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「遠いは、近い」

身近な芝居に「今、よくあること」を描いたものが続いた。出たものも、観たものも含めて。
「ふつうの、どこにでもある家庭、家族、人間関係」が豊富な材料を提供してくれる。
私自身の「今とこれから」に痛いほどリンクするものも多くて、ピンと来すぎたり、おかしかったり、身につまされたり。

描き方はもちろん一様ではなかった。奇妙なできごとや、あり得ない不思議、特殊な事情を背景とするものもあって、それぞれの視点は面白かった。

しかし日常を描きすぎていて、見終わったあとの思考が広がらないこともあった。
ああ、そうだね、そういうことあるね、わかるわかる…そこで視界にシャッターが下りる。
「近くて、近すぎる」

古いもの、いわゆる「ありもの」の作品、遡って古典を演ろうとすれば、「今」に合わない、分からないということになるのだろう。
古典は遠い。
遠いが、そこから普遍的なものを抽出し、未来を想像することもできる。そんなすぐれた作品もある。
演り方次第で光り出す作品もある。

「遠いは、近い」
遠くから近くへ飛ぶ。遠いからこそ、近くへ、自由に飛べる。飛べる能力も大事。
近い世界から安直に拾おうとするのは、作る側の勉強が足りないからでもある。

振り出しに戻れば、「ふつうの、どこにでもある家庭、家族、人間関係」ってなんだろう。そんなものがあるのかしら。
#演劇 #朗読 #台本 #作品

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