チョウと鳥

サトシ:8月10日

窓の前に柑橘系の植物が生えていて、すこし前まで毎日のようにクロアゲハが飛んできて、葉っぱに卵を産み付けていたのだけど、同じくらいの頻度でシジュウカラが飛んできて、卵から生まれたばかりの芋虫を食べていた。もしかしたらシジュウカラは蝶が卵を産み付けているのをどこか遠くから観察しているのかもしれない。僕としてはクロアゲハに味方したいので、ネットでも張って鳥が入れないようにしてやろうかと思っていたんだけど、暑くて蚊もたくさんいて面倒くさいなあと思っているうちにクロアゲハもシジュウカラも来なくなった。チョウと同じように僕も連休などまったく関係のない生活リズムで暮らしている。昨日も、あれ、なんか街に人が少ないなと思ったら、お盆であることに気がついた。お墓参りにいかねば、都内なんだから、そんなに遠くないんだから、と思いつつ、ものすごくいろいろなものに追われていてお墓参りにもいけない。全て投げ出して北海道に新しくオープンしたウポポイにいくか、一人用テントを買って琵琶湖畔でのんびりしたい、と毎日思っている。毎日何処かにいきたい。昨日もどこかに行きたいと思って、夜につつじヶ丘のアトリエを出て歩いていたら調布駅についてしまった。サイゼリヤでパエリアを食べて帰った。サイゼリヤは注文方法が変わって、一切店員と口を聞かずに済むようになっていた。新なんとかコロなんとかウイなんとかのせいで、街が変わっている。僕は新なんとかコロなんとかウイなんとかのせいで初夏に予定していたモンゴル行きがなくなり、参加予定だった冬の札幌国際芸術祭が中止になり、しかしせっかくの作品なので芸術祭の枠組みではなく、半ば独自プロジェクトでなんとかやることにしていたのだけどそれも来年に延期になりそうで、秋に参加予定だった奥能登国際芸術祭も延期になり、もう何から何まで来年に持ち越されたはずなのに、なんかいろいろなことに追われている。何故だ。全然今を生きていない。大抵いつも、何かの準備をしていて、今を全然生きてない。今を生きろ!という台詞は美徳として響くけど、僕は社会的生活を送っている人間なので、今を生きるにも限度がある。特に作品を作ったり、プロジェクトの準備をしていると、未来のことを常に考えることになる。毎日卵を産み付けているクロアゲハみたいに。全然関係ないけど最近カルビーからジャガビーの「食塩不使用」という革新的な味が発売された。食べてびっくりした。めちゃめちゃ味が薄い。ほとんどじゃがいもの素揚げだった。新なんとかコロなんとかウイなんとかの影響もあると思うのだけど、食べ物とか添加物に関する人々のアンテナが鋭くなっている。カルビー、やるな。ポテチは圧倒的に湖池屋派だけど、5回に1回くらいはカルビーのやつを買ってもいいかなと思った。

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