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海の向こうショーワ感漂う漁師町(1) | 淡路島 岩屋

淡路島に岩屋という、大好きな漁師町がある。


明石大橋を本州側から渡った先、島の最北端。
島の他の町の例に違わず、海鮮がべらぼうに旨い所だ。

ちなみに、この明石海峡は日本有数の魚産地として知られている。

本州と淡路島の間の狭い海峡で複数の潮流がぶつかる激しい海域なので、エサが豊富なだけでなく、魚たちの締まった身には適度に脂が乗っている、いわゆる旨味抜群の魚が獲れるからだ。

明石の海手に広がる海鮮街「魚の棚」。玉子焼(明石焼)を始め、豊かな海鮮を使った味が楽しめる。

明石港から竿を出す地元のうみんちゅたち

岩屋という町へは、
主に明石大橋を通って観覧車で有名なハイウェイオアシスから高速を降りる方法が知られている。

それに加えて、少し前までは「たこフェリー」という明石港から出る、たこのイラストがこれでもかとデカデカ描かれた連絡船でアクセスできた。

たこフェリーの後を継いだジェノバライン「まりん」。小さくなったとはいえ、明石の名産のタコがあしらわれたデザインも健在。

数年前にたこフェリーが廃止になった後
同じ航路で淡路ジェノバラインという高速船が片道530円で地域の生活の足として頑張っている。

ジェノバライン船内から明石港の眺め。阪神間では指折りの規模を誇る名漁港だ。

地域を結ぶ連絡船に乗るのが、僕は好きだ。

船移動が生活の一部となっている人々のお喋りの中に溶け込みながら、船のエンジン音と波の音もちょうど手伝って、海を見ながら、ふとどこか懐かしい場所に向かう心地良さを感じる。

島国ならではの光景。

観光船にはない、時間の移ろいを感じられる。

岩屋港は淡路ハイウェイオアシスのすぐ下。観覧車が見える。

15分ほどで岩屋の港に近付き、ふと船内を見渡してみる。

明石への買い物から戻る島の住民や、通学の学生、スポーツ新聞に目を落とす老人、それらに紛れてせっかくだからと(明石大橋ではなく)海を渡って観光に向かう夫婦や家族連れ。

岩屋港。船乗り場のすぐ隣では釣り人が竿を並べる。

昼もおおよそ過ぎた頃に着いたものだから、明石港への帰りの便には既に待ち人が列を作って待っていた。

そこで目立ったのはバイクや自転車乗りの人々。

暖かい季節に島に沢山訪れる「アワイチ(淡路島一周)」と呼ばれるサイクリング/ツーリングに出る老若男女だろうか。

ジェノバラインには自転車だけでなくバイクも積むことが出来る。

僕は学生時代に、自転車競技部に所属していたので、実際にアワイチをこなした友人から話を聞いた。

なんでも、島の周囲と言っても全長約150kmはある。

平坦な道だけでなく丘や山道もあるので、自転車を漕ぎながら、疲れたらご飯を食べ、休憩をし、暑くなったら海で泳ぎ...と言った具合だそうだ。

高校生時分に「なかなかぶっ飛んだボリュームのサイクリングだな」と感嘆していた記憶がある。

とはいえ、
淡路島を周り終え、真っ赤に焼けた肌に汗を流しながらも笑顔でお互いを称え合う自転車乗りたちを見ていると、なかなか、楽しそうに見えてくる。

思い付きや現地調達で淡路島一周は出来そうにないが、レンタルチャリスポットもある。

淡路島北端、岩屋の町にやっと降り立った頃、昼の3時を回っていた。

急ごう。
島の時間は早い。

目指すは港から歩いて数分
ショーワの名残が残るザ・島レトロスポット、岩屋商店街。

(次の記事に続く)

次のストーリーは、ショーワ漂う島レトロ「岩屋商店街」を歩く。

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