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#タクシードライバーは見た「譲り合いの支障」

気遣いは時に支障を生む。
銀座の交詢社通りを走っているときだった。
土曜日の夕方ということもあり、外国人観光客のみならず、カップルやご家族、食事会を終えた団体など様々な人たちが歩いている。

通りを走っていると80代ほどのおばさま4人が見えてきた。綺麗な服装をして皆お揃いの紙袋を片手に立っている。
なにかの集まりの後なのかもしれない。
近づいていくと1人が手を上げ、4人が乗ることになった。

駐車車両が左に止まっていることもあり、おばさまは道路の中央までせり出して停めることになった。
バックミラーを確認すると少し後方にはこちらに向かってくる車がいる。
このままでは詰まらせてしまうこともあり、できれば早めに動きだしたい。

扉を開けると、
「あ、私は前でいいですよ」
「奥はつまるから」
「私は大丈夫」
皆がみんな譲り合い、乗らずに止まっている。
後ろの車は近づいてきた。

ーーん~、出来れば早く乗ってほしい~。
後ろはもう詰まり始めているが、4人とも一向に乗らない。
乗ろうとしているが、それぞれが気遣いなのか譲り合って立ち止まっている。
「じゃあ、私が奥に」
そう言って一人が先陣を切ると皆が一斉に乗って来た。
後ろの車に気付いた1人が乗ったことで雪崩を打つように。

その4人は結局、そこから100mほどのところで降りて行った。
何をそんなに譲り合っていたんだろう。



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