見出し画像

うしろのクルマに苦情を申し入れる深夜のタクシー乗客

上記タイトルのとおり「うしろを走行していたクルマに苦情(文句)を言う酔っ払い客」の話にお付き合い願いたい。

夜、いつものように居酒屋からお帰りの乗客2名さま(30代くらい)をお乗せして走行した。
色々と私にも話しかけている、陽気なお客様2人だ。
お酒が入っているとは言え、言動や行動はしっかりしている。
しばらく走ると、タクシーの後方を走行するクルマが2回ほどパッシングしてきた。

私はタクシー運転中、そんなにスピードを出す訳ではない。
無理な事はしない。
そのため、後方の運転手さんからは遅く感じたのかも知れないが、車間を狭くしてきても気にしないようにしている。
ただ、今回はパッシングだけで、車間距離を接近させているようには感じない為、なんでパッシングしたのかな?と、疑問符がついていた。
追い越し禁止直線ではあるが、対向車もほとんど来ない深夜なので、法律違反して追い越そうと思えば追い越しもできる。
何かの注意喚起でもしてくれているのか?

タクシーはお客様の指示が急な事もあると、突然停車したり、急に曲がったりすることがある。
運転する身としては安全のためそんなことしたくないのだが、スマホなどを眺めているお客様からの指示が遅い場合も多々ある。
運転免許を持っていないお客様だと思われるケースだと、とにかく指示が遅く「そこだ」と直前に指示されることも多い。
普段クルマを運転される皆様へのお願いとして、タクシーが前を走っていたら、ほんと車間距離は開けて欲しいと日々感じている。
しかし、今回は車間距離もほどほどに取ってくれている。

ともあれ、普段、後方からパッシングまでされることはまずない。
しかし、操作間違えか?、この日はバッシングされた。
前述したとおり、私は気にしないのだが、後席にお座りの男性2名は違った。

後部座席に乗っていたお客様の仕事は運送業で、普段は10トン・トラックを運転していると話してくださっていた。
日曜日の深夜1時頃(正確には月曜日)であり、朝になったら運転の仕事だから、この時点でアルコール入っている状況で、どうすれば良いのか?とも話しておられた・・・。
実際、タクシー運転手の私も出勤時と退勤時の2回、アルコールチェックを行っており、飲酒運転は絶対に許されない。

そんなほろ酔いのお客様であったが、気にしない私の思いとは裏腹には「うしろのクルマ、パッシングしやがった」と少しお怒りモードに。
タクシーのバックミラーにパッシングしたうしろの車のライトが反射したのが分かったのだろう。
運転している自分ではなく、後席のお客様がパッシングされたことが気に食わないと言う状況だ。
「あの野郎、なめやがって」とも言っている。
もっと酔っていて、寝てくれていた方がよかったか?
「そんなに車間距離が近くなっている訳ではないですけどね」とお客様をなだめるように言ったが効果は無かった。

前の信号が赤になり停車した際、お客様が「ドア開けて」と言う。
これは文句を言いに行くのだろうとすぐに察しがついたので、私は「いや~」と開けるのを躊躇し、なんとか穏便に済まそうとした。
私のほうから、お客様どうぞ、行ってきて下さいと言うシチュエーションを作るのは絶対にマズイし、なんとか先を急ぎたい。
そうこうしているうちに、意を決したお客様は自分で左ドアを開けて降りた。
そしてお客様はすぐさま走って行き、うしろのクルマの運転席のドアを開けて怒鳴り込んでいるのが見える。
怒鳴り込むと言うのは語弊があるかも知れない。
大声は聞こえてこず、ドアを開けて、運転手となにか話をしていると言う感じだ?
大声ではないので、何を話しているのかはわからないが、文句を言っているのは間違いないだろう。
なお、暴力などは振るってないようで、少し安心する。
ただ、乗車していたお客様が文句を言ったと、逆に会社へのクレームになったぬ、警察ざたになるのでは?と、かなり心配になった。

赤信号が3回ほど変わる時間が過ぎたが、2台はそのまま夜の闇の中にずっと停車していると言う異空間は長く感じた。
幸にも後方から新たな車がやってこなかったのでよかったが、ようやくお客様の2人がタクシーに戻って来た。
お客様いわく相手は「怯えていたよ」と笑っている。
タクシーを運転している私に対しては「運転手さんは法定速度守って走っているのに」と、優しい状態で代わりにお灸をすえて頂いた感じだが、私が望んだことではない。
法定速度と言うのはお世辞かも知れないが、安全重視でスピードを過剰には出していないので、かえって仇になってしまったのか?
なんとも難しい・・・。

ともあれ、深夜1時に赤信号で止まったら、いきなりドアを開けられて、怒鳴り込みを受けた一般ドライバーさんにも同情してしまう。
男性のようだったが、文句を言うのは1人ではなく2人だし、さぞかし怖かっただろう。
怒鳴り込んだお客様としては、同じく運転を仕事としておられるので、パッシング行為を許せなかったのだろうが、正直、そこまでしなくても良いのに・・・。
そして、自分は早くお客様を送り届けて次の営業をしたいのにと感じるところであったが、ひとつのエピソードとしてご紹介してみた。

うしろを走っているタクシーが、車間距離を詰める(あおる)と言うクレームは会社に入ることがあるようだが、今回はその逆パターンとも言え、しかもタクシー乗客が相手にクレームを入れたと言う感じに。
たぶん、2度とない貴重な体験だったと思う。
ただ、自分でドアを開けると、後ろからバイクなど来ている場合、とても危ないのでタクシー運転手に任せたほうがいいよと皆様には伝えたい。(事故になった場合、タクシー運転手の責任にできる)
なお、この事件以降、私が深夜に自分の車を運転する際には、ドアを全部ロックすることを徹底したのは言うまでもない。(^-^)

普通二種免許の自動車教習所・教習内容実録(1日目)【50代新人タクシー運転手・奮闘記ブログ】






この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

もしご支援頂けるようであればサポートお願い申し上げます。 よりたくさん情報配信できるよう活動費に充てさせて頂きます。