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【映画感想】碁盤斬り

採点

シナリオ:5点
映像:6点
演技:8点
演出:5点
音楽:5点

合計 29点(50点満点)

俳優・草彅剛の怒りの演技

今作一番の見どころは主演・草彅剛。

感情に抑えがきかなくなり、周りの人々に怒りをぶち撒けるシーンは、心臓がキュッと締め付けられるような感覚になった。

人が怒る時って、段々とイライラが募り限界を超えて爆発するというイメージなんだけど、この作品の草彅剛の怒りは0からいきなり100なんだよね。突然、人が入れ替わったかのように豹変し荒れ狂う姿には、ある種ホラー作品のような恐怖を感じた。静から動の振れ幅がとにかく凄い。この怒りだけでも観る価値のある映画ではあった。

主人公の娘役は清原果耶。
最近だと『1秒先の彼』や『青春18×2 君へと続く道』にも出演していて、すっかり売れっ子だなぁと思いつつ、本作でも芯が通ったしっかり者の娘役を好演。ぶっちゃけ単純に好き。

気になったのは斎藤工の役どころ。
ちょっとスタイリッシュすぎたかな?と個人的には感じた。敵役だから、意地汚い感じが見え隠れするほうが良かったけど(狡猾さは感じた)、勧善懲悪としては格好良すぎたという印象。囲碁の打ち方も定石ではないという設定だし、碁がその人を表すものとして表現するのであれば、多少のクレイジーさは欲しかった。ただ、このキャラクターをそういう悪として描く意図(純粋な悪ではなく、正義の裏返しとしての悪)があったのであれば、それはそれで納得。

あと印象に残ったのは中川大志。
おどおどした感じも良かったし、首に青筋を立てながら土下座し懇願をする姿もとても良かったと思う。

と、他の出演者含め、全体的に好印象。

モヤっとする終わり方

逆にこれで大団円のような感じで終わられても「いや、そうはならんだろ」とツッコんでいる。ストーリー的にも意外な展開!というよりは予定調和感が強め。

正しく生きるというのは息苦しい。
自分の正しさのせいで、闇に落ちて苦しんでいる人がいる。一度、それを知ってしまったら、真っ直ぐ生きてきただけに耐えられないのだろう。

そういった主人公が掲げる正義を碁に投影し、葛藤と苦悩を描く…というのが話の中心になるので、ストーリー自体はおまけ程度に考えておいた方がいいかもしれない。

時代劇版の衛宮士郎かな?

まとめ

映像は若干暗めで見辛さはあるかも。
とはいえ、時代が時代だからまあこんなものか。

賭け碁のシーンなんかは特に暗闇のなかで行われていたけど、そういう闇の中で生計を立ててる人もいるというのを強調する意味もあったのかなと思う。

あとは主人公が家を飛び出して行ったのに、なんやかんやあってやっぱり戻ってきたらという部分が観てる側からするとよくわからなかった。一瞬、回想が始まったのかと思った。

そういった若干のわかりづらさはありつつも、トータルとしては全く悪くない。
決してハッピーエンドではないし(ジャンル的には闇堕ち?w)人によっては退屈に感じる部分もありそうだが、役者陣の好演がしっかりとそれを支えている良い作品だったなと思う。

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