人気のない東京を歩く

　Ｘデイ、東京は某国からの中性子爆弾攻撃を受けてほとんどの都民は死亡した。滅亡の翌日。デイ・ワン、なんてね。

　人気のない東京を歩くのが昔から好きだった。週末のオフィス街とか。

　東京って開発されすぎだと思う。次々に新しいものができたり、リニューアルしたり、移り気な東京の人たちは新しいものに飛びつきすぎる。

　東京を散歩するのは久しぶりだ。とりあえず新橋の駅で降りた。高層ビルの間を縫って海沿いに出る。ゆりかもめの新橋駅から延々とペデストリアンデッキが続く。ガラス張りのフェンスはところどころにガラスに「SIOSITE」とサンドブラストで刻印されている。その回廊が終わったところで、海沿いにホテルのような、マンションのような建物が続いている。その隙間にある庭園。

　昔ウォーターフロントと呼ばれていたような気がする。今、そういう呼び方したら馬鹿にされるのだろうか。死語になってしまったのかな。海の方へ向かって歩くと竹芝桟橋に出る。大きなショッピングモールがあるわけでもないから人気も少ない。一隻だけ客船が留められていた。クルーズ船みたい。

　竹芝桟橋から日の出桟橋へ。日の出桟橋は少しだけ人がいる。大きな駐車場があってはとバスがたくさん止まっている。Hi-Nodeっていうカフェがある。ハイ・ノードと呼ぶらしいけれども、日の出（hinode)のローマ字表記の途中にハイフン入れただけということに気が付いた。

　日の出桟橋から芝浦埠頭に向かう。工事中の脇を延々と歩かされる。道端に植えられているのがアロエ。誰かが植えたのか、それとも自然に繁殖したのか。東京で露地のアロエは育つのか。誰かが手入れしているのか。これってひょっとして地球温暖化の影響？

　お台場に行こうか、それとも品川の方へ行こうかと迷う。結局お台場に向かうことにする。レインボーブリッジは歩いて渡れないことはないけれど、何となく面倒くさくなって芝浦から一駅だけゆりかもめに乗ることにする。

　いまさらお台場に行く理由は僕にはない。買い物にわざわざ行かない。そんなことを考えながらプロムナードを歩いていると、日が暮れてしまった。

　一日中、なるべく人気のないところを探して写真を撮っていたら、少しだけ人恋しくなってしまった。そしてお台場の海浜公園まで来てしまった。

　結局、僕もインスタ狙いのような写真を撮ってお散歩もおしまい。遠くにライトアップされたレインボーブリッジが見える。