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会社員の信用力は「会社の看板」に依存

あなたの信用は実力ではなく「会社の看板」

どんな業界であれ職種であれ、仕事において最も重要なのは「信用力」であると言えます。顧客に求められる成果を確実に出すことが、その人の信用力を上げる事につながります。

「この人に頼めば依頼した事をきっちりやってくれる。」
そう多くの人に思ってもらえれば、その人のもとには継続的に仕事の依頼がやって来るでしょう。

別の視点で考えると、住宅や車を購入する際には多くの場合ローンを組むと思われますが、借り手の信用があるからこそ、高額なローンを組むことができるわけです。

私も会社員時代に車を購入したり、住宅を購入したりする際にローンを組みましたが、その際によく頭に浮かんだことがありました。

「自分の信用って、自分の実力ではなく会社の看板で判断されているんだなあ」

幸い、私が最初に入った会社は道内では誰もが知る企業の子会社で、2社目は親会社のロゴは世界中の人が知っているため、ローンを組む際に苦労した経験はありませんでした。申込書の勤務先名に社名を書けば「ああ、〇〇さんの関連会社さんなんですね。」と、担当者は安堵したような顔をしたものです。

実は、多くの場合、個人の信用はその人が勤める会社の看板で判断されることが多いんですよね。その人自身が信用に足る人物かどうかなんて、実はほとんど見られていません。

誰もが知る大企業への就職は大きな信用の獲得

昔ほどではないかと思いますが、就活生は未だに大企業への就職志向が強い印象です。就活フェアのポスターを見ても、誰もが知る企業名が並んでします。そうしないと就活生の集まりが悪いでしょう。

ブラック企業の勤務実態が頻繫に話題になる昨今では、大企業だからと言って安心して働ける職場とは限らないと考えるのが無難ですが、一方でその大企業に勤めているという事実は、その人の社会的信用に大きく寄与しています。

どんな事業をしているかも知られていない、知名度ゼロの会社に勤めているよりは、誰もがその名前を知る大企業に勤めているほうが、社会的信用という意味では有利になることは明らかです。
取引先への営業にしろ、ローンを組んで大きな買い物をするにしろ、大企業に勤めていれば有利に働きます。
これは紛れもない事実だと思います。

会社の信用=自分の実力という勘違い

しかし、そのような大企業にずっと勤めていると、大きな勘違いをすることがあります。実は会社の看板によって得られている信用が、自分の実力によるものだと思い込んでしまうのです。

私は会社員時代からシステムエンジニアをやってきましたが、元請けに近い立場で仕事をしていました。「元請けに近い」という表現をしましたが、親会社が正式な元請けで、私はそのシステム子会社にいたので、外部から見れば私の会社が元請けのように見えるわけです。

いわゆるSES企業からのパートナー社員が頻繫に私の職場に出入りしていました。私も他の正社員と同じく、パートナー社員の皆さんの管理をする立場で仕事をさせて頂いておりました。

正直、私の会社はSES企業と比べて「強い立場」にいたことは事実です。私以外の社員では、常駐されているパートナーさんとの接し方でもかなり高圧的な振る舞いをしていた人もいました。同じ社員としては非常に心苦しかったのを覚えています。

えてして、システム子会社のエンジニアって、技術レベルが低いんです。普段からパートナー社員の進捗管理しかしていないので当然です。
技術的な相談をされてもその内容が理解できず、「よろしくやっといて」という事しか言えない人も沢山います。
(勿論スキルの高い社員もいましたがごく一部です)

こういう環境に慣れてしまうと、本来会社の看板によって得られている信用力をあたかも「自分の実力」によるものだと勘違いしやすくなります。
パートナーさんがそういう社員の無理な要求を呑んでくれるのも、別にその社員の実力を認めているのではなく、会社の看板を見て忖度しているだけなのに、それが分からない人が多いのです。

会社を離れたあなたに信用は残るか?

会社員として働く皆さんに一度考えてみて欲しいのは、「今の会社を離れたときに、あなた自身に信用は残るのか?」という事です。

例えば、あなたが勤める会社がある日突然倒産したとします。
さあ、明日からあなたは無職です。あなたには養う家族もいれば、住宅ローンもまだまだ残っています。今すぐ次の仕事を探さなければなりません。

この状況で、すぐに次の就職先を見つけられる人は「市場価値」が高い人であると言えるでしょう。市場価値に対して、その会社でのみ通用する「社内価値」しか持ち合わせていない人は、次の就職先を見つけるのに苦労することでしょう。

一昔前までは、会社にいれば終身雇用が守られるなんて当然の事だと考えられてきましたが、今ではあのトヨタの社長自ら「正社員の終身雇用を守ることは難しい」とコメントしています。
トヨタで終身雇用が守れないのなら、日本のほとんどの企業で終身雇用を守ることなど到底無理な話ではないかと思えてしまうわけです。

重要なのは社内価値より市場価値

このような状況では、いよいよ個人の「市場価値」が重要となってきます。
私のようなITエンジニアを生業としている方にとっては、会社の外に出ても通用するスキルこそが「市場価値」となるわけです。

いくらパートナー社員の進捗管理だけを頑張っていても、社内システムの保守業務に精を出していても、残念ながらエンジニアとしての市場価値を上げる事には到底繋がりません。

既存の技術なんてあっという間に枯れた技術になってしまう世界ですから、常に新しい技術のキャッチアップをしていくのはITエンジニアにとっては当然の事であるはずなのに、気が付くと社内価値を上げることにのみ気を取られてしまう。これでは、突然の倒産や解雇に対応するのは難しいでしょう。

私も会社員時代は、社内価値にしか目が行かない視野の狭い人間でしたが、人間関係の問題や自身の心身の不調をきっかけに、転職を考えるようになりました。その時に、自分の市場価値があまりに低い事を痛感したのを覚えています。

その後、たまたま今お世話になっているエージェント企業の方と知り合う機会があり、フリーランスエンジニアへの転身を真剣に考えました。運もあったのかもしれませんが、それから半年後にフリーランスとして独立し仕事を開始しています。

フリーランスになった直後は会社の看板が外れて「丸裸」になったような気分でした。ですが、日々の業務以外にも自身のスキルアップを継続していると、徐々に自分のエンジニアとしての信用力が高まっているのを感じています。

私のようにフリーランスに転身するにしろ、引き続き会社員を続けるにしろ、ご自身の市場価値を上げることはこれからの時代マストであり、市場価値を上げることこそが、ご自身の「信用力」を上げることに他なりません。

ぜひとも広い視野をもって、今の会社の看板に依存することなく、ご自身の市場価値を上げて、信用力を高めて頂きたいと思います。
それこそがこれからの時代のリスクヘッジになるはずです。

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