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#タクシードライバーは見た「煩わしさを好む」

煩わしさを好みたい。
今日もタクシーを走らせると、選べるなら乗せたくないと思うお客を乗せる。相手の事を理解せずに、自分の都合だけを押し付けるような人。
その合理性は理解できるが、こちらにはその合理で動けない理由が存在する。
そのいちいちを説明するほどのことではないが、その細かな部分をを知らない相手は不満を露わにする。

僕が乗るJPNタクシーという車両は扉の開け閉めをボタンを押し続けなければ閉められない。同様に開けることも出来ない。
その時間は5~6秒。
この開ける時間が遅いからと会計時に「開けてください」と指示する者がいる。
扉の開閉が遅い、それは理解できる。
先に開けとけば良いということも理解できる。

ただ、それを言う客ほど現金でお支払いをし、こちらに両手を使わせる。丁度ならまだ良いが、お釣りも必要。
そんな客が料金を置いたと同時に「早く開けてください」
とこちらの要領が悪いような言い草で強く口にする。
だいたいは乗って来た時から焦っていて、急いでくれと頼む者か
以上にせっかちな者がそうする。

「早く開けて」と言うが開けるのを優先すると片手が塞がり5秒近くお釣りの準備が出来ない。
小銭数枚の片手でも十分なお釣りなら良いが、大抵大きなお札を出してくる。両手を使って準備をしなければ手元は不安定。
逆に、お釣りを渡すことを優先すると両手が塞がり扉は開けられない。
どっちにしろ、現金でしかもお札のお釣りまで用意する場合は多少時間がかかる。

かかると言っても、10秒もない。
せっかち過ぎやしないか。
そして、そのたった10秒でも短縮している人はしている。

Suicaなどの交通系で支払えば領収書を待つ時間があって5秒、
ないとほぼゼロ秒で外に出られる。

そんな説明は勿論しない。
相手は不満そうにだけ降りていく。

こちらは解消されない歯痒さだけが残る。

もし選べるならそんな客は選ばない。
この一本を減らしたところで大して売上に変化はない。
売上も大事だが気持ちよく仕事をしたい思いはどの業界でも共通するはず。

でも、その煩わしさを排除して気持ちよく過ごすことも良いが、
好んでいたい。
そっちの方が良い気がする。

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