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【相性で見る芸術家の愛のひとかけら①】相思相愛ーシャガール♡ベラ



◎はじめに ー長めの前置きから

パートナーとなる人との相性って色々ですよね。
愛でつながったり、情でつながったり。
束の間がちょうどよかったり、じんわり長続きしたり。

まあ、どんな繋がりでも、どうせならいい相性でいたいもの。

ーーー じゃあ、いい相性って?

そう考えると、その多様さといったら!
「人の数だけありますよ」と言ってしまったら身も蓋もありませんが、明確な答えなんてない、というのが本当のところかもしれません。

そこで、ここでは…

【ホロスコープから見る芸術家のひとかけら】 の番外編として、画家とそのパートナー、主にミューズと呼ばれる、作品制作へ影響を与えた存在との相性をみていこうと思います。
シナストリーと呼ばれる、二人の出生ホロスコープを重ねて、そこからお互いの星々の関係性をみていく手法を使います。

ただ歴史上の画家さんたちは、恋愛遍歴や人間関係がぶっ飛んでことも多いもの。普通に考えたら「そりゃないんじゃない?」と言ってしまいたくなるような、濃密で大混乱なエピソードもあったりします。
まあ、個人の感覚の違いもありますし、時代の常識も違いますしね。

なので、あまり自分の参考に…とはなりません(キッパリ!)。

でも、おとぎ話を聞くように見るのはアリではないかと。


…と、そんなこんなで、前置きおしまい!
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!


では早速、第一回のはじまりはじまり~。


シャガール♡ベラ

♡愛妻家の「愛の画家」シャガール

シャガールにとって、ベラは絶対的な存在でした。

いつも「ベラ大好き~」ですし、《誕生日》(1915)という作品は「もう、ベラのことを想うとふわふわしちゃうんだよね~!」って感じです。

※このDVDのジャケット写真が《誕生日》の一部 ↓↓
(ベラとシャガールがモデルです)

このように、ベラと過ごすのが心底幸せと言わんばかりの作品がたくさん残っています。

ベラルーシの切手 ※1993年のもの


♡シャガールとベラの出会い(シナストリーホロスコープとともに)

まずは、シャガールがベラと初めての出会いを。
ベラと出会った時のことを、シャガールはこう回想しています。

彼女の沈黙は私のものだ。彼女の眼は私のものだ。
まるで彼女は私をずっと以前から知っているようだった。
私の少年時代も、現在 の私も、私の将来もすっかり知っているようだった。
私は初めて彼女に会ったのに、彼女が私の最も近くにいて、私を見はっているように思われた。
私は、彼女こそ私の妻になるのだと感じた。
彼女の青白い顔色、彼女の眼。その眼は大きく、丸く黒かった!
それこそ私の眼だ。私の魂だ。

『画家の妻たち』著:澤地 久枝

むむ…私の魂?→魂の片割れ?→紅天女?→『ガラスのモニョモニョ…
ってのはまあ置いといて!

お相手のベラさんの方もいきましょう。

私はいつも夢みていたんだわ、きっといつかひとりの絵描きに心をとらえられるだろうって。その人は心で絵を描く画家でなければならない。

『画家の妻たち』著:澤地 久枝

はい!あっという間に両想い!!
少女漫画を読んでいるのかと見紛うくらいの劇的シーン!!

お二方とも、ビビビーッときてます。
いや、もうちょっと突っ込んで考えると…

「シャガールはビビビ、ベラはズーン」

といったところ。

そんな衝撃の出会いによって生まれたシナストリーホロスコープがこちら!

※内円:シャガール、外円:ベラ


さて、「ビビビ」と「ズーン」の違いには、2人それぞれの金星♀の特徴が垣間見えます

シャガールの獅子座♌️(推定)の金星の反応は派手でドラマチック。
舞台の中心でスポットライト浴びて叫んでいるような感じです。
天に向かって情熱を放出しているような。

一方、ベラの蠍座♏️金星の反応は、つぶやくような心の声といった感じ。
情熱が心の奥底にゆっくり下り、溜まりに溜まって言葉になったような。

内容も熱量も、シャガールとベラは引けを取りません。


♡出会い後の二人

このように、出会ってすぐに惹かれ合った二人。
ですが、二人には身分の違いという障害がありました。
シャガールは魚売りの息子、ベラは宝石商の娘。
結婚は、シャガールが絵で生計を立てられるようになった6年後となります。
そして翌年には、娘のイダを授かります。

シャガールとベラの生きた時代は、二つの世界大戦を挟む激動期でした。

二人は、ロシアでしばらく生活した後、第一次世界大戦の影響を受けてドイツ経由でパリへ、さらに第二次世界大戦でのナチスの迫害を避けるためアメリカへと渡ります。

そんな混乱の時代を手を取り合って生き抜き、ベラは亡命中のアメリカで感染症のため亡くなります。

ベラが亡くなった時は、シャガールは半年間絵筆を持てなかったとも言われています。


♡シャガールからみたベラ

恋人であり、妻であり、母であり、時には父や上司のようであり…
もちろん作品制作のミューズです。

ベラは、シャガールの身の振り方に意見したり、作品の完成を見極め、タイトルづけにも一役買っていたみたいです。
とても聡明な方だったとか。

どうにもならない大きな力が、人々の運命をひきさらってゆく時代。結婚の翌年に娘のイダを生んだベラは、夫が時代の渦にまきこまれてゆくのをじっと凝視し、判断して、はっきりと意見を言う。シャガールはその結婚生活を通じて、ベラがつねに正しかったと書いている。

『画家の妻たち』著:澤地 久枝

そんな関係をホロスコープから見てみると、まずはここが気になります。

※内円:シャガール、外円:ベラ

シャガールの蟹座♋️太陽は、身近な存在や仲間への積極的に関わることを望みます。
そして画家であるシャガールは、作品制作を通してそれを実現しようとします。

そこに、ベラの蠍座♏️の土星がトライン(△)の角度を取っています。
調和の角度です。

土星は、成すべきことを成すために秩序をもたらし、制限をかけます。
そして、ベラの土星は蠍座♏️の深い愛情を持っています。
まるで自分のことのようにシャガールの信念を見つめ、深くを理解し、シャガールの蟹座♋️太陽を補佐、確実に輝く道を作っていくようにみえます。

また、下の話も蟹座♋️太陽と蠍座♏️土星の関係性を表すようです。

内向的でどもりもしたシャガールは、対人関係ですぐに癇癪をおこした。すべての点でシャガールを守っているのは、「洗練された趣味、適切な判断力、直感的な鋭さ」(シャガール)をもつベラだった。九歳も年下でありながら、ベラには夫を母のように実質的にささえる抱擁力が感じられる。

『画家の妻たち』著:澤地 久枝

そして、シャガールとベラの関係で欠かせない要素に、「作品のよき理解者であった」ということがあります。

これはこちらに注目。

※内円:シャガール、外円:ベラ

ベラの獅子座♌️の木星が、同じく獅子座♌️のシャガール水星に誤差1°でコンジャクション。

木星は多様性を受け入れ、発展させる星。幸運と発展に繋がる星です。
ベラの木星は、シャガールの考え方を全肯定し広げていこうとします。
芸術家にとっては温かい理解者ですね。

次に、金星から作品や作品制作との関係をみていきます。

※内円:シャガール、外円:ベラ

ベラには射手座♐️に【太陽☉、月☽、水星☿、火星♂】を持っています。
いわばベラ個人を形作っているほぼ全ての要素が射手座♐️にあるということ。
そのルーラーである木星は獅子座♌️にあります。

ベラの木星は、射手座♐️にある自分自身のほとんどの要素をひっさげて、シャガールの作品に理解を傾け、応援をしているようです。

ベラの水星がシャガールの火星にオポジション、ベラの金星がシャガールの水星にスクエアと多少のハードな面もありますが、上記の強力なソフト面を考えると、お互いの違いによる衝突さえも力にしていけそうです。

ちょっと意見が合わなくても、大事なところで繋がっているのでクールダウンできるというか、その大事な目的のために糧にできるといった感じでしょうか。


♡ベラからみたシャガール

こちらは、早速ホロスコープを。

※内円:ベラ、外円:シャガール

うん。

まあ、逆ですね。

シャガールの蟹座♋️太陽がベラの蠍座♏️土星に関わるので、ベラさんは「せねばならぬ!」状態になります。

この人をお世話せねばならぬ!
責任スイッチオン!!

蠍座♏️要素を入れるなら、この人の生きる目的のために、私は骨の髄まで世話をせねばならぬ!ってとこかと。

そして、シャガールの独自の考え方をしっかりと表現してくる獅子座♌️水星は、ベラの射手座♐️の月にとっては居心地がいいです。
似ているところがあるので、その熱さを煩わしく思わずに理解できますしね。


同じく獅子座♌️の金星も射手座♐️の太陽にトラインで調和。
シャガールの作品は、ベラの自分自身のあり方を活気づけたり、前向きに生きるための源泉となります。

まさに冒頭の「ひとりの絵描きに心をとらえられるだろう」ですね。
こんな感じで、個人にとって大事な太陽と月がとらわれちゃってます↓↓

※内円:ベラ、外円:シャガール


射手座♐️に多くの星をもつベラは、シャガールの作品があれば「どこまでも自由に羽ばたける感覚」があったのではないでしょうか。

ベラにとって、シャガールの作品が生きる上でとても重要だったんだんですね。
ベラは女優志望でモスクワで学んでいたそうですが、その夢は捨て去ってシャガールについていってます。

それに、シャガールがヴィテブスクに創設された美術学校長に就任し、忙しさに絵が描けずにいた頃、

シャガールは眠る間もないほど奔走し、絵を忘れた夫にベラは泣いた。

『画家の妻たち』著:澤地 久枝

そうです。

健気なベラにこっちが泣けちゃう。

画家のシャガールこそが、ベラの愛したシャガールなんですね。


♡まとめ


と、またもや長ーくなっちゃいそうなので、今回はここまで。

シャガール♡ベラ、相思相愛でしたね。
どっぷり。二人でひとつって感じのパートナー。

シャガールはベラを描いた作品をたくさん残していますが、ベラを描くことで自分を生きていたし、ベラも作品を作るシャガールを支えることで自分が生きているような感覚があったんだと思います。

こう書くと、二人の境界がなくなってしまうような危うさも感じますが、作品を通して、独立を好む火の星座同士で繋がれたことで、でそうはならなかったのかもしれません。

まあ、ベラがすんごいしっかり者だったっていうのが大きいのかもしれませんね…!


※ちなみに、ベラもただシャガールのお世話をしていただけでなく、イディッシュ(東欧ユダヤ語)を使って幼い日からの回想を書き続けていたそうです。射手座♐️のベラは、女優の道は閉ざしたけれど、自分で表現すること自体をやめてはいなかったんですね。

かっこいい人だと思います。


※画像は〈Wikipedia Commons〉より拝借しています。


【ホロスコープから見る芸術家のひとかけら】シャガールの記事はこちら↓↓


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