【小説】短編集サクラサク(3/4) らしくない
短編集サクラサク
3.らしくない
パソコンのキーボードを叩く音が響くオフィス。
そろそろ休憩でもしようかという頃、男の明るい声が聞こえてきた。
「じゃあ何か買ってきますよ。俺も今、コーヒー買ってこようと思ってたところなんで」
部署で一番若い木下が、同僚たちの飲み物の注文を取り始めた。
木下は俺の二個下で、同じ地元の後輩でもある。昔からよく気がつく性格で、あれこれと人の世話を焼くのが好きだった。
飲み会でも一番下座へ座り、率先して注文を取ったり、空いた皿をまとめたりと、