作品


僕はお笑いを始めるきっかけは、2020年のM-1グランプリだったのですが、

人前で何かをやることも、ネタ作りのようなことも、当然誰かを笑わすようなことも、全然してきたことがなくて

不安がありつつも、M-1の日に心が動いた高鳴りを信じて、思い切って決断をしました。


僕の不安な時、苦しいと思った時は、いつも忘れらんねえよの曲がありました。

僕は忘れらんねえよの古参ではなくて、
大学3年の、就職活動を始めた時期に忘れらんねえよを始めて聴きました。

その時は、「この人、マイナビバイトを探せ〜のひとかあ」と思ったくらいでした。


でも、曲を聴いていると、自分の情けない部分、恥ずかしい部分を、全部真っ直ぐに代弁しているのが、柴田さんの曲でした。


「君の彼氏はすぐに女性を下の名前で呼べちゃうやつだろ 残念ながら俺はそういう才能まるで持ってないんだ」

「今日も眠れぬ夜は 君の名をググるよ」

「ねえ神様僕は好きでもない人で童貞捨てたんだよ」

「明日とかどうでもいい 死ぬほどどうでもいい いつか終わんだから 今日が楽しくなくちゃ」

「ひとの成功妬み ひとの不幸笑う そんな自分自身が何より嫌いだ」

「世界を変えんのは 優等生じゃない 馬鹿みたいに泣いてコケにされて見下されたやつさ」



忘れらんねえよの好きな歌詞をあげればキリがないけど、こんなにもニッチで、こんなにも真っ直ぐすぎる歌詞があるのだろうか

こんなにもニッチなのに、なんで全部が僕のことなのだろうか

就活のグループワークで的外れなことを言って鼻で笑われた時、好きな人に告白して振られた時、会社で上司に怒られた時、仕事を辞める時、お笑いを始める時、ずっと忘れらんねえよの曲がありました。


今の僕は、忘れらんねえよのおかげでここにいる、と言っても過言ではないと思っているし、ずっと僕の背中を後押ししてくれたのは事実です

いつか必ず、僕が自分の言葉で、あなたのおかげでここまで頑張れました、という言葉を伝えたいと思って、僕は忘れらんねえよの「北極星」という歌から、斎藤北極星という芸名をつけました。



先日僕は、忘れらんねえよのデビュー曲『Cから始まるABC』のMV撮影ライブに当選したので、観に行きました。

この歌の冒頭は、「爆音でチャットモンチーを聴いた」という歌詞から始まります。

ブラック企業のサラリーマンだった柴田さんが、チャットモンチーを聴いて、バンドを始めたことを最初に歌ってます。

この日のライブには、スペシャルゲストで、柴田さんが音楽を始めるきっかけになったチャットモンチーの橋本さんが登場しました。

柴田さんが忘れらんねえよを始めるきっかけを与えてくれた人と、デビュー曲を一緒に歌う姿を見ました。

柴田さんはずっと

「俺とお前らと全員で作品になった」

と言っていました。

チャットモンチーを聴いて音楽を始めた柴田さんが、その橋本さんと一緒に歌を歌って、一つの作品が完結した、ということだと思います

そして、それを聴いてくれた僕たちも、同じ作品なんだ、ということだと思います。

柴田さんは、自分の一つの物語を完結したと言っていますが、


僕はそんな柴田さんの曲を聴いて、一つの物語が始まっているんです。

僕以外にも、柴田さんの曲を聴いて、他の色々な作品が、いろんなところから始まっているんです。

僕はまだまだ始めたばかりで、なんの作品にもなっていませんが、

必ず作品にして、柴田さんに感謝を伝えたいと思いました。

先日zepp shinjukuで行われた、「忘れらんねえよのすべて」ワンマンでは、僕が1番好きな歌、

『この高鳴りをなんと呼ぶ』

を歌っていました。

「この高鳴りをなんと呼ぶ 今もそのまま続いている なんだっていいよ 世界は僕らのために廻んだ 廻んだ」

この選択がどうなるかなんてわからないし、
不安になる時だって必ずあるけれど、
今日いままさにこの瞬間の高鳴りを、信じ続けるんだ

そう強く思い込んだ歌でした。

何度も聴いた曲なのに、
本人の口からだって、たくさん聴いた曲なのに、

初めて思いっきり泣いてしまいました。


先の見えない広すぎる空をかき分けることしかできなくて、不安や苦しい気持ちもたくさんあるけれど、それでもずっと鳴り続ける高鳴りを信じるんだ。



忘れらんねえよが好きでよかった、絶対に僕も、僕の高鳴りを信じ続けて、美しい作品を作るんだと思いました。

そんな、大切な備忘録でした。


最後にこちらは、僕がNSCに入学料を振り込んだ日に、聴いた曲です


夢のような この世界が 僕らを待つんだ

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