テレワークゆり物語(91) アメリカ連邦議会議事堂で見た不思議な"塊"
「3月8日は、国際女性デーです。
1904年のこの日、アメリカのニューヨークで行われた、女性労働者が婦人参政権を求めたデモを期限とし、1975年に国際連合によって制定されました。女性の権利うんぬん…。」と、アレクサが詳しく教えてくれた。
「アレクサ、おはようさん」
朝起きて、寝ぼけつつこの言葉を口にすると、「電気を付けて、今日の日付と時間、今日は何の日か、さらに今日の予定を読み上げ、今日出すゴミまで」教えてくれる。怠慢で忘れっぽい私には、ありがたい存在だ。
もちろん「国際女性デー」は知っているが、今日が「女性労働者が婦人参政権を求めたデモの日」というは知らなかった。思わず、2008年、アメリカ国務省のIVLP(インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム)で、アメリカを訪問したときに撮影した写真が目に浮かんだ。
そして、今日、国際女性デーの日に、その話を書こうと決めた。
みなさん、この写真を見て、不思議だと思いませんか?
三人の女性の胸像の後ろに、ヘンな"塊(かたまり)"が見える。
この像は、アメリカ連邦議会議事堂の円形大広間に設置されている。
刻まれているのは、アメリカにおける「女性の参政権」に貢献した女性たちだ。左端のスーザン・B・アンソニーは、1872年、参政権がないにもかかわらず投票し、その結果逮捕されたそうだ。彼女たちの運動は、その後、1920年に女性に選挙権を認めた合衆国憲法修正第19条として実を結んだ。詳しくは以下を。
さて、話を戻そう。
アメリカ連邦議会議事堂でこの像を見たとき、後ろの”塊"を不思議に思った私は、案内の女性に聞いた。
「三人の女性の後ろの"塊"は何ですか? この像はまだ完成していないのでしょうか。」
「あの部分は、初の女性アメリカ大統領の像を彫るために残してあるそうです。」
その答えに体が震えた。アメリカってすごい。
この話が真実かどうかはわからない。像の作者、女性彫刻家アデレード・ジョンソン(1859–1955)には、もう聞くことはできない。しかし、この"塊"を残すことで、アメリカでの女性の戦いがまだまだ続くこと、そしていつか「女性」も「男性」も関係ない、ダイバーシティ社会が来ることを、彼女は"残す"という形で、この"塊"に、"魂(たましい)"を刻んだのではないだろうか。