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2022.10.31〜スタンフォード式人生デザイン講座〜

プロダクト開発の世界で用いられてきた「デザイン思考」をベースに人生設計を見直していこう!という本。

プロダクト開発の過程で厄介なのは「もう、後戻りできない」状況を生み出してしまうことだ。1から10まできれいにまとめた仕様書、数年先まできっちり組まれた長期計画、手間暇かけて作った試作品……。
時間をかけ、丁寧にそして真剣に向き合った結果にも関わらず、周辺環境やユーザーが変化したことにより「できた頃には必要とないものとなっていた」なんてもう、つらすぎる。

こうした変化に柔軟に対応するためのものづくりの考え方として、最近広く親しまれているのが「デザイン思考」だ。
ユーザーを観察し、課題を捉え、製品の簡易な試作(プロトタイプ)を開発し、ユーザーに使ってもらってすぐにフィードバックを得て改良をする。このサイクルを高速回転させることで、変化に強いプロダクト開発を進めていく。
デザイン思考の話を始めると、肝心の本の紹介にたどり着けないのでざっとに留めるが、要は「後戻りしやすい=失敗してもすぐ立ち直せる」状態を作るための考え方だと、私は解釈している。

人生もおなじかもしれない。
誰だって自分の願う人生を送りたい。致命的な失敗はしたくない。行きあたりばったりに生きていられないから真面目に計画したのに、積み重ねてきた先が思っていたものと違った……。いやいや恐ろしすぎる。
「スタンフォード式人生デザイン講座」は、人生のあらゆる可能性を想定し「後戻りしやすい」かつ「自分を見失わない」生き方を指南してくれる本となっている。

本の中では、いくつかのワークを行うことで、自然と「デザイン思考」に則って人生を考えていくことができる。

まずは、現状の問題を正確に直視するところからはじまる。ワークを通じて自分自身の観察を徹底的に行い「自分の人生観」「現状感じている問題」「自分がエネルギーをもって取り組める活動」などへの理解を深めていく。

自分自身の観察を終えたあとは、その材料を持って「これから目指していきたい5年の生き方(作中では冒険プランと呼ばれる)」をたくさん描いていく。ここは特に制約を決めずにのびのびと書く。現状に沿った堅実なプランでも、海賊王になるとか奇想天外なものでも、なんでもいい。とにかくアイデアを出すことが大事だ。
時には複数人でやっていくことも推奨されている。(多分これ、ひととやったらめっちゃ楽しいと思う)

こうして生まれたいくつかの冒険プラン、「本気で進めるにあたって浮かんだ疑問」を洗い出していく。たとえば、「海賊王になるなら船が必要だけど、それってどのくらいで買えるの?」とか、「そもそも海の上で長時間過ごすって自分のメンタルとして耐えられるの?」とかとか。

その疑問を検証するために「プロトタイプ体験」を計画する。プロトタイプ体験は、最小工数で実施することが肝だ。例えば「船を買った人に話を聞いてみる」、「しばらく誰とも連絡せず過ごして、メンタルが大丈夫か確認する」などだ。プロトタイプ体験を通じ、自分のなかの考えを改めたり、先に手軽に失敗して、方向転換を進めやすくしていく。

とはいえ、失敗はつらい。しんどい。そのために「失敗を活かす」スキル取得のためのワークもついている。至れり尽くせり。

小さな仮説検証を大量に重ねながら人生を進めていく。そんな自分を作っていく実感を楽しみながら毎日を過ごしたいという方には、ヒントの多い一冊になりそう。

「デザイン思考」ってなんですか?という方は、ぜひこちらをお読みください。こちらも結構面白いです。



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