「虎に翼」と、僕らの戦い
毎日の楽しみは、「虎に翼」。楽しみなドラマがあることが、どれくらい毎日を豊かにするかを「まんぷく」再放送に続いて実感する日々。
女性の物語。立ち上がろうとする女性たちの物語だ。武器は法律だ。そして壁として立ちはだかるのは、今でも変わらずある男性中心の硬直した社会だ。複雑な思いはある。それでも、ワクワクする気持ちが勝る。
男社会のおかしな事に出会った時、伊藤沙莉が演じる主人公、寅子は「はて」と立ち止まる。普通のドラマなら怒って戦う場面でも、「はて」
そこにこのドラマのしなやかさと、したたかさがある。
「はて」は「はてな」であり、「?」だ。
怒ること、立ち上がること、戦うこと、勝つこと。例えそれが難しい状況や人間性であっても、「はて」と疑問を持つことは可能ではないか。
そんなメッセージは現在に対してこそ有効だ。
戦前の女性と、現在の女性の状況をシームレスにつないで、今を生きる女性の戦いと伴走する気高いドラマ。
その物語に力をもらうけれど、同時に彼女たちの「壁」の側の人間であることも、意識させられる。
出てくる男性の描き方も、単純ではない。
無力なのは女性なのか、あるいは矛盾を知りながら傍観し、既得権益側で沈黙するしかない男性の方がもっと無力なのではないか。そんな事も考える。最近はそんなことばかり考えていたから。
気になるのは、これからキーになるであろう松山ケンイチ。彼が寅子の奮闘を見つめる顔は、過剰なまでな変顔。
それはきっと寅子の「はて」と対峙されるもの。彼も何かの違和感を抱えて当時の「今」を生きている。彼はどんな存在として現れ、どう変わっていくのか。とても楽しみ。
そしてオープニングの主題歌もいい。筆で描いたようなしなやかなアニメーションに載せて歌うのは、米津玄師。普通に考えれば、そこは女性アーティスト?でも、素晴らしいオープニングを見ている時、僕らは歌い手が男性か女性かを気にしていない。きっとそこら辺にヒントがある。
まだまだ第3週。
でもきっと忘れられない朝ドラになる。そんな予感というか確信。
明日の朝の7時半が待ち遠しい。
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