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2022.07.06〜MOMENT 2〜

MOMENTは様々な地域や分野をまたぎ、都市について探索を深める雑誌。
3号まで刊行されており、今回わたしが読んだのは第2号だ。
デトロイト、台北、鳥取などのまちづくりの取り組みが紹介されている。

特にデトロイトの特集が印象に残った。廃墟都市というイメージが完全についてしまった場所を、アートやコミュニティ活動を通じて変えようとしていく人たちに迫っている。

デトロイトは自動車産業で栄えたが、オイルショックや日本車の台頭などで衰退が進み、2008年の金融危機、2009年のGMとクライスラーの危機、2013年の市の破産申請などにより、退廃したイメージが強烈に印象づいている。自分もデトロイトといえば治安の悪さを真っ先にイメージしてしまう。

世界的な金融危機や災害など、自分たちにはどうにもならないことで街が廃れてしまっても、「廃墟都市」と記号づけられ外の人から見捨てられても、その街で生きるひとの生活は続いていくのだ。
自分の住む街だって、同じように世界情勢や災害に巻き込まれてもおかしくない。そんなふうに考えたことはなかったけど、デトロイトの街の人々と目線を共にするこの本によって、つよく自分ごととして捉えさせられた。

もうひとつ衝撃的だったのが、2019年にサンフランシスコで起きた、ホームレス対策のために住民がクラウドファンディングで石を買って道路に置いた、という騒動をまとめたものだ。
外から見るとなんて非人道的な取り組みだ、と思ってしまうが、ホームレスによる被害で生活に支障をきたしているのもまた市民である。こうした形で市民間の溝が深まっていくことはとても悲しい。自分だったらどう振る舞うのだろうと、読んでからずっと考えている。

世界の街の、ローカルな部分(といえばいいのか…?)に触れることでその街への親しみがぐんと深まり、自分の視野が広がった気がする。引き続き次の号も読んでいきたい。

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