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わたしが見てきた首都圏のタクシードライバー職とリアルな平均年収

みなさん、こんにちは。
タクシーチャンネルのげん太です。

今日は私が20代から6年間お世話になっているタクシー業界について、実際に見て分かったことを書いていきます。後半には、一般社団法人、全国ハイヤー・タクシー連合会の資料に基づいたタクシードライバーのリアルな平均年収があるので、それをもとに今からでもタクシードライバー職がおすすめできるかについて書いていきます。良かったら最後まで読んでいってください。


タクシードライバーの稼げるイメージ


未経験からでも稼げるイメージがあるタクシードライバー職ですが、会社選びが成功した場合、就業初期から月収40~50万円前後は稼ぐことができます。会社選びで数多くのブラック会社に入ってしまった場合は、事故、違反のリスクと劣悪な環境、柄の悪い仲間、歯のない悪い仲間と働くことになります。

「現実的な」話として稼げるかも…と思った未経験者がタクシー業界に入ってきて、まず驚くのは「長時間労働」と「研修制度の未熟さ」です。未経験から安定的に稼ぐためには、しっかりと労働時間の管理や研修制度が整備されているところの方が良いのですが、ドライバーを使い捨ての駒と考えている会社も多いため研修がほとんどない会社もあります。OJTなど見様見真似で仕事を覚えて、稼ぐことができる人もいる一方、「長時間労働」や「研修制度が未熟なため」辞めていく人が多い業界でもあります。また研修中が無給という職場もあります。

私の周りの人たちは月収で50~60万円を無理なくやっている人が多いです。就業初期は「稼ぐことに貪欲な人」「自己顕示欲が高い人」が売上は高く稼いでいる印象がありますが、2年目以降中堅になってくると、「貪欲さよりも、稼ぐ正当な理由」がある人の方が売上は高いレベルで「安定」します。東京であれば、会社選びや営業スキルがある程度ついてくることで月収60万円程度を再現性高く目指せると思います。

タクシードライバーはひとりで働ける仕事


ひとりで自由に働ける仕事が「理想」だなと考えてタクシードライバー職に挑戦される方も多いです。タクシードライバー職は、他のメンバーと協力したり上司の指示に従ったりすることはほとんどありません。前職で人間関係に疲れてしまった人、チームで仕事をすることが苦手な方、相性の悪い上司によるストレスを感じていた方は「人間関係」で悩む必要がなくなる分、活躍しやすくなると言えます。
営業所では最低限のコミュニケーションをとって、仕事に出たら基本的にはひとりの時間となるのがタクシードライバー職の特徴です。仕事の進め方や手順などもある程度自分で考えて働くことができます。人によっては仲間とボイスチャットやLINE通話を繋ぎながら仕事を進める人もいます。会社からは決められた仕事を無事故無違反でこなしていれば、基本的に何も言われないのがタクシードライバー職の特徴です。

ひとりで自由に働ける反面、何かあった時に相談がしにくいなど現実は苦労する方もいます。サボっても何も言われない環境で働くことは、未経験者にとって必ずしも良いとは言えないかなと思います。

ドライバー職、事故のリスクについて

私は20代から6年間、東京の公道を運転し続けています。「この目で」多くの事故を目撃してきました。タクシーだけでなくドライバー職を仕事にするということは、常に事故の危険と隣合わせとなります。そういった事故のリスクがあるため無事故無違反が何よりも大切です。といっても起きている事故の件数は、毎日公道を走っている車両の数からみて決して多くはありません。わたしの身近なドライバー仲間や同僚で事故を起こす人はほとんどいません。事故のリスクを過度に心配する必要はないかなと思うのですが、事故を起こしやすい人は一定数存在しています。事故を起こしやすい人は同じパターンの事故を繰り返して、そのうち大事故につながったりもします。未経験の新人タクシードライバーが就業初期に運転に慣れていなくて、左折でこすってしまったとか、バックでぶつけてしまったなどはよくあるのですが、初期の軽微な事故で「改善」をすることが長い間、事故のリスクを下げることにつながります。

10年間以上、当然のように無事故無違反を続けている人がいる一方で、事故違反が絶えない人もいます。事故数の実績を見るとリスクを過大に考える必要はないと思いますが、素人ドライバーはプロドライバーとなった後、長く無事故無違反で稼ぎ続けられると良いですよね。私も気持ちを引き締めて頑張ります。

休日は少ない?休日の実態について

タクシードライバーだけでなく、ドライバー業界の「現実として」総じて休日が少なく、残業代も適切に支払われない会社が多いことも特徴のひとつです。ドライバー業界の中小や下請けの会社は労働時間を守ってしまうと採算が合わなかったり、従業員の給料が低くなりすぎてうまくまわらないといった問題を抱えています。この休日や時間外労働については「トラック」よりも「タクシー」「ハイヤー」、「バス」の方が待遇は安定しています。なぜなら物ではなく人を運んでいるため、労働時間の管理やきちんと休日がない状態で事故が起きてしまうと事業、業界そのものの信頼性がなくなってしまうからです。「タクシー」「ハイヤー」、「バス」の休日や労働時間は優良会社であれば、きちんと管理されています。

ドライバー職のやりがいについて感じること

ドライバー職全般ですが、やりがいは感じやすい仕事だと思います。物や人が自分の仕事のおかげで届いている、移動させている実感があります。タクシーやハイヤー、バスだと「ありがとう」をお客さまから直接言われる仕事です。私は1日に約25組のお客さまをお乗せしますが、降りる時にはほとんど全てのお客さまから「ありがとうございます」と言われます。変なお客さま(酔っ払いなど)もいますが、9割以上は良いお客さまたちです。私もタクシードライバーになる前はお客さまの顔がわからない仕事をしていて、自分の仕事に費やした時間がなんの役にたっているのか実感しにくい毎日でした。理想でも現実でもタクシードライバーとかドライバー職というのはやりがいを感じやすい仕事だと思います。

ただし仕事自体に大きな変化やキャリアアップの機会は少ないので、やりがいはありますが、飽きるという側面が出てくる人もいるでしょう。それはまた3年目、5年目、10年目と課題に向き合う必要があります。(私はそうでした。)

首都圏タクシードライバー職のリアルな平均年収

一般社団法人、全国ハイヤー・タクシー連合会の資料によると令和5年度、東京都のタクシードライバーの平均年収は約585万円と令和4年の425万円と比較して160万円もの大幅アップとなりました。これは物価上昇によるタクシー運賃の値上げ(メーター料金アップ)とインバウンドの増加による景気上昇。Goアプリ等配車アプリの活用による生産性の向上、大手優良会社による人材採用の成功などが挙げられると思います。

一般社団法人、全国ハイヤー・タクシー連合会の資料。
東京、585万円。大阪、487万円、愛知、359万円、福岡、360万円。
一般社団法人、全国ハイヤー・タクシー連合会の資料
東京のタクシードライバーは東京で働く全産業の平均年収を約5万円、上回りました。

このデータを見て思いましたが、あらためて東京のタクシーすごいなと。私のまわりの人たちは年収700万円とかが多いので、かなり高いことは分かっていましたが、平均年収が約585万円は凄すぎるなと思います。大阪も良いですが、東京が頭ひとつ完全に抜けてしまっています。私は日頃からこういった流れを感じていて、お客さまの需要の増加にタクシーの供給がついていけないと現場では思うことが多いです。

こういったリアルな数字を見ながら考えることは、自分にでも務まるか?だと思います。私も6年前は不安でしたが実際にはじめてみると意外とやれるなと思ったし、『理想と現実』はだいぶ違うなと思い知らされました。

今から目指される方には、稼ぎやすく良い会社にご縁があるという前提ですが、しっかりタクシーの稼ぎ方を考えながら仕事をした方が良いと思います。配車アプリは便利ですが、誰でも同じ結果が出るやり方では何年も人並み以上に稼ぎ続けることはできません。いい意味でも悪い意味でも古い体質の業界なので、これから入る方がどんどん東京のタクシーのイメージを「かっこいい仕事」にしてほしいなと思っています。私が思うこの仕事は、能力と勤勉性のある人が稼げると思うし、無事故無違反と高い営収は両立できるし、接客が良いのは当然で、情報リテラシーがあって会社に感謝することは当然だと思っています。その上で、今までの人生経験を生かせる仕事です。

私も今までの先輩から学んだことを大切に、これからの人と共に頑張っていきたいなと思っています。

東京のタクシードライバー職の平均年収が、東京の全職種平均の年収を超えたことに少しだけ誇りというか、20代から6年間毎日やってきたことが悪いものではなかったような気がして少し嬉しい気持ちです。

これからも頑張りたいです。
引き続きタクシーチャンネルのげん太をよろしくお願いします。

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