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奈良の秋:正倉院展

こんにちは、ふかひです!

先週から急激に気温が下がり、一気に秋らしくなってきましたね。
秋は美味しい食べ物が多いので、個人的には一番好きな季節です。

さて、今日は奈良の秋名物(?)、正倉院展について書こうと思います。


正倉院展について

正倉院展とは毎年秋に奈良国立博物館で行われる展覧会で、今年は10月29日(土)から11月14日(月)の期間で開催されます。
コロナ後は予約制になったので、コロナ前の満員電車のような混み具合ではなくなりましたが、それでも中々混みあっている人気な展覧会です。

ちなみにおすすめは20時まで展覧可能な金・土・日・祝日です。意外と人は少なく、夜の博物館という特別感を味わえます。

(※当日券の販売はなく、観覧には前売日時指定券の予約・発券が必要なので、ご注意ください。)

2021年 第73回の時の写真


正倉院・正倉院宝物の歴史

まず、正倉院とは。
正倉とはお寺で大切な蔵 / 院とはエリアのことで、正倉がある場所のことを「正倉院」といいました。
昔はどのお寺にも正倉院が存在していましたが、現在では残っているところが少なくなり「東大寺(にある蔵)=正倉院」と名詞化されています。

東大寺 / 正倉院

正倉院宝物は大きく
①光明皇后によって奉納された聖武天皇のご遺愛品
②東大寺での法要にまつわる品々
③造東大寺司(東大寺の造営に当たった機関)に関する品々
の3つに分類することができます。

①の宝物は聖武天皇のご遺愛品ということで、八世紀当時の世界トップクラスの技術を見ることができます。
人気の高いガラス細工の宝物などは、いわゆる「シルクロード」を通って日本に伝来したもので、正倉院展でも目玉となることが多いです。

ちなみに正倉院の宝物リスト『国家珍宝帳』の最後にはこう書かれています。
「 廬舎那仏 伏願 用此善因 奉資冥助 早遊十聖 普済三途
  然後鳴鑾花蔵之宮 住即涅槃之岸 」
簡単に言うと「宝物を廬舎那仏(大仏)に奉納することで聖武天皇が無事に三途の川を渡り、花蔵之宮(浄土世界)へたどり着けますように」ということが書かれています。
仏教では功徳を積むことでご利益を授かれるようになるので、光明皇后は宝物を奉納することで聖武天皇の往生を願ったということを読み解くことができます。

また宝物自体は現在は皇室・宮内庁が管理していますが(そのため宝物は国宝・重要文化財には指定されていない)、明治時代までは東大寺が管理していました。
そのことから②③のようなお寺ならではのものも多く残されているのも特徴です。


正倉院展の見どころ

正倉院展の見どころは「展示される宝物が毎年変わる」ということです。

正倉院は毎年秋に勅封が解かれ(天皇の命令により蔵が開けられ)、宝物の点検が行われます。
その時期に合わせて宝物の全体像が分かりつつ、最新の研究成果を反映した品や話題性のある品が選定されます。
しかし宝物の傷みを考慮すると同じものを毎年出展するにもいかず、早くても10年に一度展示できるか、という状態です。

今年の正倉院展は第74回ですが、出陳宝物59件中8件は初出陳です。
正倉院宝物の総点数は約9000点以上なので、毎年見に行ったとしても、全部見つくすのは難しいかもしれないですね。

また正倉院展は毎年恒例ではなく、その都度企画・交渉・検討が行われています。
つまり毎年「今年が最後の正倉院展になるかもしれない」ということです。

この希少度の高さが正倉院展のポイントだと感じています。
見たい宝物が展示されているときは是非行ってみてください。

最後に

正倉院宝物は約1250年以上にわたって伝えられてきました。
高温多湿の日本の環境で伝世するのは難しく、ここまで良好な状態が保たれているのは世界的に見ても珍しいことです。

「すごい」「綺麗」と感じるのも良いですが、当時の人々の感性や技術・生活・宝物の背景などに思いをはせてみると、鑑賞がもっと楽しくなるかと思います。
是非天平ロマンを感じてみてください。

ちなみに正倉院自体は東大寺大仏殿から北の方へ10分ほど歩くと見学できます。
また徒歩20分圏内には世界遺産の東大寺や春日大社、興福寺などもありますので、是非奈良の観光も一緒に楽しんでみてください。

鹿さん

以上、お読みいただきありがとうございました。

TAVARAT ふかひ

タバラット公式サイト
https://www.tavarat.jp/

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