多和田ケンジ

あるジャズクラブで出会った女性達のオハナシです。ギリギリR指定受けずにすみそうな内容で…

多和田ケンジ

あるジャズクラブで出会った女性達のオハナシです。ギリギリR指定受けずにすみそうな内容で書かせて頂きました。それ以上の内容はこの連載の後に考えます。そして、そのお店はすでに閉店しておりますので探さないで下さいね。では、しばしジャズの調べに身を任せてお楽しみ下さいませ。

最近の記事

4吸い殻の風景

『来週の金曜日会えない』 半年前に関係が終わった倫子から久しぶりにLINEが来た。懐かしいがもう会わないと言ってきたのはオマエのハズだったが。 『いつものお店で。いつもの時間に』 いつものって・・・今さらなんだけどな。 そうのこうの言っているうちに当日。いつもの席で待っていると流れてきた曲は「思い出のサンフランシスコ」しばらく聞いていたら以前と変わらない日に焼けた笑顔がやってきた。 「ごめんねこんな顔で。いま皮膚科でシミ取りやっているから目の下がちょっと赤いでしょ」

    • 3この10年にナニがあった

      10年前にある勉強会で彼女に会った。離婚して子供二人を育てるためにある会社の広報部に入社したと聞いた。そんな彼女が壁の花になってうつむいているのを見て「ナニしに来ているんだ?いろいろなヒトと名刺交換して会社をPRするのが自分の仕事だろ」と言いながら手を引き自分の知り合い全員と名刺交換をさせた。その後、他の勉強会でも相変わらず壁の花になっていたので、そのたび手を引っ張って名刺交換させた。そんな事が2~3回あったと思う。そのあとは会っていなかった。 もうほとんど途切れていたSN

      • 2.昭和のオンナ

        「結婚はしないよ」と宣言しているにもかかわらず、合コンの人数が足りないときにはとりあえず独身なので都合良くかり出される。ただ、先日の婚活パーティで仲良くなった女性、ハナシが進み食事くらいどうですかと誘うと「すみません、わたしダンナいるんです」と。オマエなにしにここに来た。 その日のパーティは50~60代とまぁまぁ年齢のいった男女の集まりだった。目をつけたお相手は65歳の美女。小綺麗にしていたので年齢ほどに見えず、まぁ一度はデートしてみるのも良いだろうと「クラブに行きませんか

        • 1.口説きたい彼女

          この店を見つけてからさまざまな女性とこの店に来て1ヶ月が過ぎた頃、定番の席が決まった。階段下のステージ側の席が都合がいい。この席は後ろを振り向かないとステージが見えない。向かいの相方の席からはステージはきっちりと見える。わざわざこの席を予約して相手の女性を向かいに座らせる。そして演奏が始まると「あ、コチラからは見づらいからそっちの席に行っていい?」と言いながら返事も聞かずに横の席に滑り込む。それがいつもの手口になっていた。 今日のお相手は前々から口説いているチョット大柄だけ

        4吸い殻の風景

          プロローグ

          その店のドアノブはト音記号だった。オーナーのこだわりだろうか。 ビジネス街にあるその店はある意味異彩を醸し出していた。仕事帰りのサラリーマンが軽く一杯引っかけて帰るような雑多な界隈なので、静かな音楽を楽しむ店としては場所に違和感を感じざるを得なかった。 自分の勝手想い込みかもしれないが、ジャズクラブなんてのは暗い静かなところにあって、薄い明かりが漏れていて、重い扉の向こうにある別世界を味わうモノだと思っていた。 中に入るとやたらと大きなスピーカーとアップライトピアノが目