間違えやすい日本語4

【一般常識問題4】
《間違えやすい日本語4》
次の「意味を間違えやすい日本語」について、(1)~(4)の言葉のうち元々の意味や使い方にふさわしいものを選べ。

(1)「うまく要点を得る」を意味する言葉
あ、的を得る
い、的を射る
(2)たそがれる
あ、盛りを過ぎて衰える
い、もの思いにふける
(3)「さわり」の部分
あ、話の最初の部分
い、話の中心となる部分
(4)確信犯
あ、自らが正しいと信じて悪いこととされていることを行う
い、間違っていると分かっていて悪いことを行う






【一般常識解答4】
いあいあ
1.的を射る
2.盛りを過ぎて衰える
3.話の中心となる部分
4.自らが正しいと信じて悪いこととされていることを行う



【一般常識解説4】
「うまく要点をつかむ」という意味の言葉に、「的を射る」があります。かつて、これによく似た「的を得る」という言葉は誤用であるとされていましたが、近年では的を得るが必ずしも誤用とは言えないという説の方が主流になりつつあります。「正鵠(せいこく)を得る」という言葉がありますが、「正鵠」というのは中国に由来する古い言葉で「弓の的」「的の中心」を表し、転じて「物事の急所・要点」という意味、「得る」は「要領を得た」とほぼ同じ意味です。つまり「正鵠を得る」は「的の中心を的確に捉える→うまく要点をつかむ」という意味で、「的を射る」とほぼ同じ意味の言葉です。「的を射る」「正鵠を得る」が混ざって、「的を得る」「正鵠を射る」と言い回しも使われていたようで、ここから「的を得る」という言葉が生まれたと考えられます。

最初に「的を得る」を「誤用」と定義した辞書は「三省堂国語辞典」だと言われています。「的を得る」を新たに掲載するにあたり「的を射るの誤用」と記載したようです。しかしながら、近年になってこれが第7版において謝罪の上撤回されました。

「黄昏る(たそがれる)」は、「日が暮れて薄暗くなる」という意味です。転じて、人生の日暮れと捉えて「人生の盛りを過ぎる」という意味でも使われます。夕焼けを眺めて物悲しい雰囲気と重ね合わせてつい物思いにふけることを比喩的に「黄昏る」と表現することがありますが、この使い方は本来は間違いで、広辞苑などの辞書にも今のところ掲載されていません。

「さわり(触り)」というのは元々浄瑠璃用語で、義太夫節の中に他の音曲(おんぎょく)の旋律を取り入れた箇所で、曲中で目立つ箇所のことです。転じて、邦楽の各曲中の最大の聞かせ所を意味し、さらに転じて「話の要点や、最も興味を引く部分」を意味します。本来は「中心となる部分」「要点」という意味の「さわり」ですが、「ほんのさわりですが」というように、ある部分を限定するような文脈で使われることが多いこと、「さわる」という言葉の響きが、物事に軽く触れる、表面的に触れるというような意味で捉えられやすいことなどが重なって、「話などの最初の部分のこと」と連想されてしまうのかもしれません。

「確信犯」は、政治的・道義的・思想的・宗教的な信念に基づいて、それが正しいことだと確信して行う犯罪・犯罪者を意味します。思想犯・政治犯・国事犯などがこれにあたります。間違っていると分かっていながら、わざと悪いことを行うこと・行う人は「故意犯」であり、本来の意味の確信犯ではありません。

しかしながら、間違っていると分かっていて悪いことを行うという意味で確信犯が使われることが1990年頃から多くなりました。広辞苑(第6版,2008年)、大辞林(第3版,2006年)、明鏡(第2版,2010年)、三省堂(第6版,2008年)、国語大辞典(第2版,2001年)などの辞書では、俗用的語釈として掲載されています。ただし、岩波国語辞典(第7版,2009年)では、全くの誤用であるという立場を貫いています。

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