長編連載小説 Huggers(24)
裕子は担当患者についての悩みを小倉に打ち明けるが……裕子(4)
園田幸生は目を開いている。
脳内の出血範囲が広かったため、命が助かったこと自体が奇跡に近い状態だった。緊急手術でそれ以上の出血は食い止めたものの、その後も脳浮腫、低体温療法からの離脱時の発熱、水頭症、臓器不全、肺炎など次々と襲う合併症と闘い続けた。
裕子は園田の顔をのぞきこみ、体をゆする。
「園田さーん、聞こえますか。園田さん」
目を開いてはいるが、何も見ていない。注視や追視の兆候はない。強い痛み刺激には