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テレワークゆり物語 (17)バーチャルかばん持ち

コロナ禍では「テレワークでの新入教育が難しい」

という相談をよくいただく。

これまで一緒に仕事をして、信頼感もある仕事仲間でのテレワークはなんとかなるが、新入社員や別の部署から異動してきた社員は、最初からテレワーク。顔を合わせてじっくり話をしたり、上司や先輩の仕事をそばで見ることができない。

2020年4月ころ。弊社の採用ページに数名の応募が急に増えた。小さな会社だし、特に広報をしているわけではないので、通常、応募は少ない。

新型コロナウイルスの感染が広がり不安な経済状況の中、あえて転職を考える人は、「テレワーク」に強い思いがあるのかもしれない。

そう思った私は、全員と面談することにした。実は、これまでテレワークを基本とする弊社でも、「面談はリアルで」「入社3か月はオフィス勤務で」としていた。とはいえ、緊急事態宣言下では、リアル面談は、難しいのでオンラインだ。
しかし、今まで通りのやり方・質問では、相手のことを把握できないのではないか。マネージャーたちと相談し、面談のやり方を改善した。突拍子もない質問をしたり、返答の表情やしぐさをじっくり確認する担当をつけたり…。すると、今までのリアル面談では見えなかったことが見えてきた。テレワークを推進している私でさえ、「面と向かっている」ことに甘えて、相手のことを知る努力をしていないことに気づいた瞬間だった。

結果、秋には、中途採用の新人さん2名を迎えることになった。一度もリアルに会っていないのに採用しちゃった。課題は、やはり「新人研修」。オンラインで研修資料はあるものの、一度も直接会わず、オフィスにも来たことがない状況で、会社の方針や雰囲気、目指しているところを伝えることができるのだろうか。正直、不安だった。いや、もっと不安なのは、新入社員のほうだっただろ。

いや、ここで不安がるだけではダメだ。面接のときのように、難しい状況だからこそ、工夫をしよう!  そして、思いついたのが、バーチャルかばん持ちだった。

オンラインで、私(社長)が出席するコンサルティング現場、メディアの取材、講演、果ては国の会議まで、とにかく同席してもらう(相手に事情説明すると驚かれるww)。同席に際して、事前の勉強も準備も不要だ。鞄を持つ(実物は無いが)ことが仕事だからだ。

バーチャルかばん持ちは、とにかく効率がいい。オンラインでの同席なので、他の研修の合間、1日に何件もはしごできるのだ。そんなこんなで数週間続けていると、私の講演内容は耳タコになり、会社が実施していること、目指していること、雰囲気も含め、自然と頭と体にしみついていった。

バーチャルかばん持ちの効果かどうかはわからないが、採用から1年経たないというのに、2人とも重要な仕事を担当し、しっかり活躍してくれている。

#冒頭の写真は、私の愛用かばん。コロナ前は、これを背負って全国を飛び回っていた。今は、北海道北見市のデスクの横に鎮座している。

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