年末調整電子化手続きをしてみました!

 こんにちは。税理士の加古 渉です。

 今年も早いもので生命保険や地震保険の控除証明書が届く季節となりました。これが届くという事は事業者は年末調整の準備を考えていかなければならない時期でもあります。今年から年末調整の計算方法も手続き方法も変更点があり、複雑化されることが予想されます。

 控除証明書が届いた方は、くれぐれも紛失せずに保管していただきますようお願いします。


   私は相変わらず、自転車で豊明市市内の会社に飛び込み営業をして名刺をお配りし、何か私ができることがないかを探り、まず自分の事務所の周りでの広告宣伝に力をいれています。ご多忙のところ少しでもお時間を割いてご対応いただいた方、誠にありがとうございました。

 開業したばかりのイチ税理士の飛び込み営業なので中には厳しいご対応やお叱りを受けることもありますが、税理士を探していたという事業者の方の声もあり、めげずに自ら足を運んで汗水流して営業するということも大切だと感じています。

 敢えて税理士の私が馴染みのない飛び込み営業をするということは、税理士加古 渉が豊明市にいるということを直接近くの皆様に広めることと同時に私自身も豊明市にどのような会社があるのか、どのような方がいらっしゃるのかを直接接することができるという私自身のメリットもありますが、

 基本的には私は銀行員として2年、税理士事務所で10年働いてきて、今後長くおつきあいが可能な税理士として事業者様のお力になれるという自信があるため訪問させていただいております。

今後ともよろしくお願いします。

さて、本題に戻し、今年から年末調整の電子での手続きが可能となります。

 菅政権になり、デジタル庁創設、脱ハンコというようなニュースが流れていますが、税務も例外ではなく書面での手続きが原則なものが電子化での手続きができるように進んでいくのだと思います。

 しかし、この年末調整の電子化手続き・・・私も同期の税理士や税理士法人に聞いてもなかなか今年から年末調整の電子化を進めよう!という声が聞かれません。なので、私が一度どんな手続きか自分でしてみました。

 最初に書きます。この年末調整の電子化手続きは、最初は従業員の準備がかなり大変だというのが感想です。私も疲れました・・・

 どんな流れか順を追って説明します。この手続きをするために事業者側、従業員側と双方に準備が必要になります。

(1) 事業者側の準備

 まず、事業者は、税務署に年末調整書類をデータ保管など電磁的な方法でしたいので承認お願いします。という書面を提出します。

 提出期限は特にありませんが、「この申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から承認又は承認しないことの決定の通知がなければ、この申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとされます。」と書かれているため通常12月に年末調整業務を行うことを考えれば、この源泉徴収に関する申告書に記載すべき電磁的方法による提供の承認申請書を10月末までに提出する必要があります。

 次に、給与システムの改修・従業員との綿密な打ち合わせが必要になります。この給与システムは各会社で利用しているシステムが異なっているため各社の給与システムの対応が必要となりますが、従業員が各自で「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」等で作成した控除申告書等のデータを取り込み、自動チェック、年税額の計算を行う機能の改修が必要になります。

 また、従業員との打ち合わせも必要で年末調整全体の手続きや年末調整控除申告書作成用ソフトウェアのダウンロード方法、各保険会社の控除証明書データの取得方法等を周知して、従業員にある程度この電子化をできるスキルを持たせ、この手続きを理解をしてもらう必要があるものと考えます。

(2) 従業員側の準備

 この年末調整手続きの電子化で従業員がメリットを受けるためにはマイナンバーカードの取得、マイナポータルサイトの開設等が必要になります。

 それをしないと各保険会社の控除証明書等のデータを各会社の契約者専用ページにログインして控除証明書データを取得する作業が必要になり、従業員側としてはかなり手間をとることになります。

 とりあえず私が自分の事務所の従業員だと仮定して電子データの年末調整資料の作成を試みてみました。

 まず、私の契約しているA社の契約者専用サイトにログインして控除証明書等のデータをダウンロードして作成します。

スクリーンショット (6)_LI

スクリーンショット (13)_LI

 私はマイナンバーカードを取得しマイナポータルも開設しているため、最初にマイナポータルサイトの「もっとつながる」メニューからe私書箱連携という手続きをすれば、次年度以降は控除証明書の電子データが自動的にマイナポータルに保険会社から届くようです。

※ 翌日A社よりマイナポータルに今年分の控除証明書の電子データが届いておりました。


スクリーンショット (12)_LI

 他にも控除証明書がある方はそれぞれ発行会社の契約者用のサポートページにログインしてそれぞれデータの作成、e私書箱連携の手続きの必要がございます。

 続いて、国税庁HPより年末調整控除申告書作成用ソフトウェアのダウンロードをします。これはダウンロードする為にマニュアルもあり、マニュアルを読みながらダウンロードするため思ったより時間がかかってしまいました。


スクリーンショット (6)

 

 ↑の画面より従業員は各自で、基本情報、家族情報等を入力し途中で↓の通り先ほど取得した控除証明書等データを取り入れる必要があります。

スクリーンショット (8)

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  しかし、この取り入れたデータ、保険受取人やその続柄まで完璧に記載されていないとエラーが生じて修正ボタンで修正する必要があります。私の場合は受取人等を追加で手入力する必要がありました。

 他は基本情報や作成する申告書等を選択して画面に従って進めていくと何とか完成させることができました。

スクリーンショット (17)

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 このデータで作成した年末調整の情報をメールやUSB等で会社に提出して、そのデータを基に会社が給与システムに取り入れて年末調整をしていく流れになります。

(3) まとめ

 いや~なかなか疲れました((+_+))最初の年は登録設定などかなり大変だと思いました。今までの年末調整手続きとは全く異なるものだ考えた方がいいです。しかも私の場合、生命保険料控除証明書データをA社一つとしましたが、これが生命保険・地震保険・住宅借入金・小規模企業共済等あればさらに大変になります。

 私の感想としては、事業者側はペーパーレスになり、従業員側のデータで所得控除額等も全て自動計算されて検算する必要が無くなるため事務負担が相当軽減されるものとしてメリットが大きいものと考えます

 しかし、従業員側は、マイナンバーカードの取得をしていない方は特に、毎年各自で保険会社や銀行などの各会社のサポートページにログインして控除証明書データを取得して、各自で国税庁HPで「年末調整控除申告書等作成用ソフトウェア」をダウンロードして取得したデータを取り入れるなどかえって年末調整のための準備作業が増えるのではないかという事を感じました。しかもこの年末調整申告書等作成用ソフトウェアのダウンロードからデータ受信や基本情報入力などマニュアルを読んでしなければならず、初年度から途中で嫌になってやっぱり紙で提出しようと気変わりしてしまう方も相当数いるのではないかと私は考えます。いずれにしても従業員側はマイナンバーカードを取得してマイナポータルを開設して各保険会社等からの控除証明書データをe私書箱に連携させてやっとメリットが生じるものと考えます。

 現状マイナンバーカードの取得率は2割にも満たない状況や電子化などの手続きが難しい従業員もいると思います。今年から全社員の年末調整の電子化提出の徹底というものは実務上かなり難しいものと思いますが、まずは全て電子化するのでは無くても徐々に年末調整の電子化手続きを進めていくのが良いものと考えます。

 私自身が関わっているお客様には年末調整の電子化ができることはお伝えして、従業員が少ない会社さんには特に来年以降も見越して年末調整電子化をできるところまで進めていくことがいいのではないかとお伝えしております。もし、電子化の手続きが難しい従業員さんがいらっしゃれば、それは従来通り紙での提出をしていただき、原本又はスキャナ等でPDFにして電子データと同じフォルダで管理することもお勧めしております。

 今の電子化の流れは止められないものと考え、私自身は事業者となったため年末調整の対象ではありませんが、勉強しながら自身の確定申告でこの控除証明書等データを用いて申告業務を進めていこうと考えています。

年末調整の手続きなどご相談有れば承っております。

先日HP用の写真撮影をしました。

笑顔を自然に作るのは難しく、ぎこちなく・・・

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HPも作りました。よろしくお願いします。


加古 渉税理士事務所 税理士 加古 渉

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