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リーダーシップを発揮するために必要な「自己認識」とは?

最近話題のこちらの本を読みました。

本書は「自己認識」について取り扱った本です。リーダーシップ教育において自己認識はとても重要なテーマなので、とても参考になりました。今回は本書のポイントと考えたことをまとめてみます。

最初にポイントを要約しましょう。本書における自己認識とは以下のことを指します。

自己認識とは、要するに、自分自身のことを明確に理解する力-自分とは何者であり、他人からどう見あれ、いかに世界へ適合しているかを理解する能力だ。

自己認識は「内的自己認識」(自分自身を明確に理解する力)と、「外的自己認識」(周りが自分をどう見ているかを知る力)の2つから構成され、その両方を知ることが重要ということです。

しかし実際は、片方だけが高い(例えば、自分のことは知っているが、周りからどう見られているかわからない)ということはよくあるそうで、偏らないことが重要とのことです。

本書の指摘によると、我々は自己の能力などを高く見積もりすぎている部分があり、正しく自分を理解していないことによる弊害をさまざまな例で述べています。

こうした「自分自身の理解」や「他者からどのように見られているかを理解すること」というのは、リーダーシップ教育においてキーになる概念になります。

私も実は昨年学会で、このテーマと直接的にかかわりのある「自己評価と他己評価のズレ」に着目した分析結果を発表しているので、けっこう参考になりました。

リーダーシップ教育における自己評価・他己評価のズレが学習に及ぼす影響-過大評価者から適正評価者への変化に着目して-
日本教育工学会第34回全国大会発表論文集(舘野泰一・松井彩子・木村充)

一方、あらためて、こうした「自己認識」をベースとしたリーダーシップ教育のやり方の注意点や、ポイントも見えてきたように思います。

「自己評価と他己評価のズレを修正する」というのは、言ってしまうと「とても合理的で効果的」と思うのですが、実際はけっこうしんどい作業であり、えぐられる話でもあります。

正直この本を読んだときの感想は「正しいけど、きついねー」というかんじでした。

あえて単純化した例にするなら、

「俺ってイケてて、最高じゃん!」

と思っているときに、

「いや、実際周りの人たちはついてきてませんよ」

と言われたら、まあまあしんどいですよね。これはとっても雑な例ですが、まあこういうかんじの「痛み」がつきものの方法でもあります。

そのため、この方法が成立するための前提条件が実際はかなりたくさんあるのですよね。

そのあたりは本書はかなり丁寧に説明していて、例えば、「正しく内省する方法を知っておく」(批判を頭の中で反芻しない、等)とか、「愛のある批判者」にフィードバックをしてもらう(信頼関係を構築しておく)などが紹介されています。

これらは本当に大事で、こういう前提を無視して、乱暴に自己認識を深めようとすると、かなり危険なことになりそうだということをあらためて感じました。

「厳しいことをがつんと言われることが次の力になる」

というのは言うほど簡単ではありません。それらが成立するための条件を丁寧につくりあげていくことが大切なのかなと思いました。

リーダーシップ教育において自己理解が重要であることは、以前書いた書籍にも書いているのでご興味ある方はどうぞ。


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