみたいなレンズで、ズマールを改良したものがズミタールだ。
ズマールは拭き傷が付きやすいとか、クセ玉だとか、色々言われているが、良いレンズだとは思う。
ただ、ズミタールよりもクセが強いレンズであるため、絶対にこれじゃない。

と、なると。
もう選択肢は1つしかない。

沈胴ズミクロン

バルナックって本当に物撮りに向いてない。

気付いたら生えてきていた。
沈胴ズミクロンです。

このレンズについては各所で語り尽くされているので、あまり深く記すことは避けるが、解像度と空気感が凄いレンズだ。
ズミタールの後継であり、今でもライカを代表する伝説のレンズ。
しかし、果たして自分の好みに合うか、それは賭けだった。

沈胴ズミクロンの描写

これを求めていた

はい、優勝。
いやね、もう、これですよ。
こういう前ボケが欲しかった。
もう完璧です。言うことはない。

とにかく前ボケがきれい

ちょっと後ボケがうるさい時もあるが、設定次第だと思う。
少しずつ、このレンズに慣れていきたい。
前ボケは相変わらず完璧。

自然な立体感

これは個人的にかなり気に入っている1枚。
機械の重厚感をしっかり残しつつ、爽やかなようでしっとりした立体感。
素晴らしいの一言です。

おわりに

ズミタールとズミクロン。
設計だけを見るとあまり変わらないのだが、ここまで描写にハッキリとした差があるのは驚いた。

これからこの2本を使い分けながら、自分らしい表現をしていこう。

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