_タクシードライバーは見た__60歳を越えたタクシー運転手の幸せな働き方_のコピー__84_

#タクシードライバーは見た「横断する外国人」後編

平日の夕方、銀座の中心ともいえる銀座4丁目の交差点で信号待ちをしていた。
青に変わり左折をしようと歩行者の横断を待っている。
歩行者信号が点滅しもうすぐ赤に変わる、
というときにわたり始めた歩行者がいた。

前編はコチラ
https://note.com/taxi_driver1/n/n86b0423a04bd


その方々は外国人旅行者の3人。
点滅も終盤のところで渡り始めたため、案の定、渡り始めてすぐに歩行者信号は赤に変わった。
小走りよりちょっと早めに渡るその三人は、
ちょうど私の目の前を横切るところになった。
その時、その三人のうちの一人、女性の方が
笑顔で手を合わせ、ゴメンナサイといった表情をしながら横切っていく。

毎日のように街中を走っていれば、幾度と赤でも渡る人がいるので
いちいちそこに苛立ちや邪魔だと思う感情は全く抱かずに、
ただ渡り切るのを待っていた私だが
その笑顔を見せて渡って行く歩行者には少しほっこりした。

なぜなら、それが満面の笑みで謝意を伝えていたから。

謝意を受ける予想もしていなかったし、
まず日本人でそんな人を見たことがない。
日本人だと逆に、嫌がらせか‽と思うくらい
ゆっくり歩き我が物顔で渡って行く輩もいる。

笑顔を見せてくれると思っていなかった私は、
いちおう笑顔で返したが急だったので口がヘの字になっていたかと思う。

そして、思い返してみると、外国の方は表情を豊かにすることが多い。
横断歩道を横切る際や、タクシーに乗りたい時、
外国の方と目が合うと必ず口角を上げていて柔らかい表情をみせてくれる。
一方で、日本人は一切表情が変わらない。
表情に冷たさを感じることや、笑顔を見せても作っているのが見える。

その違いと、よく日本が外国から取り上げられる話題について少し頭をよぎった。

災害時、助け合いの心があったり、スーパーやコンビニで暴動が起きなかったり、外国から見ると
「日本人はなんて素晴らしい心を持っているんだ」
と驚かれる様子をメディアで見たことがあるが、
私が感じることは
タクシーでのお客様を含め、外国の方に比べると日本人は他人に冷たい。
全員が冷たいという訳ではないが冷たい傾向にある。と感じる。

冷たいというか
人を疑い過ぎて、とても警戒心が強い。

タクシーに乗るお客様も警戒心の強い方は多い。
遠回りするんじゃないかと、後ろでナビを使って調べている人が
10人に1人はいる。
こちらは一切そのつもりはないのに。。。
その警戒心を解こうにも、警戒心がある人に話しかけると
なぜだか余計に警戒心が強くなる。

そんなことを、笑顔で横切る外国人旅行者を見たときに感じた。

笑顔を見せる。

という小さなことが実はとても重要な気がした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?