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テレワークゆり物語 (154)『子ども3歳まで在宅勤務』企業の努力義務に

『子供3歳まで在宅勤務、企業の努力義務に 厚労省』

2023年5月16日の日経新聞朝刊の記事のタイトルだ。
『厚生労働省は3歳までの子どもがいる社員がオンラインで在宅勤務できる仕組みの導入を省令で企業の努力義務とする。』

厚労省さん、ありがとう。

という思いでいっぱいである。

国は長年に渡り、テレワークを推進してきてくれた。
施策は、セミナー等の啓発活動と助成金が中心だった。
正直、テレワーク導入に動いてくれる企業は少なかった(コロナ前)。
これに対し、今回は「省令」だ。これは、

厚生労働大臣が発する命令である。

育児介護・休業法において、3歳までの子どもがいる社員のために義務付けられている「短時間勤務制度」。また、時短が難しい場合の対策として、フレックスタイムや時差出勤。「在宅勤務」は無い。
今回の『努力義務』は、テレワークに関して、国による初めての強い動きである。

日経新聞の記事ではこうも書かれている。
『中小企業などにとってはテレワーク対応は容易でない。関連設備の負担は増え、対面を避けられない業種では生産性も低下しかねない。』

もちろん、ご指摘の課題はある。でも、だからテレワークを進めないという理由にはならない。

中小企業でも、対面業種でも、どうすれば社員が柔軟に働けるか。

AIなど新しいテクノロジーを活用してテレワークをできるようになるかもしれない。またテレワークだけが答えではない。テレワークができない社員には、フレックスタイム制、週休三日などと組み合わせ、不公平感を無くすことから始めるのもいいだろう。

まさに企業が「努力」することが重要なのだ。

「良いことだが、少子化対策だけではなく、社会全体の働き方を変えるべきではないか」という意見もある。

まったくその通り。私が目指すのは「テレワークがあたり前の日本」だ。

しかし、社会全体は簡単には動かない。
テレワークに関しては「コロナ禍」という大きな地殻変動が発生し、多くの企業が実施さぜるを得なくなった。

しかし、コロナ収束の今、多くの企業が、「出社」に戻ろうとしている。その様子を、ただ見ているだけでは、日本の働き方は大きく変わらない。

長年の「啓発活動」だけでは、なかなか企業は動かなかった。
だから、今回の「省令」には意義がある。

日本の未来のために、国が命令する。
企業が動き、そのために「努力」する。
「努力」する企業に、国が適切な金銭的支援をする。
その結果、日本が変わる。
これが、国の予算の適切な使い方ではないだろうか。

コロナ禍を乗り越えた、地殻変動後の新しい大地において、今回の「努力義務」は、少子化対策はもちろん、これから日本が直面する、労働力不足、親の介護、自然災害など、さまざまな課題を乗り越えるための、重要な一歩となると確信している。


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