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海の向こうショーワ感漂う漁師町(2) | 淡路島 岩屋

磯の香りと、波に揺られて軋み合う漁船たち。

岩屋港は、海上交通の要として、淡路島北端だけでなく町自体の玄関口でもある。

船着場のすぐ横で、釣りに興じる人々。町並みは海沿いに東西に広がっている。アジや小サバが上がっているようだ。

町は、涼しい季節であれば歩いて回れるが、真夏であれば自転車やオートバイに乗るのも悪くない。

様々な客で賑わう、岩屋側の乗り場。最近は車で淡路島に渡るより、時間が掛かっても船旅を選ぶツウな旅客も増えているらしい。

昼過ぎに着いて、まだ食事も済ませていなかったので先にお昼を取ることにした。

海辺の町では、新鮮な海鮮を食べられるお店は早く閉まるのは常識。

コロナ禍ぎ落ち着きを見せる中(6月中旬)とはいえ、まだまだ営業している店は多くない。このタイミングを逃すと、海の幸を味わえない可能性も出てくる。

そこでオススメしたいのが、船乗り場直結のこのお店。

船乗り場の建屋に入っている「浜ちどり」さん。

生しらすや釜揚げしらす、海鮮丼や定食など、空腹で島に着いた者であればもれなく食欲をソソるメニューを揃えている。

タオルを首に巻いて忙しく動き回る5,6人のスタッフと、20名はいるだろうかと思われる食事客。

その中には観光客もちらほらいるが、仕事終わりだろうか、漁港関係者と見られるビール片手の壮年の男性客も見られる。

名物の生しらす丼、鮮度ピカイチ、これで950円だからお値打ちな絶品だ。(空腹につきご飯大盛りにした。)

実は、淡路島には幾度となく来ているが
些細な理由で、生しらす丼は食したことが無かった。

今回は同行していた妻たっての希望で、この生しらす丼と、数量限定の釜揚げしらすにトライした。

釜揚げしらす。醤油とポン酢をお好きな方で。スダチを絞るとさらなる味の高みを感じられる。

どちらもウマい。(大事なことなので本当は2度言いたい)

スタッフの方が、ワサビ投入の絶妙なタイミングや、ベストオブ醤油の量をサラッと教えてくれる、のに従ってみるとこれがほんとにウマい。

飯が進むに加えて、酒も進む味。
そう、生ビールのオーダーも忘れずに。

(朝一から港で荷揚げや競りなどの仕事をこなした後、という設定で流し込むビールは実に美味い。)

海の幸が写真付きの手作りメニューで紹介されている。なんといってもそのお手頃な値段が漁港直送の食堂ならでは。

食事を終え、港から徒歩数分の岩屋商店街に向かう。

この商店街は、昭和レトロ好きの中では知られている、伝説の(?)レトロ商店街。

渋めのエントランスの奥に広がる軒並みに期待が広がる。

ちなみにお店も、歴史を感じるものから、なかなか味わい深い風情のあるお店まで様々だが、個人的に好きなポイントがある。

商店街の中には、漁師さんのお宅もいくつかあり、(ラッキーな時間帯だと)その日に揚がった新鮮な魚たちを家の軒先に腰掛けて、ゴツい出刃包丁でゴリゴリと捌いているシーンに遭遇出来ることだ。

今回も2,3度見かけたのだが、憮然としたたくましい顔つきで鯛や鯖といった魚を捌いている様は、「自然と共生する」という人間本来の生の営みを感じさせる。

カメラを向けようかと何度も考えたが、写真は撮っていない。

目に焼き付けたい思いで見ていると、地元の人々が声を掛けては捌かれた魚を笑顔で買っていく。つまりはそういうことのようだ。

足を進めると、なんとも気を引く建物が見えてくる。

商店街の中央あたりにある銭湯「扇湯」。風呂好きには知られた淡路島の名湯だ。

「こんなところに銭湯か。」

眺めていると、忙しなく男の子2人を連れた母親がやって来てのれんの向こうへ消えていく。

入れ違いに、また別の若い家族が出てくる。

結局自分は入らずじまいだったが、調べてみるとどうやら地元に根付いた素敵な湯屋のようだった。

アクセスが抜群に良いわけでもないのに、それでも島を越えて沢山の人に愛されるこの銭湯の魅力、そして風呂好きコミュニティのネットワークは凄いものだとただ少し感動した。

そうこうしているうちに
僕は後にも先にもどうにも忘れられない素敵なお店に出会うことになる。

『令和に佇む万屋(よろずや)』とでも言おうかというインパクト。創業100年を超える荒物屋・西海商店のお出ましだ。

緑の屋根は特別目を引くルックスではないが、何より目につくのはその品揃えとディスプレイだ。

主に路面に面した場所、いわばディスプレイの花形には、衣類洗剤、食器洗剤、ハイター、柔軟剤、各詰め替え用...といった盤石の洗剤ライン。

その両脇にサランラップ、トイレットペーパー、ティッシュ、水回りに使うと思われるネット、害虫スプレーなど...生活必需品が続く。

(島の方がここで買っているかは別として)消費者ニーズにジャストミートした品々が、青空の下にずらりと並んでいる。

一体ここは何屋さんなのかと、別の一角に目を移すと...

西海商店の一角。これだけの数の商品全てにきっちり(?)値札が降られているので、ある種の安心感がある。

ディスプレイに収まりきらなかった商品の数々が、店内に所狭しと積み上げられていた。

商品によっては「他店と比べで〇〇円安い」という、消費者の疑問をオールクリアする情報まで提供されている。

時間の都合で実際に買うことは出来なかったが、次回こそはここで買い物をしてみたい。

欲しいもの以外にも「何か見つかるのではないか?」という期待を抱かせる、文字通りのよろずやが、岩屋商店街にはあった。

今回は、ここまでにしたい。
まだまだ素敵な風景がこの町にはある。
続きは次の記事で。

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次は、商店街の続きと本島帰還篇です。

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