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渋谷で変な輩を乗せたときの話~タクシードライバーは見た~

タクシーをエンタメにしています。
ヨナシロです。

本日は、平日昼頃に更新中の一分で読めるタクシー話シリーズ
「#タクシードライバーは見た」
を紹介いたします。

主に、見たことない方向けの振り返りです。

#タクシードライバーは見た とは、、、
ちょっとクスッとできる話や、タクシーから見た世の中の話、
は?というどうでもいい話など、
タクシー運転手として乗務しているときに僕が見た(聞いた)話を
1分で読めるくらいで記録しています。
個人名が特定されるような情報は出しません。
タクシーという密室、
そこではさまざまな出来事が繰り広げられる。

「お乗せしたおばあさんに優しくしたら、資産を譲り受けることになった」
という漫画のような話や、
「夫の暴力から逃げてきて行き場がない人妻を泊めてあげた,,,,」
というドラマのような話。
(どちらも僕の体験談ではありません)
男女のアレコレや裏社会のような話。

普通の世の中で見ない出来事が数々起こる。

その一部始終をご覧ください。


今回は、ちょっと長めだった連続投稿(5記事分)をひとまとめにします。


「渋谷の輩」

渋谷に若者四人をお送りした。

お支払いをしていると、目の前には別のタクシーがいて
それに乗ろうとしている男がいる。
頭に白いタオルを巻いてい、学生が部活で使っていそうな肩掛けのスポーツバックを持っている。

目の前にいるタクシーへの絡み方から見ても輩の風貌、
フラフラで一瞬で酔っぱらっているのが分かる。

典型的な乗せると厄介なタイプ。

乗ろうとしていたタクシーに拒否されたようでこちらへと歩いてきた。

こっちは、今お乗せしてきたお客様が降り切るのとすれ違う身動きの取れないタイミング、
本来ならば避けるところだったが、今回はしょうがない
乗せることにした。

後部座席の扉の天井を掴みながら、顔を覗かせ
「○○わかる?」

「分かりますけどそのあたりは詳しい地域ではないのですが宜しい...」
「はあ?知らん、分かるんだろ?」
食い気味に、呂律の回らない男が問い詰める。

「○○は分かります。その辺りは詳しくないので近くでは案内をおね....」
「いや、いいから、行け」
「かしこまりました」
こちらの話は聞いていない、後々メンドクサクなりそうと言いたいが
今の時点でメンドクサイ。

「俺さっきからタクシー乗れてないからイライラしてるんだよ」
「あー、そうでしたか」
男は呂律が回らず、とにかく勢いで喋る。

「あ、前乗って良い?」
「え、あー、まあいいですよ」
男一人しかいない状況で、助手席に乗ることを求めてきた。
断る理由が浮かばず、それを許し
後部座席の寂しいタクシーが走り出した。

「(これは殴られるかもしれない)」
そんな覚悟を持ってアクセルを踏む。

「(あ~、メンドクサイ客を乗せてしまった。しかも助手席で)」
「さっきまで、先輩と飲んでたんだよ、呼ばれて」
「あー、そうだったんですか!」
トラブルにならないようにするしかないと
方法を考える。
「もう大変だわ」
「へー、大変だったんですね!(どうしようかな~)」
「・・・」
「・・・(暴れなきゃいいけどな~)」
「あー、酔っぱらった」
「お客様はいつもタクシーご利用なさるんですか?」
「は?」

「タクシーにはいつも乗るんですか?」
「はあ?これなんて読む?」
「(聞いてない!)」

助手席前のネームプレートを外し、名前を読もうとしている。
なかなか読める人がいない沖縄の漢字に興味を持っている。

「これは、ヨナシロって読みます」
「全然読めねーよ、ははは」
男は変なところで笑った!

「読めないだろ、これ」
「これは、読めない方多いんですよー。沖縄の苗字で。
沖縄は行ったことあります?」
「朝まで仕事?」
「(また聞いてない!)あ、そうですね、朝までです」
会話にならないが、男の流れで進むようにこちらも会話を合わせる。

「芸能人とか乗せるだろ?」
「お乗せしますよ~」
「だれ乗せた?」
男はこちらの質問は聞かないが、やたらと話を振ってくる。
芸能人の話には食いついてきたことで、ここぞとばかりに話した。

芸能人の方には悪いが、男の気を良く保つために
あえて芸能人の名前を出して、テレビの印象との違いや車内での様子を
可笑しく語ると、男は猿のように手を叩き笑った。

こんな感じでいければ問題なく行けるだろう。

そう思ったのも束の間、男は急に態度が変わった。

「おまえ、※ふぇいpqljだだろ?」
「え?あのもう一度、」
「おまえが、さっき言ったんだろ!あー」
「え?何をですか?」
「おまえ、ふざけんなよ!」
「いえ、ふざけてないです」

男は態度が豹変し言い掛かりをつけてきた。
男は何かに苛立ったいるが、それが何かは分からない。
そして、ヒートアップするスピードが速い。

猿のように笑っていたところからおよそ30秒ほどで
もう怒りの頂点まで達していた。

「ちょっと、あの、お客様、僕は何かしましたか?」
「だから!おまえが、△ふ;おhw開ける!!」

246という都内屈指の大通りを走る最中に
ガチャガチャと助手席の扉を開けようとしている。

「あーちょっとお客様、危ないですよ!」
「チッ!お前が悪いんだろ?なぁ」

何が悪いのかは言ってくれないが、とにかく何かが悪かったらしい。
とはいえ、こちらは何もしていない、
むしろメンドクサクならないように煽てていた。

さっきまで芸能人の話を聞いて猿はどこにいったのか。
途中交番があれば寄ることにし、
男の言った目的地を目指す。

「おまえ、これ、金払わなくてもいいよな?」
「それは困ります」
「はぁ?なんでだよ」
「払っていただかないといけないもので、」
「じゃあ止めろよ、」
「ここでですか?」
「止めろよ!」
男からは次から次へとメンドクサさを増す言葉が出てくる。

「こちらで宜しいんですか?〇〇まではまだですが」
「うるせぇよ、払わねぇからな」
「それは困ります」
「降ろせよ、お前降ろさないつもりか?」
「お支払い頂けたら降りて大丈夫です」
「チッ!おまえ、俺さっきメーター止めろって言ったよな」
「そうですけど、それは出来ないですので」

会話にならない会話を、助手席の男と二人でしているのだが、
その場所は住宅街に入っていて、近くに交番は見当たらないし、
ナビにも交番表記はない。

「一回しょんべんするわ」
「どうぞ」
「おまえ、開けろよ、出さない気か?」
「そちらは自分で開けるようになっているので」
男は車内にかばんを置き、フラフラの状態で外の電柱で立小便をした。

戻ってくると、
「何でお前メーター止めて走んねぇんだよ」
「そういうモノなので」
「じゃあもういいよ、行けよ」
「行って宜しいですか?」
「メーターは上げるな」
「いや、それは無理です」

こんなやり取りを住宅街の通りで助手席の男と繰り広げている。
「メーターを止めろ」と言いながら
会話がままならない状態で再び走り出した。

「おい、これメーター止まってねぇだろ」
「はい、そうですね」
もうメンドクサクなってきた僕は、男の言葉を受け流し始めた。

「お前、これ止めろって言ったよな」
「はい、言ってましたね」
「なんで出来ねぇんだよ」
「上がるようになってるんで」
「はあ、お前舐めてんのか?」
「いえ、舐めてないです」
「なあ、おまえふざけんなよ!」
「こっちは何もしてないですよ」
「お前が話聞かないからだろ、メーター止めろって言ってんのに」
「だから、それは無理ですって」
「なんだお前、ああ?」

男は勝手にヒートアップしていく。
「降ろせよ」
「こちらで、降りますか?」
「うるせぇ、降ろせよ!」
「かしこまりました」
「払わなくていい?」
「いえ、払わないと困ります」
「チッ!」

男はなぜか、自分がタクシーに閉じ込められ
追い詰められているかようになっていった。

メンドクサイ思いをさせられ、
その中に閉じ込められているのはこっちの方だ。

結局、料金は払って、目的地まで半分のところで降りていったが
もしかしたら、話を聞いてほしかったのかもしれない。
と今になって思う。

乗って来た時に先輩との飲み会が大変だったと言っていたが、
それがあまり楽しくない時間で憂さ晴らしがしたかったのだとしたら
付き合っておけば良かったと後悔した。

メンドクサイ客ほど、何かを抱えているかもしれない。




以上、本日紹介の「#タクシードライバーは見た」でした。

タクシーでは、様々なドラマが繰り広げられています。
お伝え出来る範囲で今後も記事にしていきます。

平日のお昼頃更新中です。
今後ともよろしくお願いいたします。


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