【ドラマ】離婚しようよ 感想
世襲若手議員の東海林大志(松坂桃李)と女優の黒澤ゆい(仲里依紗)が、旦那の三年目の浮気が原因で関係に亀裂が入り、冷え切った結婚生活を送っていたが、大志は未だに浮気相手と関係はズルズルだし、加えてゆいにもめちゃくちゃ顔のいいパチンカス加納恭二(錦戸亮)との出会いもあったことで、いよいよ離婚が現実的に差し迫る。でも議員と女優のカップルは離婚するのも一苦労。周囲がそれを許さない。加えて解散選挙も絡んできてしまい、とにかく大志の選挙が終わったら離婚しようと妥協を見出し、そこまでひとまず夫婦の最後の共同作業が始まったわけだが、果たして?
みたいなあらすじを踏まえて、以下感想。
大志役の松坂桃李さんが良かったので、彼に対する意見が多めになります。
共同脚本
宮藤さんと大石さんの共同脚本と聞いたら、観るしかない!てことで飛びついて観ました。
どっちが誰のセリフ書いてるのかは何となくしか予想できなかったのですが、キャラは大志が宮藤さんで、恭二のほうが大石さんが作ったんじゃなかろうか。
大志は絶対宮藤さんのキャラっぽい。育ちの良いボンボンで、お金にも全然苦労したことはなく、将来も母親の言うままに政治家になること決められてて、自分の価値観が持てていない。おまけに女にはだらしない。
第1話のリビングでのゆいとの口論中に、大志が頭の中でどうやったらゆいを怒らせなかっただろうかって自分の行動を振り返って、行動を改めても怒らせるだめだ!って結論づける逃避加減が、いかにも宮藤さんぽかったです。
お話全体のスピーディーなドタバタ展開は宮藤さんのお得意な流れだと思うのですが、ゆいのセリフとかヘンリーと印田さんのやりとりとかは大石さんかなあと思いました。
特に恭二に対するダメ出しが非常に現実的観点だったので、これは宮藤さんじゃないだろうな、と。
選挙
個人的に途中から、二人の離婚よりも愛媛五区の選挙のほうが面白くなってしまった。
何より大志の対立候補者である想田豪(山本耕史)が大胸筋過ぎて…いや、策略家で自信家の実にいいキャラでした。これは本当に山本さんしかできないだろうよ…
想田は最初は愛媛地盤の東海林に支持率全然及ばなかったけれど、スピーチの巧さと、大志の父からの悲願であるBSL-4という高度ウィルス研究施設建設の弱みを的確に突いてきて、世襲ポンコツ議員との格の違いを見せつけてきます。
これに大志はあくまでBSL-4の必要性を主張して対抗。
一度目の討論会では想田にこてんぱんにやりこめられてしまいますが、甘ちゃんだった姿勢を正し周囲の聞き取りを行って挑んだ次の討論会では、住民達の立場を考慮した上での設備の必要性を訴えることができました。
選挙の中で成長する大志の姿は純粋に見ていて熱くなります。
でも討論会のシーンはそれ以外も面白い。
実際に日本のどこかでこうした研究施設を打ち立てるマニフェストがあがっているのかは分からないのですが、愛媛空港の問題とかもそうです。(赤シャツが問題提起するのが良かった)
地方にある施設のことでも、実は日本全体に関わる施設なのだって思うと、一地方の選挙とか言ってられなくなるんだなあ。とか。
全体的にはこの話、地方の選挙活動って自転車乗ったり、音頭踊ったりバカみたいだよねって皮肉った目線で描いていると思うのですが、揶揄の中に深刻さもぶっこんでくるから、うまいなあ。
想田と大志は本当に立場が対照的ですが。
想田がデータ主義、大志が現場主義とこのあたりも真逆です。
選挙区の住民に聞き込みを行うのは、票集めのパフォーマンスが実際のところなのかもしれませんが、大志の場合は彼の出来が良くないゆえの現場主義になるのでしょう。
自分の頭で政策を打ち出す能力はないが、馬鹿正直に住民からの不満を一人一人聞き出して、今の政治にはここが足りていないと知る。良くも悪くも愚直なやり方しかとれない。
そのため、討論会の女性管理職の問題については賛否両論なこと言ってもいましたが、あれは大志の素直さを表してもいるので、お話的にはいいのでしょうね。
大志と松坂桃李について
個人的松坂桃李の当たり役だった。今まで見た中でもベストかも。
人間的には育ちもよく善良だが、両親の支配下にあり自分で野心を抱けないところ。良くも悪くも幼稚さの抜けない大人というのが、すごく彼に似合っていました。
それから前々から思っていたけど、この人恐ろしく声のいい役者さんなので、政治家とかスピーチとか向いてる。
言っていることがなんかふわふわしてても、すごく誠実に言っているふうに聞こえる声質の良さ。なんてスキルだ。転じれば善良なことを言う詐欺師みたいな悪人にもなれると思うので、そっち方面でも是非見てみたいものです。
私が一番良かったのは、6話の選挙前での恭二と大志の会話です。
ゆいの子供は自分が育てる、あんたは愛媛は愛しているけど、ゆいは愛していないと告げられてから返した大志の言葉。
この後、お金も血筋もないから君は自由で羨ましい、すごいって言葉に繋がるんだけど、いやいやこれ羨ましい感情だけじゃ済まされないだろ、羨ましいの裏側に恭二への蔑みもまたあるだろ…とヒェッて思っちゃった。
自由以外のものを持っている大志には、それらを持っていない人の気持ちはわからないから軽蔑する。
自由になったこともないから、自由を手に入れることがどういうことかもわからないから憧れる。
恐らく彼の中にはどちらも存在する感情だと思うのです。きちんと本人が自覚しているかどうかは別として。
「あんたすげえよ」という賞賛にも皮肉にもとれる言葉と、憧れと侮蔑をにじませた表情をみせられたのは、なかなかに衝撃だったです。
もっとこういう感じの、足るを知ってるがゆえに鈍感な善人を演じてほしいな~。この人って善意で人を傷つける役ができる人だと思うんだよね~勝手なこと言ってますけど。ほんと良い役でした。
新しい家族の形、なのか?
※下品な内容を含みます。
離婚後、ゆいは実母と大志と大志の母に子供の面倒をみてもらいながら、精力的に女優の活動を続ける。
大志から好意は向けられながらも、再婚の道は選ばず別れたまま子供を育てていく。
いわゆるサレ妻の復讐の形としては、旦那に逃がした魚は大きかったと思ってもらえるのは理想的なんだろうし、これが今の離婚ものの落としどころなのかなーとかも思った。
新しい形の家族ってやつ?にしては、男女立場逆転のような印象も受けたけど、果たしてこの二人が今後どういう夫婦になっていくのかっていうのはちょっと気になる。
ゆいはやはり実母のように父親をとっかえひっかえする母親になるんだろーかとか。それでも大志のことが好きだから、子供は大志としか作らないんだろうかとか(下世話)
個人的には次にゆいに子供ができたとき、二人の間でひと悶着あったら面白いと思ってる。
大志はゆいのことが好きだけど、ゆいに別の男との間に子供ができてしまったら、さすがにその子を引き取るまではしないと思っている。
そのへんは現実的というか当たり前というか、陽自も自分の子供だから育ててるんだろうし。
だからゆいに妊娠したーって言われても、えっうそ本当に俺の子なの?ってまずは疑う。(やっていた事実があるにも関わらず)
「だって、今つきあってる、そのー…彼氏?、は不能じゃないんでしょ?」
「でも大志以外の人とは徹底してセーフセックスだから」
「うそぉ!」
とりあえずDNA鑑定しましょというお母様と、その隣の早乙女さんに確認される。
「ぼっちゃん、ゆいさんとはセーフでなかったわけですか?」
「いや、まあ、その…ぶっちゃけアウトでしたけど。でも違うんです、俺的には本当はアウトにもっていきたかったけど、インしちゃったままやっちゃったというか…」
「避妊具をつけてなかったかって聞いてるんだよ!」
「すいませんっ!つけていませんでしたっ」
それで結局DNA鑑定して、実子だと判明してなんだかんだ仲良くやってほしい。
まあインアウト答弁を松坂桃李に喋ってほしいだけかもしれないけど。
下品な妄想でごめんなさい。
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