【映画感想】『トラペジウム』
採点
シナリオ:3点
映像:5点
演技:6点
演出:1点
音楽:5点
合計 20点(50点満点)
主人公のクズっぷりがイカつい
とにかく、主人公・東ゆうの性格がキツい。
一言で言えばただの嫌なやつ。本編の9割がその嫌なやつがひたすら醜態を晒し、周りに八つ当たりしてるだけの内容。
最後は大団円のような雰囲気で終わっていたが、自分が他のメンバーの立場だったら絶対に許さない。後ろから飛び蹴りをかまして肥溜めに突き落としてやる。
正直、コイツに付き合わされてる他のメンバーが不憫でならなかったし、観ていて終始不快だった。
何が足りなかったのか?
主人公がなぜアイドルになりたいのか、その背景が圧倒的に足りていなかった。
この子がどれぐらいアイドルという職業に執着していて、今回のチャンスに賭けていたかが全く伝わってこない。奇行とも言えるような行動に対して、動機があまりにも薄く説得力が伴なっていない。
尺的な問題があったのか、意図して省いたものなのかはわからないが、この部分を丁寧に描かなかったのは主人公に対する共感性を失わせた大きな原因だと思った。
アニメーション作品として
アニメーション作品としての質はそこまで悪いわけではない。劇場作品としては少し物足りなさを感じるものの作画自体は悪いわけではないし、背景や主題歌なども印象に残り、派手さはないが、まとまっていると言える。
が、唯一どうしても許せないことがあった。
ボランティアのおじいちゃん3人組の声優に女性のゲスト声優を起用していたことだ。
これは完全に制作側の失敗。はっきりいって最低だった。擁護しておくと、ゲスト声優の演技がどうとかそういう話ではない。これを仕込もうと企画したスタッフのセンス、神経を疑う。全然面白くない。作品の世界から逸脱していて、一気に現実に引き戻された。無茶苦茶冷めた。
ゲスト声優を起用したいという事情はわかる。それでも、女子生徒とか番組スタッフとか、それに適した役があったはずだ。この悪ふざけは作品を鑑賞するうえで最大のノイズになったし、アニメーション作品としての価値も台無しにした。
まとめ
シナリオ自体は正直不快だったが、作品のメッセージが「アイドルになるやつは頭がおかしい。まともなやつには無理」や「アイドルの世界は人を踏み台にすることしか考えていない、嫌なやつで溢れている」であるならば、一応納得はできる。
ただ、こちらからしたらアイドルの裏の姿、裏の事情なんてどうでもいい。俺たちはアイドルを見に来ているんだ、中の人の醜態を見に来たわけではない。主人公が北にキレ散らかしていたが、その怒りをそっくりそのまま返してあげたい。あなたのその姿、誰得ですか?と。
アイドルはアイドルのままでいてくれ。
というのが、まとめかな。
人にオススメする気にはあまりならないが、出演している声優さん目的…ぐらいであればアリ。予告編を見て良さそうだなとは思っていたが、期待外れと言わざるを得ない内容だった。
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